InterBEE REVIEW2016
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96プロフェッショナルなドローン空撮の現場 ドローンの登場によって、従来は撮影が困難だった場所や状況の映像化が可能になってきている。例えば、技術的にはクレーンを使えば撮れるようなカットでも、道の整備されていない山の頂上や、貴重な文化財の中には現実には持ち込めない。そんな「撮りたかったけど撮れなかった」映像制作を可能にしたドローン撮影の裏にある様々な困難や対処が語られた。 スタジオアマナにて空撮を担当する「airvision」。小林 宗氏はそこで、数多くのCMや、実写版『魔女の宅急便』、NHK大河ドラマ『真田丸』のオープニングの空撮シーンなどを担当している。 『真田丸』のオープニングでは、10カットを担当。6カ所のロケ地で、計9日間の撮影。フライトは104回に及んでいる。これらをどのように撮影したか、その裏にはどんな苦労があったかを披露した。 まず冒頭に登場する、長野県戸隠にある鏡池。綺麗な鏡池だが、ドローンを飛ばすとプロペラの発する風圧で、どうしても機体後方に向けて水面に波紋が出てしまう。そこで、逆再生を前提として撮影し、波紋が画面に映らない工夫をしている。 こうした逆再生を前提とした撮影は意外に多い。髪の毛、草木などが、ドローンの起こした風の影響を受けるからだそうだ。また、役者さんに寄っていくようなシーンも逆再生を主にするという。機体が近づいていくという状況が危険なため、終わりのカットを決めておいて、引いていくのだとか。 備中松山城の撮影は、日本で唯一残っている山城ということもあり、車で上まで行けない。そこで撮影にはドローンを使うしかなかった。石段しかないため、背負子に機材を乗せて機体を運び上げた。ドローン本体もそこそこ大きいうえ、撮影機材を含めれば、かなりの重量となる。こうした人力で登山するような現場は結構多いのだという。 長野県の松代城は、門が開いて中にカメラが入っていくカットだ。ドローンが選択されたのは、手前が太鼓橋になっているためで、レールを引くわけにもいかず、またテクノクレーンも予算や設置の時間も考えると渋い。手持ちでも橋が湾曲しているために直線的な映像に出来ない。そのためドローンが選択されている。 戸隠神社の杉並木は、GPSが入らずに非常に緊張した現場だったという。GPSは電波が切れたときに元の場所に戻るために必要だったり、風など外部の影響から機体の位置を安定させるために使われる。このカットでは、木々の間を抜けるのだが、機体が巻き起こした風が木々に反射して機体に影響を与える。また、奥に行けばいくほど目視での遠近感が狂うため、GPSがない中では非常に気を使っての撮影になったという。 実際の撮影は、パイロットとカメラオペレーターという、二人一組体制だという。これにより、パイロットは機体をどこにもっていくかに集中できるし、カメラオペレーターは被写体をずっととらえ続けたり、演出を加えることに集中できる。カメラオペレーターに対しては、後ろから監督かカメラマンが指示を出すことが多いとのこと。 このほか、ドローンを運ぶための専用車の紹介、大容量バッテリーや、撮影機材、SDI撮影をどうダウンリンクするか、といった機材面の話なども公開。一口でドローンで撮影と言っても、容易ではなく、様々な運用ノウハウが必要だということが語られた。11月18日(金) 15:00-15:45
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