【NAB Show 2012】Technology Summit on Cinema報告 (3)標準化が進む次世代符号化方式 HEVCの性能が発表/草案がほぼ確定、圧縮性能はAVCの倍以上に

2012.4.21 UP

AVCとHEVCのビットレート比較。HEVCはAVC比で半分

■DolbyがPSNRの比較値を公開

 次世代符号化方式としてMPEG-ITUにおいて標準化作業が進むHEVCの性能が明らかになった。Technology Summit on Cinema(15日)中のセッション「4K (and Beyond!) Update」において、米Dolby LaboratoriesのCraig Todd氏が発表した。
 このセッションでは、4Kやそれ以上の解像度を扱うシステムに関して発表がなされた。米Sony ElectronicsからはF65カメラの詳細が、またNHK技研からはウルトラハイビジョンについての発表が行われている。Todd氏は、ITU-Rで標準化作業が進む4K以上の解像度を持つテレビ規格について報告を行った。HEVCに関する発表は、この中でなされている。


■2013年1月に国際標準発行へ

 HEVCは、MPEG-4 AVC/H.264の後継方式として検討が進められてきた。今年2月にCD(委員会草案)が発表され、7月に草案、来年1月に国際標準発行を目指している。一般に国際標準の作業では、委員会草案が発表されれば「ほぼ固まった」段階にあると解釈される。
 現在のMPEG-4 AVC/H.264では、4K解像度で30fpsまでしか規格化されておらず、8Kx4K@120fpsを構想に持つウルトラハイビジョンにはそのままで使用することは出来ない。また、登場から10年を経て、次世代技術を適用できる状況になったことも新たな標準化が行われる背景にある。

 Dolbyでは、標準化作業に使うテストプログラムによりHEVC符号化(圧縮)を行い、ピーク信号対雑音比(PSNR)を比較した。その結果、4K画像では同じSN比(38dB)の場合で、HEVCはAVCの半分以下のビットレートとなった。この傾向はSN比を高めても維持されている。2K画像の場合も、AVCのほぼ半分のレートを実現している。なお、この実験の素材はStEM(DCIが制作した標準テスト画像)で、評価は数値評価である。主観評価は行っていないとのことであった。

 現段階のHEVCは、チューニングがなされていない上に、各社が持つ高画質化のノウハウも適用されたものではない。それでも、AVCの倍の効率を得たことで、次世代CODECの素性の良さが感じられるものとなった。

#interbee2019

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