【コラム】パナソニック CEATEC JAPAN 2013で4Kカメラ技術など参考出展 IMECと4K2K@60fpsに対応するCMOSイメージセンサー共同開発など着々と4K製品拡充
2013.10.11 UP
4Kコンパクトハンドヘルドカムコーダのプロトタイプ
ケースに入ったままカメラの前のジオラマを撮影し、HDMI経由で4Kモニター(BT-4LH310)に出力をしていた
4K VARICAMも参考出品された
パナソニックの4K制作環境の取り組み
今年のCEATEC JAPANでパナソニックは技術参考出展として、今年1月のInter national CESで初披露した4Kコンパクトハンドヘルドカムコーダと、4K 10ビット処理IPSパネルで広色域に対応した31型モニター「BT-4LH310」、次世代4K デジタルシネマカメラVARICAM(バリカム)を展示した。
(ザッカメッカ 山下香欧)
■初のAVC-UltraハンドヘルドP2カメラAJ-PX270
9月にオランダ・アムステルダムで開催されたIBCで発表となった初のAVC-Ultra ハンドヘルドP2カメラ。従来のAVC-Intra100に加えて、同じ記録容量で4倍長の記録ができるAVC-LongG 50/25(1920×1080 10ビット4:2:2)に対応、つまり10bit/4:2:2の画質をデータレート約50Mbps/25Mbpsで記録できる。ネットワーク運用に応える低レートのAVC-Proxyも可能。加えてオプションで、AVC-Intra200にも対応する予定という。
2つのmicroP2カードスロットによるサイマル記録機能を持つ。新開発の高感度・低ノイズの1/3型3MOSセンサーを搭載し、従来機よりコンパクト化された、28mmからテレ端616mm(f=28mm~616mm/35mm換算)のレンジをカバーする22倍ズームレンズ、そして新開発の1/3型 220万画素の3MOSイメージセンサーを搭載。
ネットワーク機能としては、LAN端子のほか、オプションでワイヤレスLAN接続もできる。近い将来は、ワイヤレワークフローのための4G/LTE通信モジュールも発売される予定で、ネットワークENG用カメラとしても活躍する期待が持てる。
■4Kコンパクトハンドヘルドカムコーダ
先月9月のIFAおよびIBCでは、ソニー社が4K/QFHD(3.840×2.160)の民生用4Kカムコーダ「FDR-AX1」と、業務用4Kハンディカム「PXW-Z100」を登場させて話題を一気に集めた。両製品とも年内発売予定だ。対してパナソニックでもIBCにて初のAVC-Ultra対応・ハンドヘルドP2カメラAJ-PX270を登場させているが、今回のCEATECで展示した4Kコンパクトハンドヘルドカムコーダは、CESでお披露目して以降、詳細に関して未だ一切開示されないままだ。ブースでは、プロトタイプがショーケースに入っていた状態で展示が行われており、そのケースに入ったままカメラの前のジオラマを撮影し、HDMI経由で4Kモニター(BT-4LH310)に出力をしていた。
本カメラは、QFHD(3.840 x 2.160)と、Full 4K(4.096 x 2.160)として記録でき、1本のHDMIケーブルで4K映像出力が可能という。 コーデックや記録メディアなどについては“未定(市場投入時期に合わせて最先端技術を採用する)”とのことだ。ボディサイズから見て、AVC-Intra200にも十分対応できるmini SDカードを記録媒体として採用する可能性もある。
■4K/2Kシネマ制作環境に最適な31型業務用4KLCDビデオモニター
4Kカメラが並ぶコーナーでは、発表したばかりの4K LCDビデオモニター「BT-4LH310」を使った4Kコンテンツの編集ソリューションを紹介していた。 編集用ソフトウェアはAdobe Premiere Pro。
BT-4LH310は、表示色10.7億色を再現し、178度の視野角を持つIPSパネルを採用。4K(4096×2160)解像度とDCI(P3)色域の表示性能を実現し、4K映像制作現場を強力にサポートする。3次元LUTとRGBとCMYの6つの座標軸補正処理で、忠実な色再現を実現する。
また将来的にLUTアップロードに対応することデジタルシネマのプロダクションワークフローでのカラーマネージメントにも貢献する。インタフェースには、3G-SDI×4本、DisplayPort (1.1a)×2本または1本、HDMI(1.4b)×2本または1本を備えている。アルミフレーム採用の堅牢性とAC/DC電源対応による高い機動性も持ち合わせ、またカメラVFのZEBRA機能と同様の運用が可能という。 4K解像度対応を活かした4分割マルチ画面で、2K/HD映像4入力を同時に表示することや、Focus-In-Red、WFM、VSC表示を組み合わせて表示できる。
■CEATECに4K VARICAMも登場
また4K VARICAMがCEATECの場に姿を出すとは意外だった。「4Kプロフェッショナルカムコーダ」とパネルに書かれた、次世代VARICAMは、PLマウント搭載のモジュール型。4Kは24p~120pまで、AVC-ULTRA 4K 4:4:4に対応予定。 現在、独自のシネマサイズセンサーとしてのスーパー35mmイメージセンサーを開発中という。データ保存は256GBウルトラP2カードで、ユーザーインターフェースに最初はAndroid OSを採用するだろう(説明員より)という。ロードマップも明確なものはなく、2014年中に出荷する(IBCでの公式発表より)となっている。
■IMECとCMOS共同開発を発表
余談ではあるが、6月になってベルギーの半導体メーカーIMECが12ビット4K2K@60fpsに対応するCMOSイメージセンサー(製造は200mmウェーハで、130nmCMOSプロセス)を、パナソニックと共同開発したことを発表している。 パナソニックでは4Kカメラ製品のカメラセンサーについては開示していないが、次世代の4Kカメラに搭載される可能性もでてきた。
パナソニックの放送事業者向けの4K対応製品は他社よりは後発となっている。 しかし同社としては、単体カテゴリではなく、コンシューマを含めて全般のエコシステムを整えて市場に臨む方針を強めている。
パナソニックは今年4月から、民生用のムービーのグループとプロ用のAVのグループが一体となったイメージング事業部を発足している。さきごろ一部プレス向けに開催したIBC報告会で、パナソニックAVCネットワークス社イメージング事業部長の宮城邦彦氏は次のように抱負を述べている。
「今まで通り手掛けてきた放送業務用映像システムに加えて、イメージング機器の開発・製造全般を手掛けることになり、この中にはコンシューマー事業も入る。民生ムービーから放送用カメラまで我々の事業部でまとめて手掛けることとなった」
「放送用のENGシステムに使われるカムコーダー、レコーダー、ビデオモニター、スイッチャー、システムカメラといったものを主力に引き続きがんばっていく。今後、この民生用のムービー技術を活かしていかにBtoBでビジネスをするかが私に課せられたもう一つの使命と考えている」
また、映像制作、放送の業界動向を踏まえ、今後の方向性として「カメラで撮影した映像を即ワイヤレスで局に飛ばすクラウドのワークフローがが定着しつつある。我々は、如何にそこを効率化するかを提案させていただくかに取り組んでいる。一方で、放送の次世代の流れは4K、特に日本は8Kに向かって進んでいる。4K、8Kのカメラにもしっかり取り組んでいきたい。東京オリンピックの開催が決定したことはパナソニックにとっても大変嬉しい出来事。これを機にビジネスを広げて、日本企業としてしっかりした商品群を作っていきたい」
4Kコンパクトハンドヘルドカムコーダのプロトタイプ
ケースに入ったままカメラの前のジオラマを撮影し、HDMI経由で4Kモニター(BT-4LH310)に出力をしていた
4K VARICAMも参考出品された
パナソニックの4K制作環境の取り組み