InterBEE REVIEW2012 (JP)
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21見せる東京駅”という存在から、5人の映像作家に自由に映像を持ち寄ってもらうことにした。その際、「時空を超える旅」というテーマのみをお願いした。 作家自体の選定は森内氏と諏澤氏が、「その人のカラーを出せる人」「演出だけではなく自分で映像制作も行え、臨機応変に対応できる人」を基準に選出。西郡勲氏(SMALT)、長添雅嗣氏(N・E・W)、TAKCOM(P.I.C.S.)、志賀匠氏(caviar)、針生悠伺氏(P.I.C.S.)に依頼した。 そうして持ち寄られた5人のアイデアを元に、森内氏が全体的な演出を行い、5つの作品が完成したが、そこで完了ではない。さらにそこから、5作品を1つの連続した映像にしていく、という大事な仕事があった。「イベントですから、やはり盛り上げが必要ですよね。デバイスの中で見る映像と違うんです。空間的に体験するものですから、舞台に近いと思います。ミュージカルを参考に、出る、はける、転換、起承転結といったような流れを考えました。これは音楽の部分でも行っています」 5作品を1つにまとめ上げるには、さらに音楽の力が必要、と考えた森内氏。映画『モテキ』をはじめ、映画音楽の作曲家として活躍している岩崎太整氏に音楽監督を依頼。こうして、効果音まで含めた、空間での映像・『TOKYO STATION VISON』は完成した。 プロジェクトを振り返って森内氏は語る。「プロジェクションマッピングと一言にしても、とても難しいものだと思うんです。ギミックだけに目が行くものになってしまうと、単なる見世物でしかなくなってしまうんですよね。自分としては、テクノロジーと文化の融合に注目したいですね。歴史的建造物や地域文化とプロジェクションマッピングを合わせることで、地域に親しみと再発見を与えたい。再ブランディングを行って地域活性につなげられるようなことをこれからもしていきたいですね」
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