【ニュース】オートデスク 自社ゲームウェア技術を任天堂にライセンス/ゲームウェア製品の最新バージョン発表
2012.3.10 UP
■1000本のゲームで採用された実績
米国オートデスク社 (本社:米カリフォルニア州サンラファエル、社長 兼 CEO :カール・バス)は3月6日、任天堂が発売予定のWii Uプラットフォームのゲーム開発者向けにオートデスクのゲームウェア技術を提供することで提携したと発表した。
任天堂はWii U用ゲーム開発者に以下の3つのミドルウェアを提供する。
Autodesk Scaleform :ユーザインターフェイス開発を支援
Autodesk Kynapse :人工知能の開発を支援
Autodesk HumanIK :インタラクティブなキャラクターアニメーション作成を支援
オートデスクのゲームウェア製品は、これまでに少なくとも1,000本のゲームで採用された実績を持つ。
米国オートデスク社でメディア&エンターテインメント事業部の上級副社長を務めるマーク・プティ(Marc Petit)氏は、以下のようにコメントしている。
「オートデスクのゲームウェア技術は業界の優れた開発チームに採用されているとともに、業界で利用されています。任天堂をはじめとした重要な企業との協力を通じて、より多くのゲーム開発者に当社のソリューションを届けることができます。オートデスクのゲームウェアを採用することで、制作プロセスを効率化し、新たな領域でイノベーションを追求するためのリソースを確保できます。今回の合意のように、開発に重点を置いた取り組みを推進することで、これまで以上に魅力的な次世代ゲーム タイトルが登場することでしょう」
■ゲームウェア製品の最新バージョン発表 モバイルゲーム開発と人工知能ソリューションの機能を拡充
オートデスクは同日、機能を強化した最新のゲーム開発ミドルウェアを発表した。モバイルゲーム開発と人工知能の製品を拡充したほか、既存製品のユーザビリティと性能が向上している。
オートデスク ゲームウェアは、2011年にリリースされた「Deus Ex: Human Revolution」、「Gears of War 3」、「Resistance 3」など、現在までに1,000本以上のゲームに採用されている。製品の評価版、関連ビデオ、チュートリアル、フォーラムはオートデスク ゲームウェアのウェブサイト(http://gameware.autodesk.com )で利用できる。
米国オートデスク社でメディア&エンターテインメント部門のプロダクト マネジメント担当バイス プレジデントを務めるマーク・スティーブンス(Marc Stevens)は次のようにコメントしている。
「オートデスクは、オートデスク ゲームウェアの旗印のもと、ゲーム開発プロセスを効率化するための取り組みを集約し、ゲーム開発者コミュニティと直接交流を図るためにゲームウェア用のウェブサイトを立ち上げました。そして過去4年間にわたり、ランタイム テクノロジーの分野に多大な投資をしてきました。今回発表したゲームウェア製品は、開発されるゲームの価値を高め、開発リスクを軽減するゲーム開発ソリューションの提供に向けた、オートデスクの継続的なコミットメントを示すものです」
■あらゆるビデオゲーム開発のためのAutodesk Scaleform 4.1
Autodesk Scaleform 4.1(オートデスク スケールフォーム 4.1)は、オートデスクの最新のビデオゲーム ユーザインターフェイス(UI)ソリューション。
特にモバイルゲーム開発向けに、新機能や強化された機能を追加。新しいモバイル用プレーヤー、柔軟な入力サポート、ゲームキット、チュートリアルなど、モバイルゲームUIや2Dゲーム/アプリの開発のためのツールセットが拡充されている。
また、ユーザビリティと性能は、すべてのジャンルのゲーム開発者を考慮して機能強化している。
今回発表した新バージョンScaleform 4.1では、BitmapData、AS3 XML、レギュラーエクスプレッション(正規表現)へのサポートが追加され、Action Script 3との互換性を高めている。
また、アセットのグラフィカル プレビューを実装しており、ミドルウェアのエクスポート/クッキング ツール用に使いやすいフロントエンド クライアントを提供する。さらに、フラッシュ アプリケーションを微調整するためのAMP(Analyzer for Memory and Performance)ツールの新バージョンを搭載。これによって、より使いやすいUIを実現し、性能を向上したGPU(Graphics Processing Unit)によるプロファイリング機能も提供する。
Unity Technologies社のゲームエンジンである「Unity 3エンジン」と連動して使用できるようになった。タブレット端末やPC向けに優れた接触入力ベースのインターフェイスを提供するマイクロソフトのWindows 8 Metroプラットフォームもサポートする。
■新製品と性能強化により、オートデスクの人工知能製品を拡充
オートデスクはまた、新たなゲームウェアとして、Autodesk Cognition(オートデスク コグニション)とAutodesk Population(オートデスク ポピュレーション)を今回発表している。この2本のソフトは、同社が昨年11月に買収を発表したGRIP Entertainmentの人工知能(AI)技術を取り入れて開発したもの。また、リアルタイム3DパスファインディングのソリューションであるAutodesk Kynapseの機能を強化し、人工知能製品をさらに拡充している。
ツールの特徴は以下の通り
○Autodesk Cognition 2013 (オートデスク コグニション 2013):
高性能の人工知能を生成・管理するためのビジュアル プログラミング システムであり、ランタイム エンジン。ビヘービアーツリーのパラダイムにより、人工知能の振る舞いの視覚表示を大幅に改善。それにより、優れたコラボレーションを実現している。ノードとツリーの標準構造によりコードが体系化されたことで、コードの管理・再利用・修正が容易になった。また、複雑な人工知能をより迅速に修正できる包括的なデバック作業ツールも提供されている。
○Autodesk Population 2013 (オートデスク ポピュレーション 2013)
多数のサブキャラクターを生成・管理することができるEpic社のゲーム エンジンであるUnreal Engine 3 向け人工知能ソフトウェア モジュール。活気がある生き生きとした数百人ものノンプレイアブル キャラクター(NPC)が住む世界を迅速に作成できる。
○Autodesk Kynapse 2013 (オートデスク キナプス 2013)
NPCのよりリアルなシミュレート機能を強化している。パスファインディングの新しいモードでは、水平上にあるダイナミック オブジェクトの集合体を基準にパスデータが動的に更新される。これにより、環境の変化に合わせてキャラクターの行動をシミュレートできる。
自動パス補正機能により、アニメーション システムがより高い精度で動きを予測。キャラクターがより自然な動きをするよう支援する。また、さらなるメモリ最適化により、AIボットのフットプリントを軽減し、ゲーム内により多くのNPCを配置できる。
○Autodesk Beast 2013 (オートデスク ビースト2013)
より簡単でインタラクティブなライティングを実現するミドルウェア。ライブシーンのオーサリングが可能。クリエーターが編集したシーン ジオメトリやライト、さらにそれらのパラメータ、ベーキング プロパティなどの結果をインタラクティブに見られる。
これらの機能はライティング ワークフローの一部としてUnreal Engineに統合される。これにより、Unreal Engineは、ビューポート内でのインタラクティブなプレビューを提供するもの。
Beast 2013ではまた、迅速でシンプルなライティング セットアップ機能を備えたグローバル イルミネーション モードを装備している。これにより、クリエーターは構造の細部を調べなくても高品質なライティングを作成できる。
○Autodesk HumanIK 2013 (オートデスク ヒューマン アイケー 2013)
ソルバーを改善したアニメーション ミドルウェア。2 ボーン IK ソルバー、新しい肩のソルバーに加え、背骨の湾曲制御に新パラメータを使用した改良された背骨ソルバーを簡単に利用できるため、より一層リアルなキャラクター アニメーション作成が可能。アニメーターは、改善されたHumanIK プラグインを搭載したAutodesk MotionBuilder2012にキャラクターを取り込むことで、問題があるキャラクター アニメーションの部分をより簡単に特定できる。
Scaleform、Cognition、Population、Kynapse、Beast、ミドルウェアのHumanIKは2012年春に提供開始予定。