【NEWS】IBC2018報告（２）現場の「いま」に応える、即時性を重視したカメラが次々と登場

　IBC2018では、先進技術の搭載よりも、いま現場が要求している、いますぐ使えて少し先までも使い続けられるような確実性を重視した新製品が目立った。際立った技術や特徴よりも質実剛健で使って稼げる製品がいま市場から求められているようだ。カメラ市場もその傾向が顕著だ。（上写真は、ソニー VENICEのカメラヘッドを分離して延長するエクステンションシステム、後半に詳述）

■キヤノン XF705を発表　HDハンディで12G-SDI出力対応
　キヤノンからは、HDハンディカメラで世界で愛用されてきたXF305の4K版後継機『XF705』が発表された。4K/60P/4:2:2/10bitでSDカード記録、HDR（PQ、HLG）にも対応、同社のCINEMA EOS シリーズでも好評のデュアルピクセルCMOS AFやCanon Log3も搭載。

　さらにH.265/HEVCの最新コーデック「XF-HEVC」を新たに採用した。HDでのXF-AVCに比べ、約2倍のデータ圧縮率を実現しつつ、高画質も維持しながらSDカードへの記録が可能。また12G-SDI出力への対応など、これまでのハンドヘルドビデオカメラの枠を超え、ENGや報道、ドキュメンタリー、さらには制作系のドラマやCM撮影まで、マルチ対応を要求されるこれからの様々な現場需要に耐え得る、意欲的なカメラに仕上がった。11月下旬に発売予定。

■ソニー 「アバター2」で採用のカメラヘッド分離型VENICEが商品化
　ソニーは、グローバルシャッター機能を2/3型3板式4Kイメージセンサーを世界で初めて搭載した、マルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-3500』と、同じセンサー機能を搭載したマルチパーマスカメラ『HDC-P50』を発表。さらに同じセンサー機能を搭載したHDカメラの『HDC-3100』も同時に発表されている。

　また、昨年発表された映画向けシネマカメラ、CINE ALTAの最新機種VENICEには、今年6月のCineGearExpo期間中にジェームズ・キャメロン監督と次回作「アバター２」以降でVENICEのカメラヘッド部分が分離するタイプのカメラ採用が正式決定し、調印式の模様が話題になったが、そのVENICEのカメラヘッドを分離して延長するエクステンションシステムが商品化され、『CBK-3610XS』として新たに発表。専用のエクステンションケーブルで最長5.5m延長できる。来年2月発売予定。

■パナソニック HLG対応HDカメラを発表
　パナソニックは、欧州を中心としたHD-HDRの需要に応えるべく、HD収録のENGカメラでHDR撮影（HLG）が可能な、2/3型３板式のHDカメラ『AJ-PX5100』を発表。AVCプロキシによるデュアルコーデック録画に加えて、AVC-Intra200/100/5、AVC-LongG 50/25でのP2カード記録が可能。4K解像度よりもHDRの需要が高まる海外、特に欧州ではHDでのHDR撮影需要に応えられるカメラは、価格面でも機能面でも大きな魅力となっている。

■JVC KENWOOD 4K20倍レンズ、ProRes 422搭載のコネクテッドカム新機種
　JVC KENWOODからも同社のコネクテッドカムシリーズで、ネットワーク接続の即時性、信頼性を高めたアフォーダブルな4Kメモリーカードカメラレコーダー『GY-HC550』『GY-HC500』（ワイヤレス機能無し）を発表。従来機『GY-HC900』のIP接続の親和性や高ビットレートでかつ低遅延の双方向ライブストリーミング機能などの基本性能を継承、1型CMOSセンサーと新開発の4K 20倍レンズ搭載。

　特徴的なのは「Apple ProRes 422」を標準搭載し、別売のSSDメディアアダプター「KA-MC100」を使用して高速SSDメモリーへの収録に対応した。高画質なストリーミング映像配信ソリューションであるZiwiを、早くから採用した同シリーズのカメラは、ネット映像とTVの両立が叫ばれるこれから撮影現場では、今後さらに需要が伸びる可能性が高い。