Inter BEE 2021

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Special 2024.10.24 UP

【INTER BEE BORDERLESS】企画セッション「ローカル局 元トップが次世代に託す放送局の未来像」事前レポート

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左上:和氣靖氏、左下:中村耕治氏、右上:根岸豊明氏、右下:塚本幹夫氏。

11月14日15:00からINTER BEE BORDERLESSの企画セッション「ローカル局 元トップが次世代に託す放送局の未来像」が行われる。長年ローカル局の経営に携わり社長・会長を務めた3名の元トップが、激変する放送業界の中でローカル局が直面する課題や、次世代に向けた展望について語り合う。重い肩の荷を下ろしたところで、リラックスしてざっくばらんにお話しいただけることだろう。
その事前打ち合わせでは、パネリストたちがリモート会議で率直な意見を交わし、放送業界の未来像について明るく熱い意見交換がなされた。当日どんな議論が展開されるか、期待が高まる。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境治)

今年それぞれ書籍を上梓した根岸氏と和気氏

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『テレビ局再編』と『ローカル局の戦後史』

一人目のパネリストは、札幌テレビ放送株式会社元相談役、根岸豊明氏。『テレビ局再編』(新潮新書)を今年1月に出版し、著書を通じてその名を知る人も多いだろう。日本テレビから札幌テレビに行き、社長・会長を務めて昨年、相談役の任も解けた。
根岸氏は、放送業界の変化と若い世代への期待について言及した。「今のテレビのままで10年20年とは続かないと思います。新しいテレビを作ることで、やっぱりテレビは終わらないんだと、若いみなさんにメッセージしたいですね。」と、次世代への期待を込めた。
九州朝日放送株式会社取締役相談役、和氣靖氏も『ローカル局の戦後史』(ミネルヴァ書房)を10月28日付で上梓。同局の歴史を通じて戦後発達したローカル局のこれまでを辿った書籍だ。朝日新聞社から九州朝日放送に赴任した和氣氏は、地域メディアとしての放送局の役割について強い思いを持っている。「放送局という枠にとらわれずに、地域ともっと関わっていく。地域のソリューションカンパニーになっていくことはできないか、みなさんと議論したいです。」と、放送局の新たな可能性を示唆した。

地域に密着した放送局の在り方をリードしてきた中村氏

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中村氏の理念が凝縮された2018年の新聞広告

株式会社南日本放送相談役、中村耕治氏は地域における放送局の在り方を追求し、実践してきたことで知られる。相談役に退いた今も「まだできてないことがあります。」と地域に貢献する志を示す。
「地域メディアとしてまだやっていないことはジャーナリズム力だと思うのです。そこしか地域メディアとして成り立つ場所はありません。」と述べ、地域に根ざしたメディアの在り方をあらためて投げかける。
モデレーターは株式会社ワイズ・メディア メディアストラテジストの塚本幹夫氏が務める。 元フジテレビの塚本氏にはFNS系列の意見も代弁してもらえるだろう。各パネリストの経験や知見を引き出しつつ、「次世代に託す」というテーマに沿って議論を進行してもらう。「若い人たちにも期待してもらえるようなテレビ局、若い人たちが活躍できるようなテレビ局についてみなさんの意見を引き出したいです。」と意欲を語った。

このセッションは、放送業界の未来を考える上で貴重な機会となりそうだ。長年の経験を持つ元トップたちの率直な議論を通じて、ローカル局の可能性と課題、そして次世代へのメッセージが伝わるだろう。放送業界に関わる全ての人々にとって、示唆に富む内容になるのは間違いない。ぜひ多くの人に聴講してもらえればと思う。

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