InterBEE REVIEW2016
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90「ライツホルダーから見た番組マルチユース」放送通信融合の時代にふさわしい権利処理について初めての権利者側の議論11月17日(木)15:00-15:50 放送と通信の融合が進んでいく中、どうしても避けて通れないのが権利処理の問題だ。だがこれまで、あまり表舞台では議論されてこなかったのではないだろうか。このセッションでは、日本音楽事業者協会(いわゆる音事協)専務理事・中井 秀範氏、NexTone代表取締役COO・荒川 祐二氏をパネリストに、シンエイ動画取締役・入江 武彦氏のモデレーションで、ライツホルダーの立場から新時代の権利処理について議論が展開された。なかなか直に聞くことのできない意見や見解に、じっくり耳を傾けることのできる貴重な機会となった。 まずモデレーターの入江氏が、このセッションの位置づけを説明した。そのうえで、テレビ朝日の著作権部長を経てシンエイ動画の取締役を務めている経験から、コンテンツホルダー側の考えを提示した。視聴機会が増えることには期待があるが、ある程度戦略的に出し先を考えて、露出を管理していく必要があるとの見解だった。 これを受けて、吉本興業で長らくマネージャーを務めたのち音事協の理事となった中井氏が、その経験もふまえて考えを述べた。新曲が出た時は、CDセールスのためにどんどん露出するが、漫才や落語の場合はネタが消耗するので野放図に出していくわけにはいかない。コンテンツによって露出を調整する必要があるからこそ、許諾権を重視するのが音事協の立場だと言う。 一方、音楽の新しい著作権管理事業者であるNexTone代表の荒川氏は、音楽著作権の複雑さを解説した。演奏権、録音権、出版権とある中でNexToneは演奏権は扱っていない。例えば今年ヒットしたRADWIMPSの「前前前世」は放送番組での使用はJASRAC、その番組がネット配信された場合はNexToneが担当するのだという。楽曲を利用する側にとっては一括で申請する方が便利なのだろうが、そういう対応はできていないのが課題だと述べた。 最後に入江氏が、著作権の議論は誰か一人が勝つものではない。ともに手を携えて歩んでいきたいと締めた。権利者同士の非常に有意義な議論が展開され、それぞれの前向きな意志が確認できたセッションだった。「新たなメディア戦略で日本のスポーツシーンを照らす」デジタル活用でスポーツコンテンツの価値は高められるか。最新事例を元に議論。11月17日(木)11:40-12:30 今年、スポーツ専門の定額配信サービスが登場し、にわかに映像メディアの中でスポーツが脚光を浴びた。そこでこのセッションでは、これからのスポーツとメディアの関係について議論が行われた。モデレーターはスポーツマーケティングラボラトリーCEOの荒木 重雄氏。パネリストにJスポーツ編成部長 亀井 宣晃氏、データスタジアム尾関 亮一氏、プレゼントキャスト社長 須賀 久彌氏を迎え、活発に意見交換が展開された。 まずモデレーターの荒木氏から、スポーツとメディアを取り巻く状況について解説された。2016年から2021年までは「スポーツゴールデンイヤー」と呼ばれておりオリンピックだけでなく大きな催しが毎年開催されるため、スポーツ市場の拡大も期待されているという。もともと放送とスポーツは密接な関係でやってきた中、今後はインターネットでの配信が焦点となってくるとのことだ。 次に須賀氏から、プレゼントキャストによるスポーツの映像配信についてプレゼンテーションがなされた。gorin.jpは民放のオリンピック中継を補完するネット配信のために08年の北京大会からスタートした。ハイライト動画とライブストリーミング、データや記事を配信。今年はとくにライブストリーミングで2300時間、地上波での放送の10倍程度の配信を行ったという。 亀井氏はJスポーツの状況をプレゼン。OTT事業者の進出でスポーツ界は活性化しており、むしろ一緒に価値を生み出すチャンスだと捉えているという。新しいスポーツの編成や、デジタルも含めたCRM、スポーツの新しい魅力を示すコンテンツ施策などを方針として打ち出している。 尾関氏は、先の二者のプレゼンでも重要視されていたデータ活用についての自社の事業を説明した。同社は野球の「一球速報」にはじまり、まさにスポーツデータを提供する会社だ。そのテクノロジーの最新の部分を見せてくれた。画像認識技術を駆使して野球の投球の軌道をトラッキングしたり、サッカーの選手のトラッキングで試合状況を克明に記録することも可能だ。
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