InterBEE REVIEW2016
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13特撮の歴史と樋口氏の歴史 通常では撮影できないイメージを、特殊な方法を組み合わせて実現する「特撮」。日本映画において画期的なブレイクスルーだったのが1954年に制作された『ゴジラ』だ。それをきっかけに作られた数々の映画やテレビ番組を見て育ち、雑誌でメイキングを見た少年のころの樋口氏は、「誰かがあのすごい映像を作ってる」ということに気づき、最終的に18才の時にゴジラ映画の撮影にバイトで参加したという。 さらに、アマチュアで映画を作っていたDAICON FILMに参加。そのメンバーで作られたGAINAXに入社。その後フリーになり、平成『ガメラ』シリーズ、『さくや 妖怪伝』『修羅雪姫』『ピストルオペラ』『ローレライ』『隠し砦の三悪人』『のぼうの城』などの作品を手がけてきた。 そうして映画を撮ってきた30年の間に、ミニチュア主体の特撮からCGでのVFXへ手法が変わってきた。 「スターウォーズみたいなことをやりたい」「ミニチュアを本物そっくりにして生活感を出したい」「模型に頼らず、実際の風景の中でやろう」などと挑戦していくなかで、省力化の1つの流れで「ミニチュアなしでCGで」となっていったという。 潤沢な予算がない中でも、「こんなことができるのか」というチャレンジを求めて、ついつい危険な道を歩いていたという樋口氏。その最たるものが『シン・ゴジラ』だった。この先目指していきたい表現 講演後、特撮および今後について聞いてみた。―振り返ってみて、いかがでしたか?樋口氏 講演の1時間半、余裕で持つだけの映像素材を持ってきたつもりが、思ったよりも早く終わっちゃったので、「俺の人生ってこんなもんか」って寂しくなってます(笑)。―CGでの映像表現が標準になっている現在、あえて特撮を取り込んだ『巨神兵東京に現わる』(監督作)が好評でした。樋口氏 ちゃんとやろうと思ったら、ミニチュアを使った特撮が、今や一番高級なものになっちゃったんですよね。昔ながらのやり方で安くあげることもできるんですけど、安い画は許されない……のが一番難しいところです。「だったらCGのほうが安く出来るよ」という場合がどんどん増えてきているんです。「それでも特撮のほうがいい」っていう、価値をどうやって見つけていくか。価値を作っていかなきゃいけないところですね。―この先、チャレンジしていきたいところはどこでしょう?樋口氏 若かったり、海外の人だったり、そういう人たちと一緒に広げてやっていきたいです。一人じゃ何もできないんで。自分で店を構えてなにかをやって、っていうのは、この10年ぐらいやって「大体こういうことかな」っていうのは見えてきたんで。それを掘り下げるっていうアプローチもあるのかもしれないけど、それよりはもっと新しいフィールドで、いろんな人と出会いたいですね。新しい表現だったり。NHKのドラマ『精霊の守り人』を今やっているのも、それの一つだと思います。映画監督/特撮監督樋口 真嗣 氏
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