【NEWS】インドプライムフォーカス社、ダブルネガティブを吸収合併 4,500人規模、世界最大のVFXスタジオに

2014.8.5 UP

 6月25日、プライムフォーカス(PrimeFocusWorld)とダブルネガティブ(DoubleNegativeVisualEffects)が発表したところによれば、インドのムンバイに本社を持つVFX大手プライムフォーカスは、イギリスのロンドンに本社を持つVFX大手ダブルネガティブを吸収合併したという。プライムフォーカスはインド資本の2D->3Dコンバージョン&VFX大手で、ムンバイ、ロンドン、ロサンゼルス、バンクーバー、そして中国にスタジオを構えている。
 一方、ダブルネガティブは1998年に設立されたイギリスの老舗VFXスタジオで、ロンドン本社では800人近いクルーが勤務している。ロンドン本社の他に、シンガポールにもスタジオを持つ。

(写真:ダブルネガティブのロンドン本社

)
(鍋潤太郎)

■4,500人、世界最大のVFX企業に
 今回の合併により、プライムフォーカスは全世界に4,500人近くの従業員を持つ、世界最大のグローバルVFX企業となる。ダブルネガティブの名は、”ブランド”として今後も継続されるそうだが、法務面での社名はPrime Focus Worldに統一されるという。そして、これまでバンクーバーにスタジオを構えていなかったダブルネガティブは、この秋を目標にバンクーバーにもスタジオを新設する予定だという。
 過去数年、ハリウッド・ビジネスの間ではインド資本による投資が台頭してきたが、今回はその最たる例と言えるだろう。プライムフォーカスと言えば、昨年リズム&ヒューズが財政難に陥った際にも、すぐさま買収話を持ちかけ、交渉が粉砕しリズム&ヒューズが会社更生法(チャプター11)の適用を受けると、今度は破産裁判所管理下の競売でもプラナ・アニメーションとギリギリまで競り合うなど、リズム&ヒューズの吸収統合に対しても非常に積極的な姿勢を示していた。このように近年のプライムフォーカスは、著名VFXスタジオを買収し、巨大化を図ろうとする姿勢が見てとれる。
 ただ、ここで筆者の脳裏に浮かぶのは、やはりこの業界の歴史である。北米での過去の事例を見ると、吸収合併や外部からの資本参加によって急速に巨大化したVFX会社は、例外なく倒産している。顕著な例では、1987年のオムニバス(カナダ)、2012年のデジタルドメイン・メディアグループがある。
 もちろん、今回は大規模なインド資本の参入&大規模なグローバル戦略ということもあり、事情は全く異なるものの、純益が少ないVFXビジネスであることに変わりはない。

■プライムフォーカス(PrimeFocusWorld)について
 もともとは1997年に主要メンバ4名によって小さなガレージからスタートした、ベンチャーのポストプロダクションだった。当初VFX業界では無名の存在であったが、2007年にハリウッド映画をターゲットとした2D->3Dコンバージョン市場に参入、2011年に「スター・ウォーズエピソード1/ファントム・メナス」3Dリバイバル版の2D->3Dコンバージョンの受注に成功、その名が知られるようになった。最近では「ゼロ・グラビティ」の2D->3Dコンバージョンも手掛けている。また、本格的にVFXビジネスにも参入しており、ここロサンゼルスではハリウッドにオフィスを構えている。



参考サイト:
PrimeFocusWorld
(http://www.primefocusworld.com/
DoubleNegative
http://www.dneg.com/)

ダブルネガティブのプレスリリース(英語):(http://www.dneg.com/news/double_negative_and_prime_focus_world_announce_merger_723.html
)

#interbee2019

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