Inter BEE 2023 幕張メッセ:11月15日(水)~17日(金) オンライン:12月15日(金)まで

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Special 2023.12.08 UP

【Inter BEE CURATION】はじめてのMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)~Z世代データサイエンティストが解説~

VR Digest編集部 VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅MMMとは何か、まだよく分かっていない方
✅MMMの特徴や他の分析との違いについて理解したい方
✅テレビCMやデジタル広告など、メディアミックスでの広告効果を検証・改良したい方

「マーケティング・ミックス・モデリングって聞いたことはあるが、詳しくはわからない」
「他の調査との違いは?」
とお考えの方も多いと思います。

MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは、さまざまなマーケティング施策の効果がどのくらいあったのかを「数値データ」をもとに可視化する、統計学を用いた分析手法のひとつです。...といってもなんだか難しそうだと敬遠される方もいらっしゃることかと思います。

そこで今回は、ビデオリサーチ在籍の"Z世代"データサイエンティスト・坂田耕太さんに、初心者でもMMMがどんなものか理解できるよう、なるべく平たい言葉で解説してもらいました。

*インタビュー:VR Digest編集部

統括・ソリューションユニット ビジネスソリューショングループ
坂田 耕太

放送局をはじめとしたメディアやナショナルクライアントのデータ利活用、ブランド力調査、マーケティング活動の支援やコンサルティングを行う部署で現在データサイエンティストとして活躍中。
得意分野は、メディアデータの傾向分析、マーケティングデータの運用・可視化、AIを活用したデータ解析等。

1.そもそも、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは?

編集部:さっそくですが坂田さん、MMMってつまり...何ですか?

坂田:MMMとは、テレビCMやデジタル広告、SNS等のさまざまなマーケティング施策の売上や広告のクリック数などの数値データをもとに、誰にでもわかるように施策の効果を可視化する統計分析手法です。

昨今、マーケティング施策の効果検証にMMMを導入する企業が増えていて、その有用性が注目されています。

どういった場面で活用されているのか?

編集部:デジタル技術の発達もあり、マーケティング施策としてできることの選択肢がとても増えましたもんね。実際、どんな場面で活用されているんでしょうか?

坂田:MMMの最も一般的な活用シーンは、マーケティング予算の配分の検討です。MMMではマーケティング施策の効果を横並びで比較できるため、その効果の大きさをもとに予算配分の検討が行えます。

例えば、以下【図1】のように、4つのメディアに露出するにあたり、各メディアへの予算配分をA~C案の3つ考えたとします。
MMMでは、その案を採用した場合に最終的な売上がいくらくらいになるのか、予測値を算出することが可能です。

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どのくらい自由にアレンジできるのか?

編集部:なるほど、分かりやすい!「メディア」というのは「テレビCM」とか「デジタル広告」といった大きなくくりのことを指すと思いますが、これをたとえば「YouTube」とか「TikTok」みたいに分けたり、「商品名を連呼する素材」と「タレントを前面に押し出した素材」みたいに分けたり・・・もできますか?

坂田:はい、できますね。分析目的に応じて、比較する施策のレベル(粒度)を以下のように自由に設定することが可能です。

・メディアごとに設定
(ex.テレビCMとデジタル広告)
・媒体ごとに設定
(ex.SNS・Aと動画サイト・B)
・クリエイティブごとに設定
(ex. タレントAが出演する「商品X」のテレビCMとタレントBが出演する「商品X」のテレビCM)

加えて、MMMでは各マーケティング施策の「効果の変化量」を推定することもできます。

編集部:「効果の変化量」...って、何ですか?

坂田:難しいですよね。マーケティング施策の効果って、「1やったら1の効果、10やったら10の効果...のように、倍々ゲームで増えるわけではないんです。
例えば、「テレビCMの売上への効果の上がり具合は、CM出稿量に応じて徐々に減少し、xxxGRP以上の出稿ではほぼ効果が変わらなくなる」という関係が見られた場合、そういった関係性のことを「効果の変化量」と呼んでいます。
この関係性を確認することは、広告の過剰な出稿を防ぐために重要となります。

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編集部:本当だ、黄色の線を過ぎると、テレビCMの広告出稿量を増やしてもオレンジの線の動き方が一段と鈍化していくことが分かりますね。

坂田:そうなんです。このようなアウトプットから、各施策の「適切な広告出稿量」を把握することが可能になります。

2.MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)の特徴

編集部:MMMがどんなときに有用なのかは大体わかりました。
ただ、「広告効果の可視化」や「適切な予算配分」って、他の手段でもやろうと思えばできますよね?
MMM"ならでは"の特徴はあるんでしょうか?

坂田:いい質問ですね。以下の表は、マーケティング施策の効果検証に用いられる各手法のメリット・デメリットを整理したものです。

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坂田:「アクセスログ分析」はGoogle Analyticsでのサイト来訪者分析や会員情報をまとめたデータベース(データクリーンルーム/CDPなど)上での分析のことで、「アンケート調査」は「あなたは●●についてどう思いますか」といった、回答者本人に答えてもらう形式の調査を指します。
どちらもマーケターの皆さんであれば、よく利用することがある手法かと思います。

編集部:そうですね、いずれも聞きなじみのある手法なのでどんなことをやるのかは大体想像つきます。
一方で、それぞれにメリット・デメリットがかなり多くあるものの...全部理解するのは正直ちょっと、大変かもしれません(苦笑)
ズバリ、必ず押さえておくべきポイントはどこでしょうか?

坂田:分かりました(笑)
他の手法と比較して、MMMには2つの大きな特徴があります。

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【特徴①】柔軟性が高い

坂田:MMMの最大の特徴は、様々なマーケティング施策の効果を考慮した、「貴社オリジナル」のモデルを作成できることです。
モデルとは、ものすごく簡単に言うと「数式」のことです。このモデルを活用することで、各施策の成果指標への貢献度を分かりやすく数値化することが可能になります。

マーケティングの目的は、売り上げの最大化や会員数アップなど企業によって様々あるかと思います。また、成果に繋がる要因も、施策が直結している場合もあれば、他社などの外部要因が起因する場合もあります。
そのような中でマーケティングの成果を分析するときには、市場環境を総合的に表し、柔軟に分析することができるMMMを用いることがおすすめです。

編集部:「数式」(モデル)を使いこなすんですね。ドラマ「ガリレオ」の福山雅治さん演じる湯川先生みたいです!

坂田:・・・。

編集部:あ、なんかすみません...。でも、そういう分析って、1人1人の個人データでもできそうな気がします。

坂田:うーん、個人データの分析では一部の施策の効果を分析することはできますが、様々な施策を横断した分析は難しいんですよね。

なぜなら、オンラインとオフラインを含む全ての施策への接触を横断的に取得することが物理的にほぼ不可能だからです。
だって...皆さんが1日に接触したテレビCM、新聞広告、駅の看板、スマホで見たネット広告...これらがすべて、だれかによって「●●さんはこの広告を見た」と情報取得されていないと実現できないですよ?

編集部:あ、そうか。確かに。

坂田:このように、断片的なデータからでは、施策の全体的な効果は把握できません。

また、アンケート調査の分析の場合も、ブランド認知やブランド好意、購入意向といった心理指標への効果の分析は可能ですが、調査結果が売上などの成果指標と紐付いていないため、これらを対象とする分析はできません。

【特徴②】:個人情報を扱うリスクがない

坂田:MMMでは、メディア別の出稿量や製品の価格など、非個人データ=個人情報"にあたらない"データを分析に利用します。

個人情報に関する法規制やプラットフォーマーによる技術規制の影響で、個人のログデータ取得のハードルは年々上昇しています。
そのため、メディア接触に関連した分析を行うことが難しく、特に個人データの分析は対象が非常に限定され、示唆を導き出すことが難しいケースがあります。

ただ、MMMでは、メディア別の出稿量、金額、売上の推移といった非個人データを利用するため、これらの規制の影響を受け辛いといったメリットがあります。

編集部:なるほど、「●●さんが××の商品を▶円で買った」だと個人データになるけど、「●●店での××の商品の売上は▶円だった」なら非個人データになるので、いろいろな規制の影響を考慮しなくても分析がしやすくなる、ということですね。

3.MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)の注意点

編集部:ここまでお話を聞くと、MMMは他の手法に比べてとても魅力の高いものだと感じましたが、利用するにあたって気を付けるべきことはありますか?

坂田:そうですね、MMMによる効果検証も万能ではないということに注意が必要です。

例えば、MMMで利用する集計データには詳細な消費者プロフィールは付与されていないことが普通です。したがって、MMMで個人ベースの詳細な分析を行うことは困難です。

編集部:「非個人」データを扱えるのがMMMのメリットだと前章で教えてもらいましたが、逆を言えば「個人」のことはよくわからない、ということですね。

坂田:その通りです。また集計データの相関関係を因果関係と解釈するには、慎重な分析と考察が必要です。

例えば、アイスクリームのような季節性のある商品は、マーケティング施策に加えて、気温が売上に大きく関わる場合があります。※1

※1 夏に広告の出稿量が増加していた場合、一見すると広告出稿量と売上が連動していると見えるかもしれませんが、この時の売上増加の要因が出稿量のみでないことは明白です。

時系列やマーケティング施策以外の要因を無視した画一的な分析では、ほぼ確実に誤った分析結果を導くことになります。

編集部:いろんな可能性を考えて分析しないといけないんですね。なんだか一気に難しく感じてきました。素人が簡単にやれるものではなさそう...。

坂田:実際のところ、MMMは一定以上の統計的知識や経験値がないと、その会社・ブランドにあった最適なモデルを作り出すことは難しいかもしれません。

VR Digestでは、そんな方のために私をはじめとする専門的知識と経験を併せ持ったデータサイエンティストが皆さんの要望に合わせたMMMの実施・サポートを行っていますので、ご興味お持ちいただいた方はお気軽に以下より案内資料をダウンロードいただくか、お問合せ下さいね。

編集部:お、良い感じに宣伝入れてきましたね(笑)ありがとうございます!

下記リンクより資料ダウンロードとお問い合わせができます。
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さいごに:MMMを正しく、適切に活用するために

坂田:近年、マーケティングの目標となる成果指標や広告の出稿計画は多様化、複雑化する傾向が強く、従来のアプローチでは施策の全体的な効果を把握することが困難になりつつあります。
こういった状況下で、マーケティング予算の最適配分などを目的とし、MMMが活用されるケースが増加しています。

MMMの大きな特徴は、非個人データのみでマーケティング施策の効果を横並びで把握できるということです。
また、施策の目的に応じて成果指標や比較対象の粒度を柔軟に変更できる点もメリットの1つです。

MMMを正しく活用するためには、信頼性が高い精緻なデータが必要となります。
当社は特にテレビに関連する指標として、業界標準の視聴率をはじめ数多くの視聴データを保有しています。
そのため、テレビを活用したマーケティング施策に対しては、他社では実施が難しい分析も行うことが可能です。

もちろん、多くのメディアデータを計測、分析してきた経験から、テレビに限らない多様なメディアを活用した施策に対しても、それぞれの課題に沿った分析を実施できるのが私たちの強みです。

編集部:心強いですね!
MMMの利用を検討されている方は、是非当社までお気軽にご相談下さい。坂田さん、本日はありがとうございました。

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