Inter BEE 2021

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Special 2023.10.12 UP

【INTER BEE BORDERLESS】企画セッション「FAST・CTVの海外最新動向と日本のリアル」事前レポート

境 治 Inter BEE 編集部

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左から、山畑氏、高澤氏、奥村氏。もう一人のパネリスト長谷川氏は海外取材のためこの日は参加できなかった

INTER BEE BORDERLESS、17日(金)10時30分からのセッションは「FAST・CTVの海外最新動向と日本のリアル」と題して、映像配信業界の動向を扱う。先日、その打ち合わせが行われ、モデレーターのTBSテレビ・メディア企画室 担当部長の高澤宏昌氏と、パネリストの株式会社SHIFT・コンサルティング部 マネージャーの奥村文隆氏、そしてPwCコンサルティング合同会社・マネージャーの山畑健太郎氏が集まった。もう一人のパネリスト、コンテンツビジネス・ジャーナリスト長谷川朋子氏はちょうど海外取材中で欠席したが、海の向こうで仕入れたホットな情報を当日披露してくれるだろう。ここでは、どんなセッションになるかをみなさんにお伝えしたい。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境治)

昨年の基調講演の続きとして、さらなる最新動向を

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奥村氏による映像新聞での連載「FASTの衝撃」

モデレーターの高澤氏はBORDERLESSのアドバイザリーボードのメンバーであり、昨年の基調講演にも登壇した。CTV(コネクテッドTV)の海外動向をテーマにし、FASTに注目したセッションだったが、今年の本セッションはその続きとしてやはりCTV、そしてFASTを題材にした企画だ。「昨年ご好評いただいた題材を、新たなパネリストを迎え、最新状況と共にディスカッションを深めたい」と企画意図を語る。「よその国のことにならないように」を大きな方針とし、海外の技術や制度の紹介にとどまらず、「CTV・FASTの出現で社会、日本の視聴者・消費者がどう動くか」をテーマに据えたいと言う。セッションは、3名のパネリストに10分強のプレゼンをしてもらい、後半はディスカッションの構成になる。
パネリストに招いた奥村氏は、映像新聞で長らく連載をして来た。今年5月から6月にかけての「FASTの衝撃」と題した記事を読んだ方も多いだろう。元々は通信業界が専門領域だが、求めに応じて放送や映像配信の分野も調べるうちにFASTが米国で与えたインパクトについても掘り下げていったという。おそらく、いま日本でFASTについて最も詳しく語れる論客の一人だ。「米国のテレビ業界はいま、第3の黄金期を迎えていると言っても過言ではありません。その新たな成長の核になっているのがFASTです。」またFASTはどんどん進化し、元々の「Free Ad-supported StreamingTV」の定義にはまらなくなりつつあるそうだ。奥村氏の知見はぜひ参加者の皆さんに共有してもらいたいところだ。

海外イベントでの事例ももとに、日本での可能性を議論

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フランスTV&配信市場の現況を学ぶ業界向け勉強会で取材中の長谷川氏

この日の打ち合わせには参加できなかったが、やはりBORDERLESSボードメンバーでもある長谷川氏は、頻繁に海外に取材している。その中で、FASTは様々なイベントのテーマの一つに自然と出てくるそうだ。そのレポートはYahoo!エキスパートとしての連載記事で読むことができる。4月のカンヌのMIPTVでもFASTは主要な話題になり、5回に分けて記事にしている。イギリスBBCスタジオやドイツZDFスタジオのFAST参入の話題で盛り上がる10月のカンヌのMIPCOMで特集されるFASTも含めて、11月のこのセッションでは、それら海外イベントでのFAST最新情報を披露してもらえそうだ。
放送局での勤務経験もある山畑氏は、こうした海外の最新情報を受けて日本での可能性を探る立場で登壇する。コンテンツ市場を俯瞰から分析してもらい、そんな中でFASTが日本で誕生するとしたらどんな形か、実現性はどの程度かなどに言及する予定だ。山畑氏は登壇に向けての抱負をこう語る。「我々PwCではエンタテイメント&メディア業界についてグローバルの年次調査を行っておりますが、最新の予測で注目するのが、向こう5年で広告領域が個人消費額をおさえ業界最大セグメントになり替わる点です。当日は日米差を踏まえつつ、少しでも国内メディア業界の未来につながる討議が出来れば幸いです」
FAST、そしてCTVは人によってはナーバスな反応をする題材かもしれない。だが米国の潮流が数年のタイムラグを経て日本でも巻き起こるのは、Netflix上陸後のSVODの発展で私たちは経験したばかりだ。FASTがいずれ日本でもローンチするのは時間の問題だろう。その時に備えて、情報をよく把握し、掘り下げておくことは重要ではないだろうか。自分たちの未来にも関係する話題として、FASTについて知見を深める機会となるだろう。FASTってよくわからない、という人にこそ聴講してもらうといいと思う。

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