【Inter BEE 2014】Inter BEE Connected 地方局が新たな事業モデルへ挑戦 「地方発→全国」へ、最新事例から見えてきた果敢な姿勢と具体的な成果

2014.11.21 UP

登壇者に4つのテーマのアンケートを事前実施

登壇者に4つのテーマのアンケートを事前実施

テレビせとうちは、マルチスクリーン型研究会のSyncCastによる成果を披露

テレビせとうちは、マルチスクリーン型研究会のSyncCastによる成果を披露

福岡放送は、自社制作番組のGyaOでの配信で100万視聴を記録。

福岡放送は、自社制作番組のGyaOでの配信で100万視聴を記録。

仙台放送波、多様な新規事業に取組んで億単位の収入に結びつけている

仙台放送波、多様な新規事業に取組んで億単位の収入に結びつけている

 InterBEE Connected、2日目のセミナーとしてローカル局4局の面々によるパネルディスカッションが行われた。放送の高度化やタイムシフトにどう対応し、新しいビジネスモデルを見いだせるか。議論から見えてきたのは、それぞれが様々な手法で挑戦しはじめた姿だった。ディスカッションを追いながら、取組みについても紹介したい。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

■「放送の高度化」「4K/8K」「ハイブリッドキャスト」「タイムシフト視聴」4つのテーマを投げかけ
 このセッションに集まったのは、仙台放送・平山準一氏、テレビせとうち・島内洋和氏、毎日放送・長井展光氏、福岡放送・毛利元夫氏。この四人のパネラーに対し、モデレーターの次世代メディア研究所・鈴木祐司氏が議論のテーマを投げかけた。放送の高度化としての4K/8K、ハイブリッドキャスト、そしてタイムシフト視聴への対策、最後にビジネスモデルの進化の4つだ。あらかじめ鈴木氏からそれぞれにアンケートをしてあり、その回答をもとに議論を進めて行く面白い手法だった。

■4K/8K 「放送以外での配信」も検討、「地方局ならではの4K制作」依頼も
 4K/8Kについては、「許認可事業である限り方針には従わざるをえない」との受け身な発言も出たが、高画質の映像をじっくり見てもらう番組には独自のニーズがあり、放送以外で配信する可能性も言及された。他の事業者から4Kでの制作を依頼される事例も実際にあり、高画質映像の制作はローカル局のプロダクション機能としての価値が見いだせそうだ。

■”Don’t Think, Feel!” 新たな挑戦へ若手を鼓舞
 ハイブリッドキャストについては、ローカル局では取り組む必要性は感じつつも具体化については考えあぐねている様子。在京キー局でさえ実験番組を一回やった程度なのでこれは無理もないだろう。
 その流れで、テレビせとうち島内氏が自社の取組みをスライドで披露した。それまでの議論では「HUTが下がるのは心配」と、慎重な姿勢だったが、若い社員が自社コンテンツを多様なメディアに向けて配信している事例を紹介し、マルチスクリーン型研究会のSyncCastを使った試みでの成果も披露。最後は、”Don’t Think, Feel!”(考えるな、感じろ)というスローガンで締めた。打って変わってのポジティブな発言で、会場を湧かせた。
 (HUT=Households Using Televisionの略。視聴率の指標の一つ。テレビを放映時に視聴する、いわゆる「ライブ試聴」 )

■タイムシフト視聴に各社果敢なアプローチ 「地方発→全国」へ手応え
 タイムシフト視聴への対応としては、新しい手法に積極的にトライするべきだとの姿勢が多かった。その例として、福岡放送、仙台放送それぞれの事例が紹介された。
 福岡放送では「発見らくちゃく!」という自社制作番組のGyaOでの配信をはじめた。地元でも人気のこの番組は、ネットでも好評を博し9月には再生数が100万回を越えたという。福岡から全国へ、そして世界へも番組を配信できるとの手応えを感じているそうだ。
 仙台放送は「放送外収入を増やせ」とのミッションを受け、「ドクターサーチみやぎ」という事業に挑戦した。ネット企業がやりそうな事業だが、「限られた地域で大量スポットを打てば勝てるかもしれない」とやってみたら非常にうまくいき、他のエリアにもそれぞれのローカル局と組んで広げているそうだ。それだけでなく多様な新規事業に取組んで億単位の収入となっている。
 最後に長井氏が、鈴木氏が提示したテーマを総ざらいし、この十年でラジオ局に起こった危機が今後テレビ局にも起こる可能性は十分ありうるとの懸念を表明。だからこそ新しい取組みの必要性は間違いないが、まだひとつの方向に走りだす段階ではないとして「様子見型」という回答を示した。業界屈指の論客らしい、含蓄ある結論といえるだろう。

■鈴木氏「生活者にとっての価値の最大化」こそ重要
 ローカル局の将来は決して楽観視できるものではない。だがこのセッションで見えてきたのは、それぞれが果敢に挑戦する頼もしい姿だった。鈴木氏はまとめとして「生活者にとっての価値の最大化」が重要だと提言したが、まさにそれを軸に考えれば、新しいビジネスモデルは多様に切り開けるのではないだろうか。

登壇者に4つのテーマのアンケートを事前実施

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テレビせとうちは、マルチスクリーン型研究会のSyncCastによる成果を披露

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福岡放送は、自社制作番組のGyaOでの配信で100万視聴を記録。

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#interbee2019

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