【NEWS】フォトロン 新ショールームを開設 4K対応映像編集システムなど展示 実績重ねる映像制作支援クラウド「Harbor」のサービス強化
2015.8.5 UP
米ProMax Systems社のPlatform Series「オンライン」
映像制作フロー支援プラットフォーム「Harbor」
リアルタイムVRスタジオシステム「Table Football」のデモ
左:ソニーBVM-X300(30型4K有機ELマスモニ)、右:EIZO ColorEdgeでHDR 4K/HEVC再生
フォトロン 映像システム事業本部は今年5月、神田神保町にショールームを併設した新事務所を開設した。去る7月15日、新ショールームにおいて、編集、ライブプロダクション製品などをデモする内覧会を開催した。同ショールームでは製品を常設し、ハンズオンのデモンストレーションや定期的なチュートリアルセミナーを行っている。
内覧会ではショールームに隣接したセミナールームも展示スペースとして用い、新製品によるソリューションやアプリケーションの説明、実機によるデモンストレーションを行った。当日は400人以上の業界人が訪れ、終日賑わっていた。
■ポストプロダクション関連の多彩な製品が展示
ショールームでは、ポストプロダクション製品が主に展示され、セミナールームではライブ、グラフィックス製品が出展された。
ショールームでは、4K対応ポスト編集システムの「Avid Mediea Composer」や、NAB Show2015で発表されたセントラルストレージ「ISIS 1000」、ROHDE&SCHWARZ社のデジタルメディアマスタリングシステム「CLIPSTER」や4K対応レコーダー「VENICE」が展示された。また、DigitalVision社のデジタルマスタリング&リストレーションシステム「Phenix」や、Telstrem社の4K対応ハイエンドファイルベーストランスコーダ−「Vantage」などもデモされた。
さらに、Blackmagic Designのカラーグレーディング「DaVinchi Resolve」、フォトロン社のプライベートクラウドを利用する映像制作支援プラットフォーム「Harbor」(ハーバー)、新製品のProMax Systems社のストレージの実機によるデモンストレーションなどが行われた。
■4K対応のライブ製品も登場
ライブ、グラフィックス製品を展示したセミナールームでは、EVS社のライブ中継/コンテンツ制作用スタジオプロダクションサーバー「XT3」や、切り出しズーム機能を搭載した4Kズームシステム「EpsioZoom4K」を展示。このほか、ARCHIMEDIA社の4K60p対応メディアプレイヤー「Atlas」や、フォトロンのHDハイスピードカメラ「FASTCAM BC2」などがデモされた。
グラフィックス関連としては、Vizrt社のカメラ連動リアルタイムグラフィックス「VizVirtual」システムを用いた3Dテロップやバーチャルスタジオのデモを実施した。
■ProMax社のサーバーを国内販売開始
同社が新しく取扱いを始めた米ProMax Systems社のPlatform Series(プラットフォームシリーズ)はコンテンツ制作向けの共有ストレージサーバー。映像制作の環境に合わせて、3RUラック筐体の「オンライン」から「ニアライン」、「スタジオ」、「ポータブル」とモデルが選べる。16TBから最大25PBまでスケーラブルに拡張できるという。
筐体に複数のサーバーモジュールを挿入するマルチノードタイプのサーバー。異常時に対応する冗長性機能として、フェイルオーバー、クラスタリング、レプリケーション機能などを備えている。「オンライン」は、メディアファイル変換、MAMといった機能に加え、SDIビデオキャプチャを搭載できる。これにより、サーバーに直接ベースバンドで映像データを取り込め、高速レンダリング処理をしながらの編集が可能。「オンライン」はまた、10本のProRes422 HQ UHDストリームを同時に扱え、4Kデータでの編集でも5ユーザーが同時にアクセスできる。
なお、ProMax社は昨年6月にNASベースのアーカイブアプライアンスを開発・販売していた Cache-A社を買収している。
■放送、映像制作を支援するクラウド「Harbor」が機能強化
“映像制作フロー支援プラットフォーム”として、10Gbpsの専用回線でつないだプライベートクラウドサービスが「Harbor」だ。現在、40社以上の放送局、映像事業者に利用されている。特徴はKDDI研究所が開発した大容量ファイル転送用プロトコル「SVFTP」を採用。さらに、KDDI研究所の高速ストリーム暗号「KCipher-2」(ケーサイファー・ツー)で、セキュリティをさらに強化している。フォトロンは、このクラウドサービスに、現物のテープなどメディアを倉庫で保管するサービスを実施している。さらに年内には局、ポストプロ、スタジオの間を巡回する定期便サービスも始めるという。
■スポーツ解説でリアルタイム性を発揮する「VizRT」
リアルタイムVRスタジオシステム「Table Football」のデモでは、スポーツ解説の事例を紹介した。メキシコのテレビサ局がFIFAワールドカップのスタジオ中継で採用した導入実績を持つ。リアルタイムVizエンジンにバーチャルスタジオと解析ツール「Viz Libero」を組み合わせ、タッチテーブル上でリアルタイムグラフィックスを実現している。
■多機能な再生プレイヤー「Atlas/Iris」
DCPやIMFからDPX、JPEG2000までも再生できるプレファレンスメディアプレイヤーとして知られるArchimedia社の「Atlas」(アトラス)。デモではSDI経由でSony 4K OLEDディスプレー、DisplayPort経由でEIZO ColorEdgeに4K ハリウッド映画のトレーラーを再生した。
再生用コンテンツは、4K24p/HEVC 10bitでHDR対応映像。「Atlas」は、ディスプレーメーカーの信頼も厚く、6月に米フロリダ州で開催した「Display Summit 2015」に出展したディスプレーやプロジェクターの、HDRコンテンツ再生で数多く使われている。Archimedia社は、このAtlasを用いたファイルベースワークフロー支援用ツールとして「Iris」(アイリス)を発表。素材映像に注釈やマークアップができ、ワークグループで共有可能。品質管理、承認など、ネットワークを介した映像制作のワークフローにおける作業効率を高めるツールだ。
米ProMax Systems社のPlatform Series「オンライン」
映像制作フロー支援プラットフォーム「Harbor」
リアルタイムVRスタジオシステム「Table Football」のデモ
左:ソニーBVM-X300(30型4K有機ELマスモニ)、右:EIZO ColorEdgeでHDR 4K/HEVC再生