Inter BEE 2021

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Special 2024.11.14 UP

【INTER BEE CINEMA】クリエイターズインタビュー特別編「今年も開催、ロケ弁グランプリ! 主催の「ロケなび!」「ロケーションジャパン」にきく地域活性プロジェクト」

林 永子

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Inter BEE開催60回目を記念してホール3にて展開される【INTER BEE CINEMA】。特設エリアでは、実際にスタジオセットを建てて撮影するデモンストレーション、著名なゲストを招いたトークセッション、「レンズマイスター」が来場者の要望に応じてシネマカメラのレンズ装着や説明を行う「レンズバー」といったユニークなコンテンツとともに、映像制作者の交流や若手育成の場を提供していく。

その関連特集「クリエイターズインタビュー」では、独創的なクリエイターの多岐にわたる活動を紹介していく。今回はすべての映像制作者を支える「ロケの立役者」としてInter BEE には欠かせないビッグイベントをご紹介したい。

最新映像音響機器がずらりと立ち並ぶ幕張メッセの一角にて、異彩と美味しそうな芳香を放つあのコーナー。そう、みんな大好き「ロケ弁グランプリ」!

ロケーションポータルサイト「ロケなび!」が主催するお弁当コーナーには、映像制作者を対象とした投票から選ばれたロケ弁の雄が揃い踏み。5年ぶりの開催となる今年はどんなメニューが登場するのか。その詳細に加え、「ロケなび!」およびロケ地情報誌「ロケーションジャパン」の運営母体であり、一般社団法人ロケツーリズム協議会の主催を通じ、地域活性事業を大きく展開している「地域活性プランニング」の活動について、髙木睦美氏(「ロケなび!」編集長)、山田実希氏(「ロケーションジャパン」編集長)にお話を伺った。

事業内容

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株式会社地域活性プランニング

代表取締役 藤崎 慎一
設立年 2003年4月

地域活性化のプロデュース・人材育成
ロケ地情報誌「ロケーションジャパン」の発行
制作者向けのロケ地検索サイト「ロケなび!」の運営
地域のとっておき商品のお取り寄せサイト「LJマルシェ」の運営
ロケ実績を活用したブランディング
各種イベント企画及び広告業

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ロケ弁の定義、3箇条を制定!

――今年もInter BEEにてロケなび!主催の「ロケ弁グランプリ」開催! 参加店のお弁当が並ぶとのことですが、どんなラインナップとなるのでしょうか。

山田実希(以下、山田 写真右):まずお伝えしたいのは、最近できた「ロケ弁とは何かという定義」です。

――え、ロケ弁に定義があるんですか?

山田:ちょうどできたばかりなんです。先日、千葉県旭市で「ロケ弁グランプリin旭市」が開催され、あさひロケーションサービス協議会の方、審査員の映像制作者の方と一緒に参加いたしました。自治体は物産を売り込みたい。そのためにロケを誘致して、映像制作者にアピールしたい。そしてお腹も満たしていただいて、自分たちの地域を好きになってもらいたい。そうした目的でロケ弁グランプリを開催するにあたって、地元にはまだロケ弁としては提供したことのないお弁当もあるし、豪華なおもてなし弁当がロケ弁として適しているとは限らない。食べやすさも大事。諸々を考慮した結果、ロケ弁とは何かという3箇条ができたんです。

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髙木睦美(以下、髙木 写真左):1.あの俳優も食べたお弁当。 2.ロケ弁になることで、メディアでも引っ張りだこ。 3.引っ張りだこになると注文が殺到し、地域活性。以上が”ロケ弁3箇条”となります。さらに投票の審査基準としては、冷めても美味しい、バランスの良さ、彩り、栄養、ボリュームなどありますが、一番大事な項目が「白米の美味しさ」。
――これはすごい。Inter BEE史上初ですよ、関連記事に「白米の美味しさ」が載るのは。

髙木:米が大事です。映像制作者さんの目線としては、ゴミの分別がしやすい、移動中でも食べやすい、といったポイントも評価の対象です。また、ロケは天候に左右されますので、キャンセルの融通が効いたり、キャンセル期間がはっきり決まっているお店だと頼みやすい。ロケなび!には、お弁当屋さんの配達の範囲や受付時間も掲載しています。

――その選ばれしロケ弁を、実際にInter BEEでも味わえるんですね。人気メニューは?

髙木:やはり映像作品に提供されたお弁当は人気があります。見た目的にはドルフィンのオムライス。制作者にはガッツリとしたお弁当が人気です。Inter BEE2024の出展店舗の中だと、初参加はBran。副菜もありガッツリなお弁当です。tono caféやLUNCH FACTORYのお弁当は彩りが良く目で見ても楽しめます。らーめん106(トム)feat.花悠は、実は前述のロケ弁グランプリin旭市でグランプリになったお弁当屋さんです。全部で8店舗出るので、みなさん迷われると思います。

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ロケを誘致し、地域のファンを獲得するシティプロモーション

――ロケ弁は美味しいご飯としてのニーズはもちろんのこと、Inter BEE空間において、映像音響機器展とロケーションという映像には欠かせない両者を唯一つなぐ、ハブのような機能も担っています。せっかくの機会ですので、ロケを通じた地域活性を行うみなさまの活動全体をご紹介したいと思います。まず「ロケなび!」から。

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髙木:ロケ地を軸に関連情報を集めたポータルサイトとして運営しています。ロケ地の検索に加え、ロケ弁情報、打ち上げ会場、撮影サポートの機材手配まで幅広く掲載しています。打ち上げ会場は、キャパシティや制作者特典、演者さんをアテンドする裏動線のあるお店など、映像制作者のニーズに応える情報が便利です。

――「ロケなび!」を運営されている地域活性プランニング社は、隔月誌「ロケーションジャパン」も出版されています。大元の立ち上げ経緯を教えてください。

山田:当社の設立が2003年4月。6月には「ロケーションジャパン」が発刊されました。今は、大河ドラマのロケ地やアニメの舞台が聖地化し、多くのファンが訪れると同時に経済効果もあがっていますが、そのムーブメントに先じて、映像制作者とシティプロモーションを行いたい地域のマッチングを促す目的で、本誌が立ち上がりました。ただロケを誘致するのではなく、意図してプロモーションを行うか否か。例えば「ゆるキャン△」の聖地として知られる静岡県川根本町は、地域の魅力を発信したい、ファンになってほしいという熱い思いでロケを誘致されています。他の地域も含めて、ここ10年で積極的に仕掛けていく機運が高まっています。

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――「ロケなび!」が誕生した経緯を教えてください。

山田:2004年当初はインターネットがまだ普及しておらず、本での発信に需要がありました。6年後くらいに『冬のソナタ』や『世界の中心で、愛を叫ぶ』などのブームがあり、映像制作者向けだった本誌を一般のファンの方が買い求めるようになりました。そこで本誌のエンタメニーズが高まり、逆に映像制作者はネットで情報を探し始めていた時期だったので、検索機能を有するWEB版の「ロケなび!」が独立した経緯があります。

髙木:媒体としてはもう1つ、地域のとっておき商品を販売する「LJマルシェ」というECサイトも展開しています。地域をロケ地にする。ロケ地になったら人が集まる。集まった人にものを買ってもらう。という入り口から出口までをカバーする体制です。

山田:当社は自治体にコンサルタントとして入り、約3年かけて人材を育成していく活動を行っているのですが、みなさん学びを得た後には卒業されます。人材育成の後は、雇用を生みたい。その手前でものが売れる仕組み作りを、ささやかながらお手伝いしています。

――御社が主催する「ロケツーリズム協議会」では、映像制作や版権にまつわるノウハウを教えるセミナーの開催とともに、映像制作者と自治体のマッチング会も行われています。

髙木:「ロケツーリズム協議会」自体は2019年に一般社団法人化し、今年で5年目です。その前段として、2008年に映像作品の版権二次活用や、地域と映像制作者の歩み寄りについて考える「勉強会」が始まりました。以降「研究会」「連絡会」と名を変えながら、有志が集い、ロケの誘致・活用の事例を作ろうと協力した結果、2016年に観光庁の「テーマ別観光による地域誘客事業」の17テーマ(酒蔵ツーリズム、アニメツーリズムなど)の1つにロケツーリズムが選ばれたんです。その後、現在の一般社団法人ロケツーリズム協議会が発足しました。

山田:地域に人を呼ぶ入り口をロケ誘致で作るためには、首長、商工会長、観光協会会長を筆頭に、町ぐるみで取り組み、理解を仰いだり、専門知識を共有していく必要があります。そこで我々も自治体に入り込んでセミナーや勉強会を行っています。

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市民とともに育まれるシビックプライド

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夕陽の景勝地・黄金崎の馬ロック

――自治体と制作者のニーズがマッチングしたロケ地の事例を教えてください。

山田:関東近郊ですと、静岡県西伊豆町。CM、MV、映画、旅番組など、満遍なく多くのロケ地に使用されています。どこを見ても絶景で、都内からの移動距離も近いという利点もあります。何より夕陽が素晴らしい。

髙木:最近は、高橋一生さんご出演の「KIRIN Premium ジンソーダ 杜の香」のCMが丹野平という高原で撮影されました。これまであまりフィーチャーされなかった場所ですが、星がきれいな場所としても気づかれ始めています。別のCMに取り上げられた工芸品の「かも風鈴」も再評価がなされています。

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さまざまな映像作品に登場する大三東駅

山田:遠方で実績を生んでいるのは長崎県島原市。島原は市長直轄のシティプロモーション課の中にロケツーリズム班ができて、意思決定がとても早い。自治体でよくある「たらい回し」のような対応がなく、制作者は早く協力体制等の回答を得られます。

――島原市は、キリンレモンのCMのロケ地となった大三東駅が大人気です。

山田:CMを見た結果、移住・定住者が増えたというデータもあります。ロケの件数が増えるごとに、ふるさと納税の金額も上がり、移住・定住が増えていく、という状況を直轄の部署が資料化しているんですね。それを見た市民も効果を理解する。協力体制から好循環が生まれる良い事例です。西伊豆も、町長が先頭に立って、上手にふるさと納税につなげている。子供たちにロケツーリズムの授業を開き、自分たちの地域が外から注目を浴びている事実を気づかせる、とても有意義な活動をされています。

髙木:先述の旭市も、「おっぺし隊」という民間の方々が意欲的。千葉には「おっぺし」という言葉があって、推すという意味なのですが、映像制作者をおっぺして応援しようという民間有志の方がたくさんいるんです。ロケーションそのものも、屏風浦を通って九十九里浜が奥まで見渡せる絶景に、朝陽も夕陽も映えて、富士山も見えます。また、岐阜県飛騨市は、ロケツーリズム協議会のマッチング大会の成果で映画『仏師』の撮影が決まりました。同じく飛騨ロケの映画『雑魚どもよ、大志を抱け』は「ロケーションジャパン大賞」の撮影サポート部門賞受賞作品です。

山田:自治体が積極的だと、地域の市民がエキストラなどで参加してくれるんです。各市長も、映像制作者の方々と芸能の仕事を一緒にするのは、一生に何回もあることではない、そのシビックプライドを大事にしていこう、来てくれたご縁を大切に手厚く迎えよう、と市民に呼びかけてくれています。

――制作者のみならず、企業、機器メーカーと地域がコラボする事例はありますか?

山田:SONYの「CREATOR’S CAMP」は、ロケツーリズム協議会のマッチングによって実現したプロジェクトです。第一回が福島で、函館ではオリックスホテルが参画されました。SONYさんの機材で、興味のある地元の方や学生、セミプロの方など、約30名が、リアルクリエイターに指導を仰ぎながら、その土地のPR動画を撮る。班を分けて3日間ワークキャンプを行うプロジェクトです。

髙木:ワークショップの開催も、住民の方が参加できると喜ばれますね。

ーー最後に<INTER BEE CINEMA>に集うクリエイターと一緒に何ができるか、ご意見をお聞かせください。

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山田:映像制作者とロケハンツアーに行くと、用意された観光名所ではない、「まさか!」といいたくなるようなマニアックな場所ばかり行かれるじゃないですか(笑)。その「まさか!」のお話をたくさん伺って、ムックを作りたいです。

髙木:一度は撮りたいロケ地のムックとかもいいですね。あと、いろいろな施設がありますが、カメラマンさんや音声さんと、撮影しやすい施設、しにくい施設のディスカッションができたら面白い。リアルな意見を伺いたいです。

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