Inter BEE 2023 幕張メッセ:11月15日(水)~17日(金) オンライン:12月15日(金)まで

本年の来場事前登録のアンケート回答が済んでいません。アンケートのご回答をお願いします。

アンケートに回答する
キャプション
Special 2019.10.28 UP

【INTER BEE CONNECTED 2019】企画セッション「キー局攻めのメディア戦略」事前レポート

IMG
左から、塚本氏、黒崎氏、樋口氏、植木氏

INTER BEE CONNECTEDでは毎年、在京キー局の動画配信担当者に一堂に会してもらうVODセッションがあり、会場に入りきれないほどの聴講者が集まり人気を博していた。ただ今年はキー局のVODサービスの動きもひと段落し、次のステップへ向かう準備も整ってきたようだ。そこで14日14:30からのこのセッションでは、これまでのVODセッションの進化形として、より具体的なビジネスについてのディスカッションをしてもらう。日本テレビ・営業局長の黒崎太郎氏、フジテレビの新設部署である総合メディア推進本部の局長・樋口薫子氏、そして電通の二つに分かれたラテ局の一つ、ラジオテレビビジネスプロデュース局の動画ビジネス推進部・植木崇文氏という異色のメンバーにパネリストをお願いし、ワイズ・メディア塚本幹夫氏がモデレートする。いままでにない、ビジネス面をぐっと掘り下げるセッションになりそうだ。打合せの様子をレポートする。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境治)

部署を再編成し新たなビジネス体制を構築する

IMG

動画配信はテレビ局が”やってみる”段階はとうに終わっている。いまやどうビジネスとして収益を得ていくのか、具体化する段階に入っていると言えるだろう。だが具体化しようとすればするほど、組織の課題が出てくる。既存の部署のどこで新しいビジネスを受け持つのか、さらには組織をどう再編成すればビジネスがスムーズなのか。各局ともそのために大きく組織を組み替える動きが活発だ。
例えば日本テレビでは営業局も大きく形を変えている。これまではテレビ広告の売り物別に分かれていた"部"の壁を取り払い、総合営業センターというひとつの大きな部署に再編したという。タイムもスポットも同じ渉外担当がセールスする体制になったのだ。スポンサーはタイムかスポットかではなく、テレビとデジタルをどうするかを考えている。テレビ局側も、スポットにTVerをこう組み合わせてはどうですかと言えなくてはならなくなるはず。デジタルはまだ専門性が高いので別の班になっているそうだが、ゆくゆくはテレビもデジタルも同じ人材がセールスするようになるのだろう。

IMG

一方、樋口氏が所属するフジテレビの総合メディア推進本部はまったく新設の部署だ。コンテンツを有効活用して収益を最大化するのがミッションだという。配信をどうするかを整理し、テレビの価値の可視化のためデータ活用に取り組む。
大きく二つに分かれており、メディアマーケティングセンターは配信でどう収益を高めるかを考える。そこでは、新しい視聴指標をどうビジネスに組み込むかも課題となる。もうひとつのデジタルプラットフォームセンターは、局内の様々な部署がそれぞれ独自に開発してきたアプリやシステム、DMPを一つにまとめるのが役割。各現場の予算から工面してアプリなどが作られてきたが、統合して予算もまとめて作った方がより良いものができる。その整理をするという。
内容は全く違うが、2つのテレビ局の部門再編成には共通する課題がありそうだ。この話題を聞くだけでも、多くの放送局の参考になると感じた。

ビジネスの集約点としてTVerにフォーカスが

IMG

打合せでお話を聞いていると、やはりいま、テレビ局にとって「コンテンツ価値の最大化」が課題になっていることが感じられた。それはもちろん、放送収入の前年比減が背景だが、一方でテレビ番組には高い価値があり、工夫次第でもっと収益化できることが共有されてきたからでもある。
打合せの議論の中で樋口氏が「ポートフォリオ」という言葉を口にした。資産運用などでも使われる言葉で、預金や株式、債券などいくつもの運用方法をうまく組み立てる考え方を表す。同じようにテレビ番組もこれまでは放送されて広告収入を得る、一回限りの収益化しかしていなかったが、放送後にも配信での広告収入が得られるようになったし、有料配信サービスでも二次収入が生まれる。それらを組み合わせたテレビ番組なりのポートフォリオを考える時期だということだ。
そしてポートフォリオを組み立てる中でいま、TVerの重要度が高まっていることも議論から感じられた。ちょうどダウンロード数が2200万に達したとのリリースが最近出た。すっかりメジャーなアプリの一つになっているし、テレビ受像機での視聴も増えている。電通の植木氏は、「TVerには無限の帯域があります。もっとコンテンツを増やしてもいいのではないでしょうか」と提言していた。
テレビ番組は、放送後一週間はTVerに代表される見逃し配信で収益化し、そのあとはSVODでさらに収益化する。そんな流れがいま見えてきている。そのためにもTVerにほとんどの番組が集まっている状態を作らねばならないだろう。
当日のセッションでは、こうしたテレビ局の最前線の議論を、掘り下げて聞くことができそうだ。今年のCONNECTEDセッションの中でも際立ってビジネス色の強い内容になるだろう。今のうちに、下記関連URLから聴講予約をしてもらうといいと思う。

  1. 記事一覧へ