Inter BEE 2021

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Special 2021.11.04 UP

【INTER BEE CONNECTED】放送局の新たな課題に向き合うために〜塚本幹夫氏が語るセッションのポイント〜

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InterBEEが間近に迫ってきた。今年で8年目を迎える特別企画INTER BEE CONNECTEDでは初日17日の基調講演の後、18日19日と3つずつ、計6セッションが行われる。メディアのCONNECTを軸に多様なセッションがこれまで展開されてきたが、今年は今までにない切り口のテーマが設定されている。企画したアドバイザリーボードのメンバーのまとめ役、ワイズ・メディア取締役メディアストラテジストの塚本幹夫氏に、2日間のポイントと魅力を語ってもらった。

ひとつ目の課題は、データによる新しい価値の提供

「今年のCONNECTEDは世の中の変化に放送業界はどう対処すべきかを大きなテーマに据えました。」と塚本氏は切り出した。「変化に対して、テレビ局が突き付けられている課題が今2つあります。ひとつめは、テレビ視聴の変化に対応するデータの必要性です。」

「長年GRPだけで商売してきて細かいデータは不要と思っていたし広告会社も広告主もそれをよしとしていましたが、そうもいかなくなってきた。様々に取得したデータを分析することで新しい価値を提供しなければなりません。またコロナ禍で人々とメディアの関係が大きく変化しました。その実情を把握するためにもデータは重要です。」
18日は、データを軸にメディアの変化への対応を考えるセッションが展開される。まず10:30から、ニューノーマルの生活行動の変化がメディア利用にどんな影響を及ぼしたかを議論する「アフターコロナ:誰がテレビスクリーンを制するのか」でスタート。そして13:00からは「コンテンツ視聴分析の変化、現状整理と利活用の今後」で、視聴分析がどんなデータをもとにどんな分析をしているかを整理し、分析の未来像を探る。さらに15:30からの「テレビは変わった!テレビはどうする?」では、放送からネットへ領域を広げた事例をもとに、変化する時代のコンテンツづくりを議論する。

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もう一つの課題、新たな公共性とガバナンス

「テレビ局が突きつけられたもうひとつの課題は、コーポレートガバナンスです。」とさらに塚本氏は語る。「社会の意識が大きく変化し、メディアに新たな公共性が強く求められるようになりました。企業としてのあるべき姿を、放送局も体現しなければいけない時代。さらにキー局は上場企業としてプライム市場に移行するために、新たなガバナンスコードへの厳しい順守が必要となっています。」
19日は、新たな公共性をテーマに3つのセッションが展開される。10:30からの「地域から問い直す“放送の公共性”」では、在京キー局出身のトップが集まり複眼的視野でローカル局を語る。13:00からの「ダイバーシティが広げる、テレビの可能性」ではまさにガバナンスコードで重要視される多様性をテーマに、そこから広がるこれからの番組づくりについて議論する。そして15:30からの最終セッションでは「SDG’sにより変革する放送業界への視線と評価の環境」のタイトルで、持続可能性の視点で見た放送局の価値を論じる。


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ここ数年、放送局は変化を求められていたのが、コロナ禍で待ったなしになった感がある。CONNECTEDがこれまでにはないテーマを据えたのも、そんな状況を感じ取ってのことだろう。塚本氏も「チャレンジングなセッションも組みましたが、幅広いみなさんに聴講していただけると思います。」と新しいCONNECTEDへの期待を込めて語る。放送局が変わらねばならないのと同じように、InterBEEも変化しているのだ。2021年は、CONNECTEDにとっても大きなターニングポイントになりそうだ。新しい発想の各セッションにぜひ期待して聴講してほしい。

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