【プロダクション】会津若松市 全国の映画館で観光資源紹介映像を上映　NHKエンタープライズがキャラクター開発、ショートムービー制作を担当

■１年にわたり506スクリーンで100万回上映
　会津若松市は、7月1日から1年間（2014年6月30日まで）、イオンエンターテイメントが運営する全国61館、506のスクリーンを対象に、会津若松の観光資源を紹介するショート・ムービーをスクリーン広告として上映する。
　ショート・ムービーは、映画の本編が始まる前に上映する。1年で合計約100万回強上映する予定。全部で６作品あり、2カ月ごとに新作を公開する。
　このプロジェクトは、イオンエンターテイメント、JTB東北、NHKエンタープライズの３社と会津若松市との共同プロジェクト「観光誘客メディア戦略事業」の一環。ＮＨＫエンタープライズが、キャラクター「会津侍若松っつん」を開発し、会津若松の観光資源を紹介するショート・ムービーを制作した。
　イオンエンターテイメントは、2012年度に、東北観光復興支援の一環として、「東北観光博」や福島県の観光PR映像のスクリーン広告を全国で上映している。その次の展開として、2013年度は、このプロジェクトによって、会津若松の「観光」の魅力を訴求し、認知度の向上、誘客の促進、観光地の活性化を応援していく。

■侍キャラクターとのユーモラスな掛け合い
　作品は、会津侍のスピリットを持った「会津侍 若松っつん」と女優の真下玲奈さん扮する「咲子さん」との二人のユーモラスな掛け合いによって、今までに無い切り口から会津若松の魅力が紹介される。ロケ地は、会津鉄道芦ノ牧温泉駅、鶴ヶ城公園、東山温泉、御薬園、会津若松駅など。キャラクターの若松っつんは、会津若松の持つ「サムライシティ」というイメージを生かした、侍フィギュア。坂本龍馬など、幕末志士のフィギュアを手がける「サムライドールズ」の高橋渉氏が造形を担当した。
　映像は1作品150秒。前半120秒が静止画と台詞で展開するコミカルストーリー、最後の30秒は会津若松への想いが募り過ぎた若松っつんが、つい人間の侍に変身して、会津若松をＰＲするという設定で構成される。

■吉岡エグゼクティブプロデューサー「放送に左右されないキャラクターを発案」
　今回のプロジェクトのプロデューサーとして、コンセプト構築から制作全般の指揮を執った、NHKエンタープライズ 制作本部 エグゼクティブプロデューサー 吉岡和彦氏は、プロジェクトのねらいについて、次のように説明する。
　「会津若松は白虎隊など、歴史的な舞台として日本人が感心を寄せる地域。現在放送中の大河ドラマ『八重の桜』でも注目を浴びており、多くの観光客が足を運ぶ。会津若松が関係してくる大河ドラマはこれまでにも『天地人』や、『新選組！』が放映されており、人気を呼んだ。会津若松にとって他力本願な放送を背景にした観光戦略は放送が終了するとともに、何事も無かった事のように収束してしまう傾向にある。番組が終了しても継続して会津若松に興味を持ってもらうための方策として放送に左右されないキャラクターを発案した。今回の映像を起点に、会津若松の観光や商工事業に今までとは違った形で注目が集まる流れを作れたらと考えています」

■「会津若松に寄り添う」キャラクターに
　キャラクターと女優とのかけあいの映像は、静止画と声だけの展開になっている。吉岡氏は「スクリーン広告では、静止画で見せた方が、インパクトがある。動きのある映像よりも間を想像してもらうことで個々の写真が印象に残る」という。
　主人公のキャラクターを、いわゆる「ゆるキャラ」にしなかったのは「コンテンツとしてもおもしろく、しかも、会津若松のスポークスマンとして役割を担えるキャラクターを想定した」（吉岡氏）から。「キャラクターの版権は会津若松市が保有し、郷土の産品などでの活用も可能な状態にしている。しかし通常の消耗型キャラクタービジネスとしてではなく、あくまで会津若松に寄り添う形で、若松っつんを活用していく方針で、展開を模索している」という。
　ショート・ムービーは映画館でのみ見ることができるが、2カ月ごとのリニューアルを境に、それまでの作品を専用ウェブサイトにアップする予定。
　吉岡氏は「かつて、韓国ドラマのブームによって、人々の韓国に対するイメージが一変したように、映像の力が地域に活力をもたらす一助になるということを証明したい」と意気込みを語る。