Inter BEE 2022 幕張メッセ:11月16日(水)~18日(金) オンライン:12月23日(金)まで

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メディア・ソリューション 2022.06.20 UP

そこでは、未来がもう起こっていた。VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022レポート

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VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022会場とVook社長・岡本俊太郎氏

昨日までは未来のことだと思っていたことが突然、すでに現在になっている。そんなことが稀に起こる。その時、そこから大きく世の中全体が変わっていくものだ。
6月10日と11日の二日間、渋谷ヒカリエで開催されたイベント「VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022」の会場で私が体験したのも、まさに去年までは未来と思っていたことだった。デジタルという新しい表現ツールを手に独自の映像制作に取り組むクリエイターたちが、驚くほど大勢集まっていたのだ。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境治)

Cinematographerに対して生まれたVideographer

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まずVideographerとは何か。これまで映像制作に関わる人々は映画やテレビ番組、CMなどを作っていた。そして映画やCMではフィルムで撮るのが当たり前だった。2000年代半ば、デジタル一眼レフカメラで高精細の動画が撮れるようになった。機材のハードルがぐっと下がり、若いクリエイターたちがデジタル映像を自らカメラを回して作るようになった。フィルムで撮るプロの作り手がCinematographerなら、デジタルを駆使する作り手たちはVideographerと呼ばれるようになった。
つまり「VIDEOGRAPHERS TOKYO」はそんな映像作家たちのイベントだ。ほんの数年前までは正直、こぢんまりと開催される、いかにもアマチュアたちの催しだった。だが2022年のVIDEOGRAPHERS TOKYOは大勢のクリエイターたちでごった返す一大イベントに成長していた。2日間に渡って開催されるカンファレンスが最大の魅力で、映像制作に役立つ具体的な手法や、クリエイターとしての考え方を伝えるものなど59にも及ぶセッションが展開され、どれも立見が出るほどの盛況だった。

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いくつか見たセッションの中でクロエ・ジャオの名が出た。「ノマドランド」でアカデミー賞を受賞し、マーベルの新機軸のヒーロー映画「エターナルズ」も撮った映画監督だが、彼女も出だしはVideographerだったという。注目作「ザ・ライダー」の制作スタッフは6名程度。これに目をつけた女優フランシス・マクドーマンドが「ノマドランド」の監督に指名したのだ。
彼女に限らず、Videographerとして自分で一眼を回していた映像作家が大きな規模のプロジェクトで中心的クリエイターとして活躍するのは、ハリウッドでは当たり前。VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022の盛況ぶりは、同じようなことが日本でもこれから起こることを予感させる。いや、それはすでに起こっている。

映像制作者のキャリアパスが多様化している

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VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022は株式会社Vookの主催。2012年に創業したVookは若い映像作家たちに情報を提供しコミュニティ形成を支えてきた。まさにVideographerたちのための会社だ。社長の岡本俊太郎氏にインタビューの時間をもらった。

-大変な盛況で驚きました
一眼レフで映像を作ったりする作り手は増えています。そういう人材へのニーズも急増していて、今日来ていただいてる方もそういう人たちだと思います。

-Videographerたちは独学で学んできた人が多いようですね
もともと、映像業界に入る人は専門領域を学校で学んだ人は少ないと思います。Web広告とかYouTubeなどで映像制作市場がぐんぐん伸びているので、その従事者が必要になっています。彼らの道をちゃんと作らないといけない。一方、テレビ業界にいた方の中で、Webに移って来る方も出てきました。今は映像業界のキャリアパスが本当に広がっています。そんな多様化を今回VIDEOGRAPHERS TOKYOでいろいろ表現できたらなと思っています。

-既存の映像制作の会社との垣根はなくなるのでしょうか?
完全に垣根が取っ払われるとは思いません。逆に違いはあるべきだと感じています。ただ人材の流動化はどんどん進むでしょう。ワークフローのデジタル化も加速してスマートになってますから、作り方が似てくると思います。人材の奪い合いにもなって、全体として市場は大きくなる気がします。

Videographerたちが活性化させる映像制作市場

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WEBやYouTubeなどが映像制作の「市場」と言える場に育ち始めている。それと共に機材や技術も更新され、より使いやすくリーズナブルなものが続々登場するようになった。業界の垣根は低くなり、人材が交錯し始めた。クリエイターたちだけでなく、それを取り巻く映像業界全体が沸き始めているのだ。
プロフェッショナル向けの技術や機器が集まるInterBEEにも、この潮流は影響しそうだ。昨年も、幕張への来場者の中にカジュアルな出立ちの明らかに若い世代が目についた。未来が現実になる時は、同時に世代交代が進む時でもあるはずだ。実際、テレビが新しい波に覆われ活況を呈した80〜90年代の番組づくりを担ったのは、当時の若者たちだった。2020年代の映像革命を起こすのは、Videographerたちと、それに刺激を受けた今の若者たちなのだろう。彼らが起こしたさざなみを、大きな波になるよう業界全体が応援する時なのだと思う。

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