InterBEE REVIEW2016
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4K・8Kが開く、新しい映像体験11月17日(木)15:00-17:00 映像シンポジウム 映像シンポジウムは、フォトケム社のジョン・ダロ氏、電通の小池 宏史氏、メディカル・イメージング・コンソーシアムの谷岡 健吉氏、IMAGICAの殿塚 功一氏の四氏が映像の未来について語り合った。 ハリウッドの映画人は、映像表現の可能性を広げるキーになる技術、特にHDRとWCG、HFRに強い関心を抱いている。ACESカラーマネージメントシステムを中心としたパイプラインを構築し、新機能を可能な限り取り込む実験的作品「Meridian」をNetixの為に制作した。この作品は、HDRを4000ニット、60f/s、4K解像度で、アート的には古いフィルムのテクスチャをACESにより表現し注目されている。(ジョン・ダロ氏) 8K映像は、新しい価値、魅力、役割を持つ。全体と部分を同時に視聴できる体験、22.2チャンネル音響による音声だけで没入感の体験、マップ全体を引き絵のまま一望できるインタラクティブの拡によるRPGゲーム、リアリティの拡張により裸眼で楽しめるVRや3D等である。新しい映像体験は、新しい需要を喚起する。(小池氏) 現在の内視鏡手術は限りなく開腹手術に近い。医師が認める8K内視鏡手術の最大の利点は、広い手術空間が得られること。そして、ガン組織と健全な組織の見分けや吻合手術が容易など期待が大きい。課題は、超高感度イメージセンサーの開発である。(谷岡氏) 東京五輪・パラリンピックへ向けて大きな需要が見込まれる8K制作では、編集室が圧倒的に少ない。4K映像編集の実績を基に、今年8K映像編集に特化した拠点をオープンした。8K制作の課題は、撮影現場やポスプロ作業中のモニター環境、実物感、ピント合わせ、セカンダリーの処理時間等である。(殿塚氏) パネルディスカッションでは、超高精細映像による新しい映像体験を創り出すためには、技術が先行するのではなく、クリエイティブサイドが技術を引っ張る様なチャレンジが重要である。医療分野を含め広い領域からの高い要求度が引き出す技術開発力が、世界をリードし、そしてメディア分野にも恩恵をもたらす等の議論が展開された。82
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