11月18日~2021年2月26日

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映像制作/放送関連機材 2019.02.21 UP

【NEWS】NHK 番組技術展が開催 4K-HDRで制作の大河ドラマ「いだてん」 SDRへの一括変換用カーブで作業効率化 次回朝ドラでも採用へ

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NHK番組技術展

 日本放送協会(NHK)は2月11日、12日の二日間、東京・渋谷のNHK放送センターで、NHK番組技術展を開催した。NHKの放送技術局など、番組制作の現場担当者の創意工夫を全国から集めて発表する場として今回で48回目となる。現場から生まれる技術であるため、日ごろの現場での効率化や新たな演出方法の工夫など、身近なテーマが数多く取り上げられている点が特徴だ。
 会場となったフロアは、テーマごとの出展機器や映像を並べたブースが順路に沿って紹介された。テーマは、(1)4K8K〜超高精細映像と三次元音響、(2)最新技術の活用と創意工夫、(3)AI利活用、(4)緊急報道の4つの大きなエリアに分かれ、それぞれのエリアで個別の展示が行われた。

 4K8K〜超高精細映像と三次元音響のエリアでは、大河ドラマ「いだてん」による4K-HDRドラマ制作技術などが紹介された。4K-HDRで撮影した映像をもとにBS4Kで放映する4K-HDRの番組と、ハイビジョン放送で放映する2K-SDRの番組を効率的に制作するため、4K-HDRから2K-SDRへの独自の一括変換カーブを作成し、すべての映像を同一の一括変換カーブで処理している。これにより、編集作業が一度で済むため大幅な効率化を実現できる。年間50本を制作するため「HDRをつくるだけでも手一杯」だったという大河ドラマのワークフローを改善した今回の手法は今後、次回の朝ドラでも4K-HDR撮影で採用するという。

4K-HDRで制作の大河ドラマ「いだてん」 SDRへの一括変換用カーブで作業効率化 

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4K-HDRからSDRへの一括変換のシステム

 大河ドラマ「いだてん」制作における4K-HDRドラマ制作技術のコーナーでは、現在放映中の「いだてん」の4K-HDR撮影をSDRでも生かす制作ワークフローを披露した。「いだてん」は、BS4Kで4K-HDRで撮影した映像を編集し、4K-HDRによる放映をしており、ハイビジョン放送では、この4K-HDRで撮影・編集した映像に、独自の一括変換カーブを作成することで、色域を含めた変換を3D-LUTとして出力し、2K-SDRの映像を自動生成している。今回、IS-miniなど、各種の変換装置すべてに対応する3D-LUTを作成するためのソフトを開発している。

 担当者によると、一括変換カーブを用いたワークフローを実施するのは「今回が初めて」だという。「これまで、HDRを用いたドラマはあったが、今回は年間で50本制作するため、時間的にはHDRをつくるだけでも手一杯。カーブを当て込むだけで、自動的にハイビジョン放送の映像ができればSDRの番組も同時につくれる」(担当者)
 HDRとSDRの制作では、これまでさまざまな試行錯誤を繰り返し、中には別々に編集してきたこともあったという。これまで4K-HDRで撮影しても、編集・グレーディング段階で4K-HDR用、2K-SDR用を別々に作業するなど、さまざまな試行錯誤をしてきたそうだ。今回、一括変換カーブを用いることで「作業効率を大幅に向上させることができる」(同)。

1つのドラマで1つの一括変換カーブ

 一括変換カーブのデータは、1つのドラマで1つしかつくらない。そのため「ハイライト部分はHDRだと表現できているが、SDRだとディテールがとんでいる部分もある。SDRでは表現できない部分をHDRでは表現できるという違いはある」。「HDR、SDRで世界観が変わってはいけない。服の色や顔色・トーンなどが同じように見えるように、SDRでも演出的な意図を損なわない範囲に変換するための3D LUTのカーブをつくった」(同)。
 「屋内・屋外など光の条件が異なる場合もある。が、手間をかけるなら別々ということもあるが、今回は1つの3D LUTでやろうと。成立していないところはない、というようなカーブにしている。なので、空は飛んでしまうが、見たいところは見られる。その兼ね合いが難しかった」(同)。

 今回の手法は、今後、次回の朝ドラ・連続テレビ小説で同じく4K HDRで同じような手法をとる予定だ。今回、標準のコンバーターで読める3D LUTの形式に変換する装置を開発。同装置上でHDRからSDRに変換して得られたパラメーターを3D LUTに変換している。「汎用的なフォーマットになった3D LUTなら、IS-miniでも、編集機でも読むことができる。これにより、制作上の制約をなくし、4K-HDRの制作効率を高めていく」という。

マルチカメラ操作を集中コントロールで容易に

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収録部集中コントローラー

 4K8Kのエリアではまた「4K一体型カメラ取付型光リンクと収録部集中コントローラー」が展示された。これは、ドラマ制作等における4K一体型カメラの複数台同時撮影におけるカメラの一括コントロールを4K対応の光リンクで実施するもの。光リンクにより、4K信号、カメラ制御、RET、タリー、TCC、電源などの長距離伝送が可能になった。また、集中コントローラーでは、各カメラの収録部を一括コントロールすることで、現場における映像の再生チェック時に、一人の操作で頭出し・同期再生ができるため、マルチカメラ撮影の映像のずれをなくすことができる。「演出的に、同時に収録した複数の映像を同じタイミングでチェックしなければならないとき、これまではそれぞれのカメラの操作を手作業で別々にやっていたため、どうしてもずれてしまっていた」(担当者)。


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