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映像制作/放送関連機材 2019.07.04 UP

【NEWS】HCNET 共同テレビジョンに10Gbpsの帯域保証型専用光回線サービスを納入 テレビ放送用の高精細映像データを短時間で安全に伝送

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 エイチ・シー・ネットワークスは7月4日、共同テレビジョンの拠点間を閉域ネットワークで直結したHCNET回線サービスを納入したと発表した。コストを抑えた10Gbpsの帯域保証型専用回線を構築し、アーカイブ映像の伝送と映像編集作業用素材の伝送を同時に実施できる。
 サービスには、24時間365日のネットワーク監視サービスも含まれており、常時回線状況をモニタリングしているという。

回線サービスの導入で時間のロスを削減

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 共同テレビジョンでは従来、撮影した映像を編集する際に、映像制作部の置かれた築地本社から編集室のある港区台場拠点へ、スタッフが電車やタクシーに乗ってメディアをハンドキャリーしていた。回線サービスの導入により、スタッフの時間のロスを削減し、本来の制作業務に充てるべき時間を増やせる。

遠隔地間の映像テープの受渡しのリスク回避

 今回の回線サービス導入検討のきっかけは、コンテンツの永久保管へ向け、遠隔地間の映像テープの受渡しのリスク回避にあったようだ。

 共同テレビジョン システム管理室 室長 富澤茂明氏は導入の経緯について次のように説明する。
 「業務用VTRの製造中止に伴い、保管用テープをデジタルデータに変換し、コンテンツバンクへの永久保管を進めている。台場の拠点から、築地本社のコンテンツバンク用施設への大量の映像テープの受渡しをする際の、紛失・破損リスクや、移動コストなどを勘案し、専用ネットワークによる映像伝送を検討し、今回の回線サービス導入を決定した」。

 「1時間の放送用映像データは約25GBもの大容量になる。また、伝送中に劣化することや外部流出するようなことがあってはならない」(富澤氏)。しかし、反面、専用の回線に求める要件もまた、非常に厳しいものだったようだ。条件は、次のようなものだった。

(1)大容量データ伝送のため十分な帯域が確保できること
(2)セキュリティが担保でき可用性も高いこと
(3)24時間365日のサポート体制があること
(4)そのうえでコストを極力抑えること
(5)保守にも多額の費用がかからないこと

 当初はクラウド型のストレージサービスも検討したが「サービス提供者の顔が見えないので、放送前の映像をあげるのに不安を感じました。エイチ・シー・ネットワークスのサービスは10Gbpsの広帯域、可用性が高く予備線が不要、保守サービスも込みなのに低コストと、弊社の要望を満たしていた」(富澤氏)

常時エイチ・シー・ネットワークスで回線状況をモニタリング

 約3カ月の導入期間を経て、今年2月末に稼働を開始。 築地本社と台場拠点を、10Gbpsの帯域保証型のイーサネット専用回線で直結している。他のネットワークと物理的に分離されたクローズドネットワークのため、専用線と同等のセキュリティを確保。両端の設備に、通信キャリアで採用されている「APRESIA XGMC-2101X-PSR」を設置。映像制作部用のサーバーには、L2スイッチと社内VLAN経由で接続し、コンテンツバンクと映像制作部で回線を共有している。

 富澤氏は「拠点間を直結しているので、セキュリティ面での心配は全くありません。ゲートウェイなどの設備も不要です。しかもL2ネットワークなので社内LANの延長のような感覚で、非常にシンプル。管理者に高度なITリテラシーも必要がありません」という。

 共同テレビジョン 技術センター 映像制作部 専任部長 溝口健志氏は「アーカイブ映像の伝送と同時に映像編集作業の伝送を行っていますが、最大スペックでデータを流していてもまだ余裕を感じます。まるで回線が10本あるような印象」という。

 サービスには監視用の回線もセットされたネットワーク監視サービスも含まれており、常時エイチ・シー・ネットワークスで回線状況をモニタリングしている。そのため、万一トラブルが起きた際には、拠点に設置されたパトランプが点滅して知らせるとともに、エンジニアが駆けつけ対応するという。

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