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Special 2024.05.28 UP

【Inter BEE CURATION】Z世代によるラジオ番組聴取のイマを分析!~Z世代×ラジオの”現在地”と”未来”~

山本勇気・神田真央 VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。

この記事はこんな方にオススメ!
✅Z世代にラジオを聴いてもらうためのヒントを求めている方
✅Z世代がどのようなラジオ番組に興味を持っているか知りたい方
✅Z世代に対してラジオ広告を出していきたいと思っている方

はじめに

みなさんは生活環境の変化によって、メディア接触時間の変化を感じたことはありませんか。ビデオリサーチでは、2020年6月にプレスリリースで、「新しい生活環境下(=コロナ禍)で、10代女性のラジオリスナーが増加している」という分析結果を発信していますが、今でも、ラジオ番組は聴かれているのでしょうか。
今回は、マーケティングデータ「ACR/ex※1」の最新データを使って、 "Z世代※2によるラジオ番組聴取のイマ"を深堀していきたいと思います。

※1「ACR/ex(エーシーアール エクス)」は、2014年より毎年、主要7地区において10,700人に対し約15,000項目を調査しており、生活者を"意識"と"利用・購入者"の両側面で捉えた、日本最大級のマーケティングデータです。
※2 Z世代の定義については諸説ありますが、本記事ではZ世代を「男女12-26歳」と定義しています。
【ACR/ex】詳細はこちら

Z世代のradiko(ラジコ)利用、10年で約2倍に

【図表1】は、過去10年間(2014年~2023年)における、Z世代の「radiko(ラジコ)1か月以内利用率」の経年変化を示しています。2019年あたりから年々、Z世代の利用率が上昇していることが分かります。直近データの2023年でみると、前年比ではやや減少しているものの、2014年と比較して2倍以上に増加しています。また、男女別でみると、Z世代女性の方が利用率が高く、2020年のコロナ禍をきっかけに、radiko利用が拡大している様子がうかがえます。

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【図表1】Z世代(男女12-26歳)のradiko利用率(1か月以内)(単位:%) /出典:「ACR/ex」東京50km圏(2014年~2023年 4~6月調査)

スマートフォンが生活の一部になっているZ世代にとって、時間や場所を問わずそのスマホでラジオ番組を聴ける手軽さが魅力で、それがradiko利用率増加の一助となったのではないでしょうか。さらに、ラジオ番組を聴きながらスマホの操作ができることも、常にスマホを操作しているZ世代の生活にマッチしていると考えられます。

なお、radikoの利用シチュエーションについては、以下の記事で紹介しておりますので、気になる方は併せてチェックしてみてください!
radikoの詳細はこちら

Z世代のラジオ番組聴取のカギは「推し」にあり!

ではそのZ世代は、どのようにラジオ番組に接しているのでしょうか。ここからは「週1日以上ラジオを聴く人」を"ラジオリスナー"と定義づけ、深掘りしていきます。
【図表2】はラジオリスナーの「特定のラジオ局やラジオ番組を聴く割合」の経年変化を個人全体(男女12-69歳)とZ世代で比較しています。コロナ禍のタイミングで、Z世代ラジオリスナーのうち、特定のラジオ局やラジオ番組を聴くと答えた割合は8割を超えました。個人全体と比べ、過去10pt以上離れていたこともある特定ラジオ局・番組の聴取意向ですが、直近の2023年をみると、わずか1.2pt差という結果となりました。Z世代のラジオリスナーは、コロナ禍で増加したラジオ番組聴取をきっかけに、好きな局や番組を見つけ、それらを継続的に聴取するようになったことがうかがえます。

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【図表2】ラジオリスナー(週1日以上ラジオを聴く人)特定のラジオ局やラジオ番組を聴く割合(単位:%)/出典:「ACR/ex」東京50km圏(2014年~2023年 4~6月調査)

続いて、Z世代はどんな番組を好んで聴いているのか深掘りしてみました。【図表3】では、Z世代のラジオリスナーがよく聴くラジオ番組の上位10ジャンルを示しています。比較してみると、どちらもトーク番組や特定のラジオパーソナリティーを目当てに聴取している様子がうかがえます。ラジオパーソナリティーについて掘り下げてみると、どちらも「自身の好きな人が出演している」という軸で番組を選んで聴いているようですが、Z世代は歌手や俳優・女優が個人全体より多い一方、個人全体ではアナウンサー・DJが突出しており、好んで聴いている番組のラジオパーソナリティーに違いがみえる結果になりました。

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【図表3】Z世代ラジオリスナーがよく聴くラジオ番組ジャンルTOP10(単位:%)/「ACR/ex」東京50km圏(2023年 4~6月調査)

昨今のラジオ番組は、番組の放送にとどまらず、ラジオパーソナリティーがラジオリスナーを公開生放送に招待したり、東京ドームや横浜アリーナでリアルイベントを開催したりと、リアルの場で好きな人(言い換えれば「推し」)に会える機会にもつながっているようです。 このような、ラジオ番組が生み出した「推し」との交流の場も、Z世代のラジオ番組聴取の増加の一因となっているかもしれません。

Z世代とラジオ番組の距離は近づいてきている!?

Z世代のラジオ番組の聴き方が明らかになったところで、ラジオ番組に感じているメリットをひも解いてみましょう。【図表4】は、Z世代ラジオリスナーがラジオ番組に対して感じるメリットについて、コロナ禍前の2019年と、2023年で比較したものです。
まず、情緒的価値※3の2項目をみると、「好き」「接していて楽しい」の両方において、5pt程度上昇していることがわかります。次に、機能的価値※4を見ると、「自分にとって身近な情報源である」「他のことをしながらでも、情報が得られる」にて、Z世代はやや上昇していることが分かります。ちなみに、個人全体で見ると、「自分にとって身近な情報源である」は41.1%→35.8%、「他のことをしながらでも、情報が得られる」は49.6%→48.0%と、Z世代と対照的な動きをしています。また、ラジオ番組との距離感に関わる「自分にとってなくてはならない」「生活の一部になっている」の項目では、Z世代は19年から23年で約1.5倍程度まで上昇しています。

※3 ある製品やサービスをユーザーが利用することによって得られる満足感、心理的な価値
※4 ある製品やサービスそのものの価値

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【図表4】ラジオ番組のメリット(単位:%)/出典:「ACR/ex」東京50km圏(2019年、2023年 4~6月調査)

Z世代において、ラジオ番組に対するポジディブな意識が高まっていることや、ラジオ番組が自分にとって近い存在になってきていることは興味深い結果です。先ほど述べたように、「推し活」などの場としてのラジオ番組に魅力を見出しているほかにも、コロナ禍での「直接会えない、コミュニケーションできない」という気持ちを、直接リスナーに語りかけるような距離感の近さで埋めてくれたラジオ番組に対し、コロナ禍を過ぎた今でもその距離感の近さを心地よく感じているのかもしれません。

「特定の局や番組」を聴いているZ世代は購買意識が高い!?

次にZ世代リスナーを「購買意識」という点で探ってみます。【図表2】にて、Z世代で「特定のラジオ局やラジオ番組を聴く割合」が2019年から2023年にかけて上昇していることがわかりました。特定の局や番組を固定で聴いているということは、番組への熱量が高く、またポジディブな感情をもって聴いていると考えることができます。このように熱量が高く、ポジティブな感情で聴いているZ世代の購買意識が高ければ、ラジオCMに接触した際に購買行動につながる可能性がより高くなるでしょう。以下、ラジオリスナー、特定のラジオ局・番組をよく聴くラジオリスナーで、普段の購買意識にどの程度違いが見られるのかを分析しました。(図表では、「特定のラジオ局・番組をよく聴く」リスナーを「固定リスナー」と表現しています)
【図表5a,b,c】は、購買意識に関して、全体(ラジオ聴取有無は問わず)、ラジオリスナー、固定リスナーの3つの層それぞれについて、個人全体とZ世代を比較したものです。購買意識は具体的に、「買い物すること自体が楽しく、好きだ」、「自分が気に入れば値段が高くても買う」、「自分が『これは」と思ったものは、多少無理をしても買うほうだ」の3つの項目を取り上げています。
まず、全体(ラジオ聴取有無を問わず)【図表5a】についてみると、いずれも個人全体がZ世代全体よりも高いことが分かります。
ところが次にラジオリスナー【図表5b】をみると、いずれの項目も、Z世代が個人全体を上回っています。
さらに、固定リスナー(図表5c)をみると、ラジオリスナーよりもスコアが高く、個人全体との差も大きくなっています。

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【図表5】購買意識(単位:%)/「ACR/ex」東京50km圏(2023年 4~6月調査)

結果を整理すると、下記のようになります。

・Z世代ラジオリスナーは、個人全体でみたラジオリスナーよりも購買意識が高い。
・さらに、Z世代の特定のラジオ局・番組をよく聴く「固定ラジオリスナー」は、より購買意識が強まる。

購買意識が高いZ世代をターゲットにするのであれば、ラジオCMも選択肢の一つになりうることを示した結果と言えそうです。

まとめ

本記事では、主にZ世代にフォーカスして、ラジオ番組聴取の実態やリスナーの購買意識について分析しました。

まとめると以下の通りです。

本記事のまとめ
・過去10年でZ世代のradiko利用率(1か月以内)は上昇傾向。10年前と比較すると約2倍に。
・Z世代はコロナ禍をきっかけに特定のラジオ局・番組聴取意向が強まる。「推し」目的の聴取も要因の一つと考えられる。
・熱量が高い(=特定のラジオ局や番組を聴く)Z世代の購買意識が高く、ラジオCMは購買意識の高いZ世代にアプローチする方法の一つ

「推し活」などをきっかけにラジオ番組にのめりこむ若者も多くいると思われ、スマホでの聴取も可能となり自由度を増したラジオ番組は、実は、Z世代にマッチしたメディア・コンテンツなのかもしれません。

最後に、Z世代のラジオリスナーは、ラジオ番組だけでなく、音声メディア自体への興味関心が高いというデータをご紹介したいと思います。

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【図表6】ポッドキャスト利用意向(単位:%)/「ACR/ex」東京50km圏(2020年~2023年 4~6月調査)

【図表6】をみると、ラジオリスナーのポッドキャスト利用意向が高まっており、2022年以降は個人全体のラジオリスナーよりもZ世代のラジオリスナーのスコアが上回っています。Z世代はラジオ番組だけではなく、さらに広く音声メディア・コンテンツに対する興味関心が高まっていることが考えられます。

先日、radikoアプリ内でポッドキャストの機能が追加されました。アプリやプラットフォームを切り替えることなく、ラジオ番組も音声コンテンツもシームレスに楽しめるようになったことで、radikoを起点として音声メディア・コンテンツの利用意欲の高まりが、後押しされるのではないでしょうか。

ひと研究所では、Z世代と、ラジオを始めとした音声メディアの利用行動について、知見を発信していく予定です。ぜひご期待ください。

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex
・調査時期:2014年~2023年/各年4-6月
・対象地区:東京50km圏
・ターゲット:男女12-69歳

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