InterBEE REVIEW2012 (JP)
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15■ワールドカップとオリンピックを機に地デジ普及を ブラジルは、2013年にFIFAコンフェデレーションズカップ、2014年にFIFAワールドカップ、そして2016年にオリンピックを開催する。これらの大イベントを地デジ放送普及のきっかけとしたいのはもちろん、ズッフォ教授をはじめとした研究者達はここで新しい技術のお披露目を行いたいと考えている。 「4Kは関連製品が増え、市場形成に取りかかる直前との印象を受けた。8Kの片鱗も至る所で感じることができた」とズッフォ教授はInter BEEでの4K/8Kの進展に目を見張っていた。2大サッカーイベントやオリンピックにおいて、ブラジルと日本が共同で、これらの技術を活用したコンテンツ制作に取り組むことを期待したいという。「8Kを推進してきたNHK放送技術研究所と関連するメーカの皆さんに敬意を表したい。今年も訪問できてよかった」と日本の取り組みに賛辞を送った。■災害時の情報提供手段としてIPデータ放送に注目 南米地域は多様な自然災害があり、放送は民間防衛の観点からも非常に重要な役割を担っている、とズッフォ教授は言う。「ブラジルでは先般、洪水で多くの犠牲者が出ました。チリは2010年の地震で津波の被害を受けています。これらの災害時に、重要なメッセージを一斉に伝えられるのは放送です」と、放送による警報の伝達の重要性を語っている。Inter BEEで展示があったIPデータ放送は、「通信と放送の世界をつなぐもの」として特に注目し、放送コンテンツをより豊かにするばかりか、人々の安全を守る情報を流すにも使える新たなプラットフォーム、として注目している。「ブロードバンドが発達途上の新興国では、デジタル放送によりIPパケットに乗せた情報を流すのが効率的でしょう」と、利用のあり方にまで思いを巡らせていた。 「間もなく、タブレットが非常に廉価に手に入る時代が来るでしょう。ワンセグとIPデータ放送をタブレットで受信できれば、デジタルテレビを買えない階層にもデジタル放送を届けることができます」と、新興国での普及の道筋を見据えていた。■「Inter BEEは出会い・再会の場」 ズッフォ教授がInter BEEを欠かさず訪れるもう一つの理由は、「出会い」にあるという。「Inter BEEは、新たなイノベーションが目に見える形で溢れる展示会であり、それに触れるだけで刺激になります。更に、ここには世界中の私の友人がやってくるので、ちょうどよい再会の場です」とのことだ。他の展示会のように大きすぎず、マーケティングにも走りすぎていない。放送とコンテンツの将来を見るのに最も適したイベントがInter BEEだという。「日本とブラジルのテレビジョン技術の学会は、互いに友好関係を結んでいます。次世代の放送技術のために、両国がより深い協力関係になることを期待します」と語り、ズッフォ教授は深夜のフライトでブラジルへ戻っていった。ブラジル サンパウロ大学マルセロ・ズッフォ教授

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