【Inter BEE 2014 TV】NHKメディアテクノロジー 8K3Dシアターで実写映像上映 外科手術の4K3D映像体験、震災3D映画 スマホをインカムにする技術など多彩な放送・通信融合技術を披露
2014.11.21 UP
8K3D映像と22.2チャンネル音響で実写映像を体験できるシアター
国際会議場にある記念技術展の入場口
4K3Dで脳神経外科の手術の様子を体験。左下がタブレット端末を想定した12インチの4K3Dディスプレイ
「VoLTE どこでもインカム」のデモ装置。スマートフォンにヘッドセットを付けて場所を問わずに連絡できる
NHKメディアテクノロジーはInter BEE 2014会場内のブース(ブース番号:6405)の展示と、会場に隣接する国際会議場コンベンションホールAの「創立30周年記念技術展」で、8Kや4Kの映像技術、クラウドなどの通信技術を活用したソリューションを数多く展示している。世界初という8K3Dシアターの上映は整理券が配布される盛況ぶり。創立30周年記念技術展、会場内のブースとも多くの来場者でにぎわい、注目の高さを物語っているようだ。
(上写真=98インチの8Kディスプレイを3面用意し、連携させて表示するデモ)
■実写の8K3D、外科手術の4K3Dなど3D映像の可能性を提案
創立30周年記念技術展は、NHKメディアテクノロジーのブースのある「ホール6」からいったん会場を出た国際会議場に特設会場を設けて開催されている。特別展示の200インチのスクリーンを使った8K3Dシアターでは、少女とピエロが織りなす実写のファンタジーを上映。3Dの効果を強く意識させる映像とは異なり、遠景の教会と近景の登場人物、教会の中のベンチの列と祭壇など自然な映像が3Dになることで8Kの高精細映像に一層の臨場感を与えていた。22.2チャンネルのサラウンドシステムによる立体音響と8K3Dの映像が組み合わさることによって映像作品を見るのではなく「体験する」感覚に包まれる。整理券の配布が終わってしまって夕刻には8K3D体験をできずに悔しがる来場者もいたほどなので、早い時間に整理券を確保することをお勧めする。
3D関連では、4Kの外科手術撮影システムに多くの来場者が関心を寄せていた。順天堂大学の協力で、実際の脳神経外科の手術の映像を4K3Dで上映。高精細であるだけでなく、立体感を伴うリアルな手術の映像に来場者は感嘆の声を上げていた。手術の4K3D映像は、教育分野での利用が主に想定されている。会場には大画面の4K3Dディスプレイだけでなく、試作品のタブレット端末向けの12インチ4K3Dディスプレイも展示されていた。小型のディスプレイで4K3D映像を見ると実際に体験しているかのような臨場感があり、医学生などが個人単位で事前に手術の状況を体験できるシステムとして有効であることをアピールしていた。
創立30周年記念技術展の会場内に設置したイベントステージでは、8K3Dの制作秘話や4K制作の実例紹介などのトークショーを開催。また、2015年に公開予定の震災3D映画「大津波 3.11未来への記憶」の予告編の上映も行われている。
■放送技術と通信技術を融合させた便利な世界を提案
30周年記念技術展の中央に位置していたのが、「VoLTE どこでもインカム」の展示。VoLTEとはVoice over LTEの略で、スマートフォンなどで使われている通信方式のLTEを使って音声をやり取りする技術だ。NHKメディアテクノロジーでは、放送局などの現場で使われるインカムを、専用機材ではなくスマートフォンとヘッドセットの組み合わせで実現するソリューションとして「VoLTE どこでもインカム」を展示した。スマートフォンに専用アプリを搭載し、スマートフォンのデータ通信を利用してインカム機能を実現する。機器や場所の制約がなく相互の会話が可能で、さらに既存のインカムシステムとの連携も可能。局内とロケ地などでインカムとして利用できるように、利用の範囲が広い。来場者は、実現する仕組み使い勝手について、説明員に熱心に尋ねていた。
通信技術と放送技術の融合によるソリューションの展示は、クラウド、デジタルサイネージ、テレビとスマートフォンの連携など多岐にわたっている。クラウド関連では、「クラウドを活用した番組制作支援ツール」を展示、デモを行っている。クラウドとしてMicrosoft Azureを利用し、圧縮した映像素材をクラウドにアップロードして、場所を問わず自在に編集できることを示した。
デジタルサイネージでは、84インチの4Kディスプレイを縦型に設置した「4Kデジタルサイネージ制作・管理・送出システム」のデモを行った。パソコンのブラウザからディスプレイに表示させることで低コストの大型サイネージの導入が可能なこと、CMSによりインターネット経由でコンテンツを制御できることなどをアピールしていた。
テレビの画面とスマートフォンを双方向に連動できるようにする「ホームネットワークによるTVとスマホ連携技術」では、スマホの画面からTV上のキャラクターを操作したり、テレビ側からの指示でスマホを振動させたりする様子を実演した。
■Inter BEE会場内のブースでも8Kを実演
幕張メッセのInter BEE会場内のブースでも、8K時代の到来を意識した展示が並んでいる。その1つが98インチの大画面8Kディスプレイを3台連動させた「8Kコンテンツの3面表示」のデモ。8Kの高精細な映像を3面それぞれに表示するだけでなく、3面連動で広がりのある映像を表示できることを示した。3面連動で風景の映像を表示している場面では、その場にいるかと思うほどの臨場感を体感できる。
創立30周年記念技術展と会場内のブースをつないだ8KのIP生中継のデモも行われている。記念技術展のイベントステージの映像を4KのIP伝送装置4台を使って光ファイバーで伝送し、ブースの8Kディスプレイに映し出している。民間初という8K IPライブ伝送の実力を確認できる。
【NHKメディアテクノロジー】
東京都渋谷区神山町4-14
URL:http://www.nhk-mt.co.jp/
Inter BEEブース:映像・放送関連機材部門 /ホール6 /6405
8K3D映像と22.2チャンネル音響で実写映像を体験できるシアター
国際会議場にある記念技術展の入場口
4K3Dで脳神経外科の手術の様子を体験。左下がタブレット端末を想定した12インチの4K3Dディスプレイ
「VoLTE どこでもインカム」のデモ装置。スマートフォンにヘッドセットを付けて場所を問わずに連絡できる