【プロダクション】IMAGICA フィルムスキャナー「SCANITY」を国内初導入 4K高解像度映像を高速処理 フィルム事業を拡充へ

2012.2.9 UP

昨年12月に導入されたフィルムスキャナー スキャニティ
_(左から)廣瀬氏、越智氏、小山氏

_(左から)廣瀬氏、越智氏、小山氏

スキャニティーのフロント部分

スキャニティーのフロント部分

クリーンルーム入り口にはエアシャワーを装備

クリーンルーム入り口にはエアシャワーを装備

■世界で約30台が稼働 4K高解像度映像を高速処理

 IMAGICA(東京都品川区)は1日、デジタルフィルムテクノロジー社製のフィルムスキャナー「SCANITY」を導入し、フィルム制作サービスを拡充する。
 同機は世界で約30台が稼働し、日本では初導入。隣接するラボ棟のクリーンルームで、管理された温湿度と清潔さのもと作業を行う。
 最大の利点は2K/4Kといった高解像度で高速に処理できること。4K(4096×3112ピクセル)で15フレーム/秒、2K(2048×1556ピクセル)であれば25フレーム/秒とリアルタイムに近い速度も可能となる。


■制作期間の短いCM制作におけるフィルムスキャンが可能に

 これにより、CMなど短期間での作業が求められる分野への対応が実現する。五反田CM営業グループの小山健一郎課長は「従来、CM制作では日程上スキャンが難しかった。しかしHD制作には2K以上の解像度、画の広さが必要。同機の活用で品質と納期の問題を解消できる」と説明する。
 ワークフローには、撮影ネガの現像後、全編をDPX形式の10ビットログファイルでスキャン。同日中にQuickTimeなどのオフラインファイルを作成--という流れを想定。OKテイクのみをカラーグレーディングすることで、作業効率向上と予算の抑制も可能となる。グレーディング機器はイメージシステムズ社製「Film Master」やブラックマジックデザイン社製「DaVinci Resolve」など。


■映画市場に3パーフォレーションフィルムの活用を提案も

 映画制作では、予算と納期に恵まれた案件を中心にスキャナーを運用してきたが、より一般的に稼働できる。CMでは既に多く使用されている3パーフォレーションフィルム(16×9画角に映像を納める)の活用および、映像データにタイムコードを割り当てられる点と合わせて、映画市場に新しい提案を行う。
 デジタルイメージンググループの越智武彦課長は「国内初導入のため、スキャンデータの色域管理やユーザーLUTなど、当社の色管理システムを反映できるか見極めに時間をかけた。日本の市場に合うよう、今後もシステムを最適化したい」と話す。


■フィルムのダメージを軽減するローラー制御技術

 またアーカイブ作業では、走行をローラーだけで制御する技術により、フィルムへのダメージを軽減。フィルムのパーフォレーション部分まで取り込めるオーバースキャン(4300×3956ピクセル)により、伸縮の進んだ古いフィルムでも残された映像を隅々まで使った質の高い修復を行える。
 グループ会社IMAGICAウェスト(大阪市北区)では物理的修復を手掛けており、「技術を組み合わせ、作品をデジタルあるいはフィルムで残すことを加速したい」(邦画営業グループの廣瀬英志課長)という。
 同社は9月から「フィルムの持つ豊かな階調表現と保存の利便性、柔軟なコスト構成といった魅力を伝える「LikeFilm!」キャンペーンを展開。小山氏は「価格面だけ、あるいは回顧趣味的な意味でなく、フィルムの新しい制作方法を顧客に伝えたい」と話している。

(映像新聞社 吉野和美)

_(左から)廣瀬氏、越智氏、小山氏

_(左から)廣瀬氏、越智氏、小山氏

スキャニティーのフロント部分

スキャニティーのフロント部分

クリーンルーム入り口にはエアシャワーを装備

クリーンルーム入り口にはエアシャワーを装備

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