【Inter BEE 2014】世界が注目するライゾマティクスの新たな挑戦! InterBEEとのコラボレーションが生み出す最新機材と最先端パフォーマンスの融合 ライゾマティクス クリエイター直前インタビュー

2014.11.14 UP

ライゾマティクスの千葉氏(右)と石橋氏(左)

ライゾマティクスの千葉氏(右)と石橋氏(左)

 デザイン、アート、建築、数学、工学など、様々なバックグラウンドを持つ個性豊かなメンバーからなるクリエイター集団ライゾマティクス。Perfumeのライブにおけるプロジェクションマッピングをはじめ、CM、PV、ステージパフォーマンスなど、幅広い表現領域で活躍しており、日本ばかりでなく、世界のアートシーン、エンターテインメント業界から注目を集めている。
 そのライゾマティクスとInter BEEのコラボレーションという形で、新たな表現の世界が展開される。音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE 2014」の会期二日目の11月20日(木)に予定されている、Inter BEE 50年を記念するイベント「InterBEE EXPERIENCE」の第2部。9000人が収容可能な本格的なコンサートホールで、17時40分から開催される「Live Entertainment」として実施される。
 「Live Entertainment」では、ライゾマティクスのオーガナイズにより、ライゾマティクスを含めた3つのクリエイター集団によるライブ・パフォーマンスがステージで繰り広げられる。パフォーマンスに用いられるステージ上の機材はほとんどすべて、今回のInterBEEの出展企業の提供によるものだ。世界の先端を行くクリエイターによって、映像、音、通信、いずれをとっても、最新・最先端の機器を駆使したパフォーマンスが展開される。50年目を迎え、これまでの実績を踏まえつつも、新たな時代に向けて前開きに展開を押し進めるInterBEEならではの意欲的な試みといえるだろう。
 今回のプロジェクトがライゾマティクスに持ち込まれたのは、今年の5月だという。続く7月の出展企業向けの説明会で、出展企業向けに企画が発表された。その後、ライゾマティクスは、機材提供を申し入れてくれた十数ものメーカーを訪問して製品を使用し、その中からパフォーマンスと合致する製品を選び出してきた。
 パフォーマンス実施を2週間後(11月20日)に控えた11月6日、ライゾマティクスのスタジオを訪ね、ライゾマティクスの取締役 千葉秀憲氏、クリエイターの石橋素氏に、今回のプロジェクトについて、ねらいや現状の状況などについて聞いた。

■未来につながる展開
 今回のプロジェクトについて、千葉氏は「非常に珍しいケースだと感じました」と話す。「既存のエンターテインメントでもなく、また、アドバタイジングでもなく、自分たちから発信するインスタレーションということでもない。今まで受けてきた仕事の中では珍しいケースだと思いました」(千葉氏)。
 珍しさとともに、今回の企画が未来につながる新しい展開であることに意義を感じたという千葉氏。「最初に話を伺ったとき、50年の節目で、InterBEEも意識を変えていこうということで、今までの機器展示のみの催しから、コンテンツも見てもらえるイベントにしていこうという考えだと聞きました。また、コンテンツ制作で使うための機材がたくさん出展されるので、それを活用してコンテンツをつくるという視点がとてもおもしろいと思ったのが、プロジェクトに参加しようと考えたきっかけです」
 「(今回のイベントは)未来に向けて展開するミッションという意味合いも強いと思う。従来型の機材展からコンテンツを発信する展示会へという動きは、米国でも出てきています。そういうタイミングで声をかけていただいたので、いいきっかけになればという気持ちです」(千葉氏)

■最新機材で"表現"を
 クリエイターの石橋氏は、これまでにも何度か、InterBEEに来た経験を持つ。実際、ライゾマティクスとしてもこの数年、InterBEEで見た機材に関心を持って、出展企業にコンタクトをとり、試しに使わせてもらうというようなことがあるという。
 展示会とのコラボレーションという点について石橋氏は「製品のデモではなく、"表現をする"というところに、我々が関わる意味を感じました」という。「製品の特徴をアピールするデモは、会場で見ていただき、パフォーマンスでは、それを使って最終的な表現をするというところを見ていただければと思います。あと、最新の機材を一杯使えておもしろそうだ、というのはありましたね」

■十数社を巡り事前取材
 機材の選定には、直接、十数ものメーカーを訪ねて取材を重ねている。「その中で、今回のパフォーマンスとつながるものを軸に今、試行錯誤を続けているところです。個人的には、いろいろと使いたいものもあったのですが、今回の表現と合致するという出会いがあったものを使わせてもらうことになりました」(千葉氏)
 最終的なパフォーマンスについては、実際に会場を訪れて見てもらうまでは「詳細は明らかにはできない」というが、千葉氏は「展示会の中で、表現の部分がフォーカスされるということ、最終のアウトプットがどうなるかということを期待してもらいたい。製品の展示とパフォーマンスの融合という新しいスタイルは、今後、来場する方の層を広げるかもしれない」と意欲を示す。

■展示会ならではの醍醐味
 千葉氏は、「プロデューサーの目線から見ても、こういう状況は珍しい」という。「通常の現場だと、これほど機材を触ることはできないですね。どうしても、制作コストの計算が入ってしまいますから。カメラやレンズを選ぶにしても、数字を気にせずにできるので、欲張りすぎないようにしながらも、選択の幅が広がった点は嬉しい。また、カタログで選ぶのと、実物を見て選ぶのとはやはり違うと感じました。まさに、展示会、見本市ならではの醍醐味といえます。選んだものをまた、"いつか使おう"というのではなく、その場ですぐに表現につなげていく、という点も、やりやすかったですね」

■"現場で見てこそ、意義がある"
 パフォーマンスは3つのプログラムからなり、それぞれ別個のクリエイターによるパフォーマンスが展開される。1つめのテーマは「音楽のビジュアライズ」、2つめは「高解像度、VFXを生かしたリアルタイムのアナログVJ」、以上の2つは、ライゾマティクスとは別のクリエイターによるもので、3つめが、ライゾマティクスが担当するパフォーマンスになる。
 プロデューサーとして、全体のオーガナイズを担当している千葉氏は「これまでもコラボレーションは数多く参加しているが、他のクリエイターも含めた構成、オーガナイズという形は初めてかもしれない」と話す。3つのパフォーマンスの関係性について「直接的には(関係性は)ないですが、バランスとして偏りのない形で構成しました。全体としてのおもしろさを感じてもらえばと思います。それぞれのクリエイターがInter BEEを解釈して表現してもらっており、細かい指示などはしていません。特に最初の2つのパフォーマンスについては、得意な分野がしっかりしている方々なので、そこはぶれずにやってくれると、安心してお願いしました」
 3つ目のライゾマティクスが担当するパフォーマンスについて石橋氏は「現状ではまだ、試行錯誤中」と言う。
 「おそらく、映像では見たことがあるものだけど、ライブで目の前で見ることはないものをお見せすることになります。ライブ配信や、VODでも見ることはできるのですが、ステージ上での身体表現など、実空間で行われているものを現場で見ていただくことにこそ意義のあるものになると思います」(石橋氏)
 千葉氏は最後に、来場する予定の人々に、次のようなメッセージを述べた。
 「パフォーマンスの会場は、50年記念というパーティーの場でもあります。展示会というイメージを取り払って、ぜひ、ライブ・エンターテインメントを楽しむ気持ちで見てください」

ライゾマティクスの千葉氏(右)と石橋氏(左)

ライゾマティクスの千葉氏(右)と石橋氏(左)

#interbee2019

  • Twetter
  • Facebook
  • Instagram
  • Youtube