InterBEE REVIEW2016
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「テレビの未来は面白い?映像メディアの将来展望」三人の論客から見た、テレビの現状とこれから。9311月18日(金)16:10-17:00 三日間の濃いセッションの締めくくりとして三人の論客を招いて、その現状とこれからについて語ってもらう企画だ。フジテレビで数々のヒット番組を制作して、いまはオールラウンドでコンテンツをプロデュースする吉田 正樹氏。日刊スポーツの記者として日々現場を駆け回りながらコラム「梅ちゃんねる」も連載する梅田 恵子氏。スマートニュースの執行役員であり、先進的なメディア論を個人ブログで展開する藤村 厚夫氏。この三人をパネリストに、メディアコンサルタント境 治氏がモデレーター役を務めた。 セッションの最初は、入りやすい話題として「いまドラマがホット」という話題からはじまった。ドラマについてよくコメントする梅田氏は「このクールは『逃げ恥』『校閲ガール』『黒い十人の女』など豊作」と発言。吉田氏は「『逃げ恥』の恋ダンスや『校閲』のファッションなどがネット民に受けて拡散されているのだろう」と述べた。 これを受けて境氏が、ビデオリサーチ社のタイムシフト視聴率について意見を求めると吉田氏が「自分はできるだけリアルタイムで視聴する。一流の視聴者の自負として」と冗談めかして言ったのに対し、梅田氏は「夜遅く帰宅して体制を整えてから録画で見る」と胸を張る。一方藤村氏は「自分も『逃げ恥』の話題をソーシャルで追ってリンク先を見るとYouTubeだった」と述べ、ソーシャルでの話題づくりと、その先の設計も大事ではないかと投げかけた。 最後に、2020年のテレビはどうなっているか、どうあってほしいかをそれぞれに語ってもらった。藤村氏は「東京オリンピックでは“分散型“映像メディアが主流になっているはず。従来の放送型とは別に、小さなデバイスで各競技を伝えられないと。急がないといけない」、梅田氏は「いまテレビ局を取材すると萎縮してしまっている。自信を持っていれば2020年も最強のメディアであり続けるはず。新聞に携わる自分にも言い聞かせているが自信を持って欲しい」、吉田氏は「すべてのテレビ局が“一家”であると考えて、協力をしながらがんばれば、テレビが再生するのではないか」と話した。「進むテレビ“再定義”への挑戦」エッジの鋭い意見が飛び交い、濃縮された熱のこもった議論に!11月18日(金)15:00-15:50 テレビの将来像は各局が番組をネットで配信するようになったことで一気に具体的に見えてきた。だがテレビの未来は動画配信だけなのか、という疑問も残る。むしろ動画配信の次に来るべきテレビの新しい姿を探るべきではないのか。このセッションでは、そんなテレビの最先端への挑戦を議論するのが趣旨だ。フジテレビ・コンテンツ事業局の下川 猛氏、NHK大型企画センターの神原 一光氏、日本テレビからHAROiDに出向中のプランナー・岸 遼氏をパネリストに、NHKデジタルコンテンツセンター・倉又 俊夫氏のモデレーションで進行した。 まず倉又氏が、セッションの趣旨を説明。ちょうど翌週から始まるNHKの同時再送信のアプリを見せ、番組配信の進化を示したうえで、「テレビとネットがつながることでどのような未来が広がるのか。それはまさにテレビの“再定義”なのではないかと考える」と述べた。 次にパネリストが自身の活動を説明。下川氏は番組のデジタル連動企画に携わってきた経歴を紹介し、最近の事例として90分番組の中に長短合わせて22のコンテンツを展開する「#ハイ_ボール」を見せた。神原氏は制作局で多様な番組に携わったあと、現在はNHKスペシャル「私たちのこれから」という市民討論番組を制作している。岸氏は日本テレビからHAROiDに出向。「テレビを演出装置にしたイベントづくり」を常に念頭に置き、最近ではKIRIN氷結の視聴者参加型CM「絶対押すなよ」などを企画している。 倉又氏の「テレビがネットとつながって実現したいことは?」との問いかけに対し、岸氏の「テレビのポジショニングを変えたい。テレビが主役でいいのかとの思いがある」という答えが面白かった。岸氏の発想には一貫して、テレビとWEB、そしてイベントまで含めた“体験“を重視する姿勢があった。 最後に倉又氏が「“それってテレビなの?”で再定義するとしたら」と難しい質問をしたところ、下川氏は「これからは、キャッチアップもサイマルもすべてテレビだと思う。イギリスではすでに、テレビ=生で見る、ネットで見る、キャッチアップで見る、すべてがテレビになっている」、神原氏は「テレビは路上ライブだと思う。コンサートは強い目的意識で見に行くが、路上ライブはふと出会うもの。熱のある路上ライブを続けることと、その熱を再び伝えることが大事だと思う」、岸氏は「100人が100人わかりやすいものをめざすのがテレビ。WEBでは100人のうちひとりが悶絶するコンテンツもあっていい。そしてそういうテレビをやるのもありではないか」と答え、三者三様の考え方が面白かった。
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