【Inter BEE 2014】Inter BEE Connected 「インタラクティブ」で、テレビのライブ試聴を活性化! 「ウェブとテレビ、全体像の設計が重要」
2014.11.21 UP
バスキュールは、この2年で140回以上のインタラクティブな番組に携わってきた
朝日放送の岸本氏は、数年前から数多くのインタラクティブな試みを続けてきた
InterBEE Connected、2日目最後のセミナーは「インタラクティブなテレビ、その今と未来」と題して、株式会社バスキュールの代表取締役社長・朴正義氏と、朝日放送株式会社東京支社の岸本拓磨氏が登壇。テレビにインタラクティブな仕掛けを多彩に試みてきた二人から、放送のクリエイティブな可能性を語ってもらった。(上写真=右から朝日放送・岸本氏、バスキュール・朴氏、江口氏)
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)
■バスキュール「宇宙と未来のニューヒーローを目指す」
このセッションは、Connectedのアドバイザリーチームでもある江口靖二氏が進行役となり、まずは二人の登壇者にこれまでトライしてきた企画について説明してもらった。
朴氏が率いるバスキュール社は、WEBコンテンツの制作会社で、もともとクリエイティビティあふれる双方向の仕掛けを中心に数々のサイトを手がけてきた。「宇宙と未来のニューヒーローを目指す」というぶっ飛んだスローガンを掲げ、主に広告業界を舞台にしていた会社だ。2010年代に入ってから、テレビ放送のインタラクティブな企画に挑戦しはじめ、『日テレ×NHK60番勝負』をはじめ各テレビ局からの依頼を次々に引き受けて、業界屈指の実績を積み重ねてきた。朴氏によれば、この2年間で140回以上の放送に関与してきたという。中でもBSジャパンで放送した『BLOODY TUBE』はテレビ放送を舞台にした一大ゲームパークのような壮大な企画だった。
■朝日放送「ハイブリッドキャストで1000人同時視聴実現」
朝日放送の岸本氏も、テレビ局によるプロモーションの一環としてネットを活用したインタラクティブな仕組みに数多く取組んでいる。直近の事例として紹介されたのが、関西ローカルで放送された『ゲーム王』での“テレビのニコ動化”の事例。ハイブリッドキャストの仕組みを生かし、放送を見ながらのtwitterでのつぶやきをテレビ画面にオーバーレイで表示する。ニコニコ動画での人気コンテンツのひとつ、“ゲーム実況”をテレビ放送で再現するような試みで、ネットユーザーの間ではかなり話題になった。まだまだ普及途上のハイブリッドキャストだが、利用者数は1000人を超えたというから、かなり“濃い”成果が出たといえるだろう。
■広告企画としてのインタラクティブに意欲
後半は、江口氏の質問に二人が答える形でディスカッションが進んだ。テレビにインタラクティブな仕掛けを持ち込むのは、ライブ感を共有してもらうのが目的か? との江口氏の問いに朴氏は「ネットは分散してしまっている」と答える。「テレビにはみんなの期待値があり、インタラクティブな仕組みによって、その期待に応えて楽しさを増幅することができる」テレビの増幅力が、クリエイターとしては魅力なのだという。さらに岸本氏は「タイムシフト視聴の流れは止められない。だがインタラクティブな仕掛けにより同時一斉感を楽しんでもらいライブ視聴の価値を高められる」と、視聴回帰への効用を指摘した。
広告主にとってのインタラクティブ企画の価値はどうかとの問いに朴氏は「WEBで盛上げ、テレビで爆発させるような仕組みは可能なはずだが、そんな全体像を設計できる人がいない。うまく仕組めばコストパフォーマンスもよくなるはず」と課題を指摘。岸本氏も「あざとくない形でネイティブ広告的な企画は可能で、関西エリアでスポンサーさんと一緒に手法を開発できればいい」と広告企画としてのインタラクティブにも意欲を示した。
最先端の事例を知ると同時に、あらためてこの分野の可能性が感じられるセッションだった。テレビがネットを活用するなかで、インタラクティブ企画は今後も多様に広がる気配がある。お二人に続いてユニークな発想を持つクリエイターが、続々登場することを期待したい。
バスキュールは、この2年で140回以上のインタラクティブな番組に携わってきた
朝日放送の岸本氏は、数年前から数多くのインタラクティブな試みを続けてきた