InterBEE REVIEW2012 (JP)
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10優秀なアーティストを育てれば会社は成長する 現在、CGスーパーバイザーを務めるゾウイー氏だが、彼女も大学卒業後に入社し、ジュニアレベルからキャリアを重ねてきた1人だ。「アートと数学と科学、それからコンピューティングが好きだったんです。それらを全てできるのがVFXだと思っていたんですが、当時そんなコースを持つ大学はありませんでした。ボーンマス大学には定評のあるコンピュータアニメーション&ビジュアライゼーションのコースがありましたので、完璧な選択肢でした」 大学の授業を受ける中で知ったのが、Double Negativeだった。ボーンマス大学は映像業界とのつながりが深い学校で、業界関係者が講師などを行っていたためだ。そして、経験者採用ばかりの中、新卒にもチャンスを与えていたのがエントリーのきっかけになった。 2005年に入社し、テクニカルアシスタント、レンダーアシスタント、マッチムーバーといった基礎的なパートに従事し、テクニカルディレクター、ライティングリーダー、シーケンスリーダー、シーケンススーパーバイザーを経て現職に。常に新しいものにチャレンジし、勉強してきたという。「Double Negativeで最初に与えられた役割はレンダーアシスタントとしてレンダーファームに携われたことですが、これは非常に良い経験でした。デイシフト/ナイトシフトで大変でしたけど、映画VFX業界のCGのバックボーンをよく知ることが出来ました。また、さまざまなパートを経験し、様々な映画に携わり、異なる部署で仕事をすることで、基礎を身に付けることも出来ましたし、今一緒に働いているVFX スーパーバイザーとも早い段階から知り合えました」 Doubel Negativeの強みは「アーティストを大事にする」というところだ。情熱と才能のある者を育て、出来るだけ長く会社にいてもらうように環境を整える。トレーニングクラスを開催したり、上級のバディが支援する仕組みなどもある。そうすることで、Double Negativeにしかできない映像を次々と生み出していくことが出来るのだという。 同時にこれは、ジェネラリストを育てることにもつながっている。これも会社を成長させるのに大きく寄与している。「優秀なアーティストを雇っていたくても、モデラーしかできなければ、プロジェクトの初期にしか関われません。テクスチャもライティングも出来れば、長期的に仕事に関われますよね。もちろん、スペシャリストも在籍していますが、会社の規模を頻繁に拡大縮小せずに安定して拡大していけるのは、ジェネラリストが多くいるからなんです」
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