【プロダクション】IMAGICA 5Kカメラ「エピック」を導入 データ撮影を拡充
2012.8.31 UP
左から田尻氏、森本氏、石田氏、柳澤氏
IMAGICA(東京都品川区)は、レッドデジタルシネマ社製カメラ「エピック」を導入し、デジタルプロダクション部における撮影サービスを拡充した。エピックは5K「ミステリウムX」センサーを搭載し、最大300コマ/秒のハイスピード撮影を行える。
同社は2009年から「レッド・ワン」を稼働。12年になり上位機種エピックが市場に普及し始めたことから同社でも導入し、7月からCMや映画で運用を開始した。
併せてフジノン製PLマウントズームレンズ「HK4.7×18」「HK5.3×75」を、ツァイスウルトラプライムレンズとともに保有。高解像度なデジタル撮影に活用する。エピック本体はバックアップ用も用意しており、不測の事態に備えている。
エピックの需要について、DITの田尻浩司氏(撮影グループ)は「2011年ごろからCM納品がHD化。HD制作時にブローアップには4K程度の解像度が必要となっている」と説明する。
ハイスピードと通常撮影の違いを少なくしたいという声も多く、「4Kでも150コマ/秒撮影できる。専用カメラを用意せずにハイスピード撮影できるカメラとしての需要も高い」と話す。
運用面ではデータの取扱いを重視する。RAW形式のR3Dファイルを使ったワークフローはレッド・ワンの段階でほぼ完成されているが、テクニカルディレクターの石田記理氏は次のように説明する。
「データ撮影カメラは、DITおよびポストプロダクション部門で、目に見えないものを形として扱うなど、まめにバックアップするなどポイントを押さえれば有効に扱える。魅力的な部分が多いだけに、注意すべき点をおろそかにしてはいけない」
同社はこれに伴い、石田氏を含む6人のテクニカルコーディネーターと4人のテクニカルディレクター職を設立した。
撮影現場で素材のプレビューやバックアップ、品質管理を行うデータインジェストシステム「オンセットドック」も必要に応じて運用するなどファイルベースワークフローへの対応を進めている。レッドとの相性も良いという。
同社は現在、8Kセンサーを搭載するソニー「F65」の運用を準備している。またシネマ制作では今後、ハリウッドが構築中のカラースペース「ACES」規格への対応も検討が必要となるなど、変化が予想される。石田氏は「最新技術の検証もしっかり進めていきたい」と話している。(映像新聞社 吉野和美)
左から田尻氏、森本氏、石田氏、柳澤氏