【NEWS】パナソニック 放送用カメラの色収差補正技術でエミー賞「デジタルカメラの画質向上に貢献」 CES2014で授賞式 P2技術に続いて17回目の受賞に
2013.10.8 UP
パナソニックは今回で17回目の受賞となる
今秋発売のAVC-ULTRA記録対応カメラ「AJ-PX5000」(写真)にもCAC技術が搭載されている
パナソニックは、放送用カメラの色収差補正(CAC)技術の開発で、米国テレビ芸術科学アカデミー (The National Academy of Television Arts & Sciences)が主催する、第64回テクノロジー&エンジニアリング エミー賞に選ばれた。
■デジタルカメラの倍率色収差を補正
倍率色収差は色によって像の倍率が異なり、像の大きさが異なることで、光学系に発生する。デジタルカメラでの撮影を行う場合、この倍率色収差は絞りこみを行っても抑制できず、光学設計で補正する必要がある。
今回、評価されたCAC技術は、レンズ自体で補正しきれないわずかな色収差などが主な原因で発生するレジストレーションエラーを、カメラレコーダー本体にて自動的に補正し、周辺画像の色にじみを最小限に抑えることができる。 レンズ収差をモデル化し、リアルタイムに電子補正を適用することで、「画質をめざましく向上させられ、またローコストカメラや光学系でも画質を改善できる」という。CAC対応レンズでは、映画用プライムレンズに近い映像クオリティがズームレンズで実現できるとしている。
■P2HDシリーズに搭載
同技術は、パナソニック社製の放送業務用半導体収録システム「P2HD」シリーズに採用されており、AG-HVX200からAG-HPX255までの業務用ハンドヘルドHDカメラレコーダーをはじめ、放送用の肩乗せ型HDカメラレコーダーではAG-HPX600、AJ-HPX3100G、P2-VARICAMシリーズ、そして今秋発売のAVC-ULTRA記録対応カメラ「AJ-PX5000」に搭載されている。
■ソニー、朋栄、任天堂アメリカも受賞
パナソニックは、これまで17のエミー賞を獲得しており、その中の13はデジタルビデオ技術分野で受賞している。第64回テクノロジー&エンジニアリング・エミー賞の授賞式は、来年1月に米ラスベガスで開催される、国際コンシューマーエレクトロニクスショー(CES、ラスベガス・コンベンションセンター)の一環として行われる予定(来年1月9日(木))。
なお、今回のエミー賞では、パナソニックのほかにも、「ハイデフィニションシリアルデジタルインターフェースの開発、標準化と製品化」で、SMPTEと並んでソニー、 YEMエレッテックス(朋栄)といった日本企業や、「ビデオ&ゲーム向けの非タッチ・ジェスチャーコントロールシステム」でNintendo of Americaが受賞している。
パナソニックのこれまでのエミー賞受賞は下記の通り。
(1)デジタルビデオ特殊効果技術(1979-1980)
(2)タイムシフト記録可能な民生ビデオ(1985-1986)
(3)大規模アーカイブのための自動ロボット映像録画再生技術(1989-1990)
(4)テレビ用デジタルプロセスビデオカメラ(AQ-20)(1991-1992)
(5)1/2インチ幅コンポジットデジタルVTR技術(D3、NHK共同受賞)(1991-1992)
(6)デジタルビデオプロダクションスイッチャー(AS-D700)1992-1993
(7)オンチップレンズ付CCD(ソニー共同受賞)(1993-1994)
(8)1/2インチ幅コンポーネントデジタルビデオ収録技術(ソニー共同受賞)(1994-1995)
(9)D5-VTR用HDフレーム内圧縮アダプター(NHK共同受賞)(1997-1998)
(10)6.35mmコンポーネントデジタルENG/EFP収録技術(DVCPRO)(1997-1998)
(11)ビデオフォーマットコンバーター(Snell & Wilcox共同受賞)(1999-2000)
(12)可変フレームレートビデオ収録カメラシステム(VARICAM)(1999-2000)
(13)民生ビデオカメラ(ソニー、JVC、日立、コダック)(2000-2001)
(14)HDMI開発(Silicon Image、Thomson、東芝、ソニー、日立、Philips、Molex、日本航空電子、Intel)(2007-2008)
(15)民生再生機のためのブルーレーザー光学システム(ソニー、フィリップス、TDK)(2009-2010)
(16)放送用半導体収録システムP2(2011-2012)
パナソニックは今回で17回目の受賞となる
今秋発売のAVC-ULTRA記録対応カメラ「AJ-PX5000」(写真)にもCAC技術が搭載されている