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Special 2024.04.05 UP

【Inter BEE CURATION】朝の動画ニーズは自分の関心ごと中心に~映像視聴の生活者研究シリーズ~

渡辺 庸人 VRダイジェスト+

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【この記事はこんな方にオススメ!】
✅ 若者やZ世代のインターネット動画視聴行動に関心がある方
✅ 生活者の朝の行動に関心がある方

1. 増加する朝の動画視聴(これまでのおさらい)

朝の動画視聴についてのひと研究所の研究「Z世代の朝の動画視聴が急増-その実態とは?」では、若年層(Z世代)で、朝の時間帯に特にスマートフォンを用いての動画視聴行動が増加している実態をレポートしました。それに続く研究「朝に見られやすい動画コンテンツとは?」では、朝に見られやすいコンテンツジャンルについて、動画プラットフォームごとに深掘りし、ニュース・情報へのニーズと、各プラットフォームごとに見られやすいジャンルがあることについてレポートしました。
今回は、なぜ朝に動画を見ているのか、その背景にある生活者心理を探ってみたいと思います。

2. なぜ、朝に動画を見ているのか?

なぜ朝の時間帯にわざわざ動画を見るのでしょうか。引き続きひと研究所が実施した「動画視聴についての研究調査」のデータを分析しながら探っていきます。図1は、動画サービスごとに時間帯を区切って、視聴のメリットなどについて質問をした結果です。

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全体を俯瞰してみると、時間帯によって極端に異なる傾向はあまりみられませんが、朝の時間帯が他の時間帯よりも高くなっている項目がいくつかみられます。
調査した5つの動画サービスカテゴリーごとに、「朝」とそれ以外の時間の結果を比較してみます(図2)。

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動画サービスごとに、若干の違いはみられるものの、やはり総じて似たような傾向になっていることが読み取れます。全体傾向をより理解しやすくするために、「朝」と「昼・夜・深夜平均」のスコア差(朝から他の時間平均を引いた数値)をまとめたものが図3です。

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これを見ると、朝の時間帯では他の時間帯よりスコアが低くなりやすい傾向の項目が2つあります。「くつろいで見られる」と「ひとりで楽しめる・集中できる」です。朝は、身支度や食事などが中心で時間も限られるため、くつろいで動画を見たり、一人で・集中して動画を見たりするのには、あまり向いていないということがわかります。

逆に、朝の時間帯では他の時間帯よりスコアが高くなりやすい傾向の項目もみられます。「ニュースや情報を知れる」「時計代わりになる」「習慣的に見られる」です。ニュースや情報については、朝に見られやすいコンテンツジャンルを分析した「朝に見られやすい動画コンテンツとは?」とも共通した結果といえます。
また、時計代わりという点についても、「Z世代の朝の動画視聴が急増-その実態とは?」で、身支度中に時計代わりとして海外ドラマを視聴している人の事例をご紹介しました。テレビのように"時刻"を知るということではありませんが、いわば"タイマー"のように動画を活用している事例です。これらのメリットを感じる人が、朝の動画視聴を積極的に行っていると推測されます。
そして、平均して朝のスコアが最も高くなりやすい傾向となったのが習慣性です。一般的に、メディアは生活に入り込み習慣化することで利用時間が大きく伸びていくと考えることができます。ニュース・情報や、比較的短め(数分~30分程度)の時計代わりにできるようなコンテンツは、朝の生活行動の中に"習慣"として取り込みやすい傾向にあると考えられます。「Z世代の朝の動画視聴が急増-その実態とは?」で、朝にアニメを1本視聴するのを習慣化している事例をご紹介しましたが、まさに"生活習慣"に入り込んだ例と言えます。つまり、朝の動画視聴の増加は、動画視聴が人々の生活習慣として深く定着してきていることを表していると考えられます。

3. あふれる情報・コンテンツを効率よく処理したい ニーズ

最後に、ここまでの内容を踏まえて、朝の時間帯に動画視聴が増加している背景となる生活者心理を考えてみたいと思います。

ニュース・情報という視点では、テレビのニュースのように幅広い情報よりも、自分の関心がある内容に特化した情報を手早く知りたいというニーズがあることがうかがえます。また、時計代わりや習慣化の事例では、ドラマやアニメを"ながら"視聴している様子がみられました。これらから推察すると、生活者には、あふれる情報・コンテンツを効率よく処理したいニーズがありそうです。現代の生活者、特に若年層は生活全体において「タイパ(タイムパフォーマンス)」を求めている状況です。それを実現するための行動様式・習慣の一つとして、朝の時間を有効活用している生活者像が浮かび上がります。

引き続き生活者心理については継続的な研究が必要ではありますが、朝の動画視聴の増加とは、タイパ時代における生活者の自然な行動変化の一つかもしれません。このように考えると、生活行動・生活習慣の変化は引き続き起きていくと予想でき、その中で動画の活用もより拡大していきそうです。

【調査概要】
ひと研究所「動画視聴についての研究調査」
調査方法:インターネット調査
調査対象:日本全国の15~69才(中学生は除く)
調査対象動画サービス・アプリでの月1回以上動画視聴者
サンプル数:1,265名
調査期間:2023年8月4日(金)~8月7日(月)

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