Inter BEE 2023 幕張メッセ:11月15日(水)~17日(金) オンライン:12月15日(金)まで

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Special 2019.11.05 UP

【INTER BEE CONNECTED2019】企画セッション「GYAOとAbemaTVに聞く映像メディアの次のステップ」事前レポート

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左から、小池氏、松浦氏、田中氏

テレビ局はいま、放送収入の前年減に悩んでいる。一方で、テレビ番組をネットで配信するビジネスは、成長が期待できるもののテレビ局にとってはまだまだ経験値の浅い領域だ。ネットではYouTubeに代表されるUGC(ユーザーが制作したコンテンツ)メディアが数多く存在するが、テレビ番組や映画のようなプロフェッショナル・コンテンツをメインにしてビジネスするメディアは限られている。テレビ局が参考にすべきはそちらのメディアだろう。その雄といえば、GYAO!とAbemaTVだ。そこでこのセッションではこの2つのメディアをマネジメントする立場として、GYAOの代表取締役社長である田中祐介氏とサイバーエージェント常務取締役でAbemaTVの営業面を担う小池政秀氏にご登壇いただく。モデレーターはスマートニュースでメディアとのリレーションを担当し、個人としてもAbemaTVなどで論客として活動する松浦シゲキ氏にお願いした。映像メディアがどうビジネスを展開し、今後どう進むかを議論していただくセッションだ。先日行われた打合せの様子をお伝えしたい。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境治)

それぞれの形でテレビ局とも連携するGYAO!とAbemaTV

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GyaO(当時表記)は2008年に設立、2009年にヤフー株式会社の傘下となった。Yahoo! JAPANのトラフィックを生かすことで、無料動画配信サービスとしては断トツで多くのユーザーアクセス数を獲得している。民放キー局も資本参加しており、TVerとともに見逃し配信を支える重要なプラットフォームとなっている。テレビ局にとっては今や欠かせないパートナーと言えるだろう。キー局だけではなく、ローカル局の人気番組も数多く置かれている。もちろんテレビ番組だけでなく、映画やアニメ、音楽、スポーツなどあらゆるエンターテインメントが詰まっている。無料で質の高いプロフェッショナルコンテンツが楽しめるオンデマンドサービスとしてポジションを獲得したのがGYAO!だ。

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AbemaTVは2016年にサイバーエージェントとテレビ朝日の共同事業としてスタートした。サクサク動きストレスなく使える秀逸なUIで、多チャンネル放送がスマホで楽しめるサービスだ。最近は大学生に聞くと「アベマ見てます!」と即答が返ってくるほど、若年層にすっかり親しまれているようだ。また「山ちゃん婚約会見」などでは地上波テレビが放送できないリアルタイム性の強い会見の配信でも存在感を発揮していた。営業面でも、確かな成長軌道に入ったと業界でももっぱらの評判だ。若者に広告を届けたい企業にとっては、使いたくなるメディアとして評価されているようだ。AbemaTVは当然ながらテレビ朝日と様々に連携している。放送後のドラマ配信でも、TVerなどと並ぶプラットフォームだ。またテレビ朝日以外のテレビ局との連携もいくつか事例が見られる。テレビ朝日のみならず、テレビ局にとってパートナーになりうる存在だ。

プレミアムコンテンツだからこそ示せる価値は何か

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打合せではまずモデレーターの松浦氏が「基本的にはコンテンツの話題よりビジネス面の話を中心にしたいと考えています。他事業者とアライアンスを組む際の仕組みなどお話いただき、できれば未来の話もしてもらえるとうれしいです」と、セッションの方針をパネリストのお二人に語った。これを受けて小池氏は「ビジネス面では、YouTubeという圧倒的なリーチを持つ動画メディアにどう対処するかがポイントでしょう。プレミアムコンテンツがどう広告価値を示せるかがこれからの課題だと思います。」と述べる。田中氏も「結局そこになりますね。UGCに対してのプレミアムコンテンツの価値が、課題の本質です。私が答えを持っているわけではありませんが、議論の中で何らかヒントが生まれたらいいと思います。」と続けた。ユーザーが作った動画にもパワーがあるが、質の高い動画だからこそもたらすメディア価値はあるはずだ。このテーマはテレビ局とも共有できる、いまもっとも重要な議論と言えるだろう。

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打合せの中では、グローバル展開とそれに伴う権利処理の話題も出てきた。アーチストの中には海外へ発信できるプラットフォームに意欲を示す動きが出てきている。ネット上の動画メディアなら日本発でも十分可能だ。AbemaTVはすでに一部の番組は海外からも視聴できるそうだ。ただそこでネックとなるのが権利処理の問題。放送のように動画メディアも包括契約化することで格段に権利処理がスムーズになる。テレビ局と動画メディアが力を合わせてそのために動くこともいま、視野に入れていい状況かもしれない。
打合せのほんの数十分間だけでも話題は多岐に広がり、取り組むべき課題も垣間見えた気がする。当日はさらに本格的な議論で、プレミアムコンテンツの価値をどう示せるか、答えが見出せそうに思えた。14日13時からのこのセッションは見逃せない。下記関連URLから聴講予約ページに飛べるので、ぜひこの機会にお申し込みいただきたい。セッション後にお三方と名刺交換もできるので、楽しみにご来場を!

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