Inter BEE 2021

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Special 2023.05.01 UP

【Inter BEE CURATION】生活者データで見るコネクテッドTV(CTV)の視聴実態

吉田正寛 VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。

インターネットに結線接続されたテレビであるコネクテッドTV(CTV)の視聴実態に関心が集まっています。CTVでは、従来の放送に加えNetflixやYouTubeのようなインターネットコンテンツをテレビ画面で視聴することが可能です。こうした使われ方の実態はどのようなもので、従来の放送視聴とのすみ分けや視聴習慣の違いなどは気になるところです。今回は、生活者の行動データが蓄積されたビデオリサーチのデータベース、「ACR/ex(エーシーアール エクス)」を使って実態に迫りました。

※コネクテッドTV(CTV)とは??
インターネット回線に接続されたテレビ端末のことを指し、テレビで地上波や衛星放送等の番組だけでなく、動画ストリーミングサービスや見逃し配信の視聴、またゲームのプレイ等が可能です。

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅広告のプランニングに携わる方
✅コネクテッドTV(CTV)の視聴実態に関心がある方
✅生活者のメディア接触実態に関心がある方

1.コネクテッドTV(CTV)の普及率は??

結論から申し上げると、コネクテッドTV(CTV)普及率はコロナ禍前2019年から約20pt上昇し、2022年では約57%と過半数以上まで増加しました。コロナ禍の影響もあり、テレビをネットにつなぐ習慣が進んだといえそうです。

なお、普及率の推移については、以下の方法で確認しました。

・ACR/exの項目にテレビのネット結線の有無を問う項目からネット結線率を算出
・上記で算出したコネクテッドTV(CTV)の普及実態を、コロナ禍前後の時系列変化で確認(図表1)

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さらに、インターネット結線をして利用するサービスをみると、普及率の増加に伴いNetflixやYouTube、TVerのテレビでの視聴が増加していることがわかります(図表2)。

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コンテンツを楽しむ視点でテレビ受像機を活用するという生活スタイルが加速しているといえるでしょう。

2.テレビ視聴に占めるテレビでのインターネット動画視聴の割合

以下の60分時間区分別行動率をACR/exの生活行動データから集計し、その合計に対するテレビで動画視聴率のシェア(以下、動画視聴シェア)を確認しました。

・「テレビ視聴/全局(地上波・BS・CS・CATV)」(以下、テレビ接触率)
・「インターネット動画/テレビ」(以下、テレビで動画視聴率)

まとめると、次の算出式になります。
動画視聴シェア=テレビで動画視聴率÷(テレビ接触率+テレビで動画視聴率)×100

上記算出式を用いて動画視聴シェアを時間区分平均で算出すると、週平均で8.7%でした。
また、平日と土日では異なり、平日(8.1%)は土日(10.8%)と比べて低い結果でした。

休日の過ごし方の一環として、コネクテッドTV(CTV)で動画視聴をする傾向にあるようです。

週平均の動画視聴シェアを性年代別に比較すると若年ほど高く、男女35-49才層(M2、F2層)でも
10%を超える比較的高い結果でした(図表3)。

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一方で、50代以上は5%前後と他年代よりも目立って低くなります。若い人ほど動画視聴シェアが高いという印象を持つ方も多いでしょうが、その境界は50才にあり、それよりも若い層では多く見られ50才以上(いわゆる3層)ではあまり見られないことがわかります。

3.テレビでインターネット動画を視聴する時間帯は?

週平均個人全体のテレビ接触率とテレビで動画視聴率、動画視聴シェアを時間区分別に確認したところ(図表4)、時間帯ごとに以下3つの視聴特徴が明らかになりました。

・朝や12時台、ゴールデンタイム(19時-22時)はテレビ接触率が相対的に高い
・一方で上記時間帯の動画視聴シェアは低い
・10時-11時、13時-16時の昼間、23時以降の深夜はテレビで動画視聴率が相対的に高く、動画視聴シェアも高い

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テレビ接触率が朝や12時台、ゴールデンタイムでスコアが高くなる"山谷のある"動きを示すのに対して、テレビで動画視聴率は朝9時以降比較的平坦です。そのため、テレビ接触率が谷に差し掛かる時間で動画視聴シェアが高まります。

これは、テレビ放送の視聴とテレビを使ったインターネット動画視聴で行動習慣上の違いがあることを示す結果です。

4.動画視聴シェアは増えているのか?

動画視聴シェアの時系列変化をコロナ禍の前後で確認したところ(図表5)、コロナ禍前2019年の1.7%からコロナ禍中2020年の4.8%と大きく増加しました。

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このトレンドは2022年まで続いていることからも、コネクテッドTV(CTV)でインターネット動画を視聴する習慣が加速・定着していることがわかります。

一方で、時間帯別の時系列変化をみると、動画視聴シェアが高い13時-16時の昼間、23時以降の深夜は、2022年で目立って伸長していました。

特に深夜は変化が大きく、動画視聴シェアの上昇する時間帯が2019年では25時台だったものが2022年では23時と、徐々に浅い時間からインターネット動画を視聴する習慣になってきていることがうかがえます。

【ここまでのまとめ】
これまでの分析で、以下のことが示唆されました。

・コネクテッドTV(CTV)でのインターネット動画視聴がテレビ稼働の8.7%を占め、過去から伸長していること
・テレビ放送の視聴と動画視聴に行動習慣上の違いがあること

これらは今後、どのようにすみ分けていくのでしょうか?次章では、各メディア・コンテンツの特性も踏まえ考察します。

5.テレビ放送とインターネット動画のすみ分け・分化

以下、2つの違いに焦点をあて、ACR/exの行動項目「休養・くつろぎ」とテレビ接触率、テレビで動画視聴率を時間区分で比較しました(図表6)。

・視聴者自身が選択的にコンテンツを指定して視聴するインターネット動画
・受動的に視聴が開始されコンテンツに引き込まれる結果視聴継続が行われることが多いテレビ

結果、テレビは休養・くつろぎとピーク時間が必ずしも一致しないのに対して、インターネット動画はピーク時間が一致しており、同じ波形を描いています。

動画視聴と休養・くつろぎが連動するこの結果は、インターネット動画の視聴において視聴者の時間的余裕をより要することを示唆しています。

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それぞれのメディア特性の違いが行動習慣として現れたこの結果は非常に興味深いです。ドラマがテレビ放送の見逃し配信でよく視聴されるという実態は、この違いと関連するコンテンツの性質によって生まれた現象ともいえるでしょう。

テレビ放送とインターネット動画で、行動習慣上の違いから、それぞれによりフィットしたコンテンツの観点で、内容が分化していく可能性が示唆されます。

しかし、どちらか一方に行動が完全にシフトしていくとは考えにくいでしょう。インターネット動画の視聴には時間的余裕が必要だと考えられますが、余裕のある時間は生活上限りがあります。個人単位で余裕のある時間の持ち時間を上限として動画視聴シェアが増えていくと考えると、動画視聴シェアもどこかの段階で上昇が止まると予想されます。

一方でこの予想は、インターネット動画を「コンテンツを選択的に視聴する場」ととらえた場合に成り立つものです。インターネット動画でも、いわゆるながら視聴を伴った"つけっぱなし"の状態が加速している可能性も考えられます。

今回の結果でも、テレビで動画視聴率が朝9時以降比較的平坦な波形を描くのは、一定の"つけっぱなし"層がいることを示唆しています。この点はまた別の分析で深く見てみたいと思います。

6.さいごに

今回は、コネクテッドTV(CTV)でのテレビ放送とインターネット動画の視聴実態を生活者データから可視化しました。インターネット動画をテレビ受像機で視聴する傾向の高まりが確認されましたが、行動上違った性質を持つことが見出せた点は興味深いです。メディアの接触実態の今後を考える上で自由裁量時間に注目することは必至のことですが、その重要性を改めて感じる結果でした。
ぜひみなさまの、マーケティングコミュニケーション活動の参考にしていただければ幸いです。

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex
・調査時期:2022年4~6月(春調査回)
・対象地区:7地区計
・ターゲット:個人全体(男女12-69才)

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