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Special 2024.08.22 UP

【Inter BEE CURATION】”視聴体験満足度”が高まる生活者の<視聴ジャーニー>は何か?〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜

渡辺 庸人 VRダイジェスト+

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この記事はこんな方にオススメ!
✅映像コンテンツ視聴促進のための施策を検討している方
✅視聴者がどのように映像コンテンツを選び、楽しんでいるか興味がある方

要旨
番組視聴前では"視聴準備行動"、視聴中では"感情の揺さぶり"、視聴後では"他者とのコミュニケーション" が、視聴体験満足度の高まりを考える上で重要な要素。

どのような視聴ジャーニーが視聴体験満足度を高めるのか

ひと研究所では、テレビ番組などの映像コンテンツの「視聴前」「視聴中」「視聴後」で起きる行動やリアクションである<視聴ジャーニー>が、コンテンツの"視聴体験満足度"を高めるという視点で、生活者研究を進めています。今回、最新の調査データから、"視聴体験満足度"の高まりへの影響力の大きい視聴者の行動やリアクションは何か検証しました。

※視聴体験満足度・・・番組について、番組の内容に加えて、その視聴前後の体験や行動、
気持ちも含めてどの程度満足したのかを示す指標

前回の記事はこちら
"視聴体験満足度"は継続視聴やメディア評価につながる重要指標である〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜
<視聴ジャーニー>について詳しくはこちら
映像コンテンツ戦国時代、視聴者の囲い込みには<視聴ジャーニー>活性化が効く〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜

視聴ジャーニーの実態(最新調査結果より)

調査で回答が得られた延べ2424の"印象に残っている"番組(2023年放送のもの)に関する回答について、具体的な視聴ジャーニー(行動・リアクション)の出現率は図1に示した通りです。視聴前、視聴中、視聴後、いずれを見ても6割以上が何かしらの行動・リアクションをしていることが分かります。ここから、それぞれ個別の行動・リアクションに焦点を当てて分析を進めます。
※調査概要は本稿末に記載

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【視聴前】番組への期待感からの"視聴準備行動"も視聴体験満足につながる

視聴体験満足度(「非常に満足した」のスコア)について、具体的な行動・リアクションそれぞれに注目し、それを行っていない「行動なし」の場合と、それを行っている「行動あり」の場合とを比較してスコアの増加量が多かったTOP5をまとめました。視聴前についてのものが図2です。

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まず、上位の「情報や宣伝・広告を意識するようになった」と「家族や友人・知人などに視聴をすすめた」は20ポイントの増加で目立ち、期待感の高まりによって情報への感度が上がったり、他の人にすすめたくなったりしている様子がうかがえます。もちろん番組内容が良かったことが前提にはなりますが、結果として視聴前の期待感の高まりは視聴体験の満足度を高めることにつながりそうです。

またこれ以外に、「視聴するために、生活上の準備をした」も期待感が表れている行動といえます。視聴するためにスケジュールを調整したり食べ物・飲み物を買ったりといった行動は、まさに番組視聴を楽しい体験にするための行動であり、このような視聴準備行動も、視聴体験をより良いものにすることに寄与していると推察されます。

【視聴中】"感情の揺さぶり"は視聴中の体験のポイント

引き続き、続いて、視聴中についても見ていきます(図3)。

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まず、「家族や友人・知人などに視聴をすすめた」の増加量が最も多く、番組視聴中であっても他の人に視聴をすすめるくらい楽しんでいることがうかがわれます。また、その背景には、番組を話題にして誰かとコミュニケーションしたい、共通の話題をしたいという動機の存在も想像できます(視聴前、視聴後についても同様であると考えられます)。

また、出現率1.4%(図1より)と少ないですが、「ロケ地巡り・聖地巡礼・現地」が上位に挙がっています。個別回答を見ると、"歴史もの"のドラマや、グルメ番組などが目立ち、好きな番組の"聖地"に赴いて、そこで番組視聴を楽しむ(タイムシフト視聴含む)という行動がうかがわれます。これは、非常にわかりやすい"視聴体験を楽しんでいる"事例と言えそうです。

そして、ひと研究所が最も注目するものとして、その次の「声を出して笑う・涙を流す」があります。番組を見て、声を出すほど笑う、涙を流すほど感動するといった"感情の揺さぶり"が視聴体験満足度を高めることを表した結果といえます。また、心の中で感情が揺さぶられる(面白いと思う・感動する)だけでなく、実際に「声を出す」「涙を流す」といった身体的な反応・行動があることも、視聴体験を強く印象付けることになり、より視聴体験満足を高めることになるかもしれません。

【視聴後】他者とのコミュニケーションは番組視聴の醍醐味の一つ

最後に、視聴後についても同様にみていきます(図4)。

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まず、番組自体が面白かった結果「家族や友人・知人などに視聴をすすめた」や「情報や宣伝・広告を意識するようになった」といった行動・意識変化が視聴後に起きていることがうかがわれる結果です。視聴後ですから、実際に番組が面白かった結果として起きている行動や意識変化であるといえます。しかし一方で、実はそういった他の人への推奨行動や、情報のさらなる接触が、面白かったという印象・記憶をより強化する効果もあるのではないかと、ひと研究所では考えています。この点は継続的な検証が必要な仮説であり、これからも検証課題として取り組んでいきます。

そして、その後に続くのが、「家族や友人・知人などと話題にしたり盛り上がった」や「考察を聞いたり読んだりした」「感想を言ったり書いたりした」(SNSやウェブサイトも含む)です。これらは総じて番組についての"他者とのコミュニケーション"にあたる行動といえます。また、先ほど触れた「家族や友人・知人などに視聴をすすめた」も、この"他者とのコミュニケーション"に含めることができます。対面でも、インターネット上でも、面白かった番組について誰かと語ったり、誰かに自分の気持ちを伝えたりすることは、コンテンツを楽しむ中の醍醐味の一つです。これが、より満足度が高い視聴体験の要素になっていると推察できる結果です。

まとめ:視聴体験満足度につながる視聴者の行動やリアクションは何か

今回は、テレビ番組の視聴体験満足度の高まりに影響力が大きい<視聴ジャーニー>(視聴者の行動やリアクション)について検証しました。その中で特徴的なものとして、

視聴前・・・"視聴準備行動"
視聴中・・・"感情の揺さぶり"(加えて、身体的な反応・行動)
視聴後・・・"他者とのコミュニケーション"

が挙げられる結果でした。実際は、行動やリアクションには互いに複雑な関係があると考えられますが、視聴体験満足度が上昇しやすい<視聴ジャーニー>を起点に視聴者を理解していくことが、番組を盛り上げるための施策や仕組みを考えていくうえでは重要であると考えられます。

ひと研究所では、引き続き<視聴ジャーニー>と視聴体験満足度の関係について検証結果を発信予定です。

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<視聴ジャーニー>資料ダウンロード(第1回調査 分析結果レポート)

【調査データ概要】
ひと研究所 「第2回 視聴ジャーニー調査」
調査方法:インターネット調査
調査対象:日本全国の15~69歳(中学生は除く) かつ 2023年に放送されたテレビ番組で印象に残る番組がある。サンプル数:1611名(延べ回答2424番組)
 (住民基本台帳の構成比、スクリーニング調査の出現率に応じてウェイトバック集計を実施)
調査期間:2024年1月5日(金)~1月9日(火)
調査内容:2023年に放送されたテレビ番組の中から印象に残っている番組を最大2番組挙げてもらい(自由回答)、それぞれについて番組評価や視聴ジャーニーの実態を質問

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