InterBEE REVIEW2011 (JP)
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なると考えている。NABはこれまで、デジタル放送における標準化について大きな役割を果たしてきた。次世代のテレビの標準化においても、主導的な役割を果たしたいと考えており、そのときには日本が生み出した数多くの新技術を含めた基準作りを目指していく」 世界の放送団体の頂点に立ち、世界の放送業界を見渡す立場にもあるスミス氏。次世代の放送規格といった技術面とともに「放送業界の重要な課題」として見ているのが、「放送のビジネスモデル」だ。 「世界で放送のデジタル化が進み、同時にブロードバンドインターネットがモバイルにも普及し、どこでも好きなところで映像配信・放送を視聴できるようになった。いよいよ本格的な放送のビジネスモデルの再構築が必要なときが来た」 米国でも消費者の好みがモバイルに向いてきており、2012年の初めには米国全世帯の2/3がテレビのモバイルエリアとしてカバーされるという。スマートフォンや携帯端末がテレビスクリーンとしての役割を果たすと同時に、視聴者からの能動的なアプローチが可能になる。「スタイルの異なる視聴者に対して、どのようにサービスを提供をするかが、重要な課題になってきた」という。 最後にスミス氏は、こう付け加えた。「東日本大震災における日本の放送局の活躍から、緊急時の放送の重要性を再認識した。放送は、ライフラインが途絶しても、多くの人にすばやく情報を提供できる点できわめて価値の高いメディアだ。ネットとの連携も含め、新しい放送のヒントがあるかもしれない」 「しかし、技術の重要性と同時に、放送に携わる人が持つ責任感の大きさが重要であり、それがある限り、技術の進化・ビジネスの構造変化があろうとも、今後とも放送の重要性は変わらないだろう。 今回の日本の震災報道からそれを感じた」「震災報道には新しい放送のヒントが」09
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