Inter BEE 2021

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Special 2024.04.01 UP

【Inter BEE CURATION】広告映像はコンテンツの流れを遮らないことが重要-ミッドロール広告挿入実験の結果から- (ひと研究所/広告研究シリーズvol.3)

ひと研究所 生活者×広告研究チーム VRダイジェスト+

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この記事はこんな方にオススメ!
✅広告キャンペーンのメディア・プランニングを担当される方
✅テレビCM・動画広告の広告効果に関心がある方

映像コンテンツへの広告映像の入れ方の影響を考える

ひと研究所 生活者×広告研究チームによるこれまでの研究結果では、生活者のコンテンツの視聴体験が損なわれないことが、広告体験をより良いものにし、広告効果を高めることにつながるということが明らかになってきました。そこで今回、コンテンツの視聴体験に分かりやすく差が出ると考えられる"映像コンテンツへの広告映像の挿入方法"に注目して、広告映像の入れ方と広告侵入感・受容性との関連を検証する研究を行いましたので、その内容を紹介します。

ミッドロール広告挿入実験の概要

最初に、これらを検証するための実験調査の概要を説明します。
実験は、ひと研究所が行った調査である「広告研究調査2023年12月」内で行いました。調査回答者には、2つの広告映像(CM1、CM2、各15秒)が入れられた映像コンテンツを提示し、視聴後に広告について評価を聴取しました。今回の実験では、ミッドロール広告(※)を想定して、映像コンテンツの途中に広告を挿入しました。なお、実験に使用した素材はビデオリサーチ独自のものを用いています(詳細は末尾参照)。

※ミッドロール広告・・・「動画本編を中断して流すビデオ広告」のことを指します。
出典 一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)「インターネット広告基礎用語集

広告映像が挿入された映像コンテンツは、パターンAとパターンBの2種類を用意し、調査回答者にはランダムにいずれか一つが表示される形で実施しました。

パターンA(切れ目に広告提示) : 映像コンテンツの内容の切れ目に広告映像(CM1、CM2)を挿入したもの
パターンB(流れを遮って広告提示) : パターンAから広告映像の挿入位置を10秒前にずらしたもの
パターンBは、パターンAからCMが挿入される位置を機械的に10秒前にずらしたもので、これによって内容の途中で流れを遮って強制的に広告映像が表示される形式となっています(図1)。

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(図1)実験で検証した広告挿入のパターン

また、広告の評価指標として、「広告の侵入感」と「広告の受容性」を聴取しています。
定義は下記の通りです。

広告の侵入感:以下の3項目のTOP2ボックス(とてもそう思う+ややそう思う)
● 広告が煩わしく感じる
● 広告で注意をそがれる
● 広告が目障りに感じる

広告の受容性:
100%から以下の項目のTOP2ボックス(とてもそう思った+ややそう思った)を引いた値
● 広告を回避したい(スキップしたい、無視したい、避けたい)

※各項目5段階で測定

広告はコンテンツの流れを遮らない方が受容されやすい

実験の結果を確認します。パターンA(切れ目に広告提示)、パターンB(流れを遮って広告提示)それぞれの「広告の侵入感(3項目)」「広告の受容性」のスコアが(図2)です。CM1、CM2いずれにおいても、パターンBのほうが広告の侵入感が高く、広告の受容性が低くなっています。つまり、コンテンツ本編の視聴体験を損なうようなタイミングでの挿入では、広告の受容性は低下するということを示唆した結果と言えます。

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(図2)実験結果:広告の侵入感、広告の受容性(回答者全体)

年齢が高いほど、広告の入り方に影響される

続いて、この結果が年齢によってどのように異なるかを確認します。15~29歳、30~49歳、50~69歳の3つの年齢区分に分けて、同じように結果をまとめました(図3a, b, c)。

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(図3a)実験結果:広告の侵入感、広告の受容性(15-29歳)
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(図3b)実験結果:広告の侵入感、広告の受容性(30-49歳)
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(図3c)実験結果:広告の侵入感、広告の受容性(50-69歳)

15~29歳(図3a)と30~49歳(図3b)では、「広告で注意をそがれる」でややスコア差が小さくなっていますが、それ以外は概ねパターンBのほうが広告の侵入感が高く、広告の受容性が低くなっていることが確認できます。そして50~69歳(図3c)でもパターンBのほうが広告の侵入感が高く、広告の受容性が低くなる結果が確認できます。加えて、49歳以下と比較してスコア差が非常に大きくなっていることもわかります。すなわち、年齢が高いほど広告の挿入のされ方による影響が大きいという結果となっています。

年齢による違いがなぜ生まれるかについては、さらなる研究が必要です。例えば、日常的な動画サービスの利用時間の長さや、これまでの利用経験の違い、広告そのものへの態度の違いといった要因が影響していることが考えられます。今後、比較的高い年齢の動画サービスユーザーに対して広告を提示する際には、広告受容性を高める、つまり広告効果性を高めるために、広告映像の入り方により一層注意を払う必要があるということを示唆しています。コンテンツを遮って表示される広告は、期待している広告効果が十分には得られない恐れがあるのです。

より良い広告体験のために

今回行った実験の結果、
●広告映像はコンテンツの流れを遮らない方が受容されやすい
●年齢が高いほど、広告の入り方に影響される
という示唆が得られました。

動画視聴の拡大・浸透が今後も続いていくことが予想されますが、同時に、そのような映像メディアにおける広告の受容性を高めていくことの重要性も、より一層高まっていくと考えられます。今回、 "コンテンツの流れを遮らない広告の方が広告の受容性が高まる"ということが実験の結果示されました。感覚的には理解できる話ですが、数値として示されたことには大いに意味があると言えます。

今後、広告の自動挿入に関するテクノロジーの進化やサービスの発展などによって、生活者のコンテンツや広告の視聴体験の向上が期待できます。ひと研究所では引き続き、生活者にとってのコンテンツ・広告の視聴体験の向上につながるような研究を進めていきます。

【ひと研究所 広告研究調査2023年12月 調査概要】
調査日 :2023年12月8日(金)~12月9日(土)
調査手法 :web調査
調査エリア :全国
サンプルサイズ :1,600
対象者属性 :男女15~69歳(なるべく均等になるように回収)

【実験素材】
■映像コンテンツ:【ビデオリサーチが伝える、視聴率のヒミツ】「視聴率は実は2種類ある⁉」
※5:05までを利用
■CM1:Synapse 15sec (ビデオリサーチ「Synapse」広告映像)
■CM2:シニア本紹介「モラトリアムって何?編」 (ビデオリサーチひと研究所「新シニア市場攻略のカギはモラトリアムおじさんだ!」広告映像)

【関連記事】
生活者に受け入れられる広告―メディア接触モードと広告の受容性の関係 (ひと研究所/広告研究シリーズvol.1)
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