【NEWS】ナック、ARRIの新製品ラージフォーマットカメラ発表イベント開催 レンズメーカー6社が新レンズマウント対応を表明 150fpsのデモ映像を上映
2018.2.23 UP
ALEXA LFカメラ
ARRIアジアのポール・アイヴァン・マネージングディレクター
事業開発担当のシニアマネージャーであるカルロス・チュー氏
ラージフォーマットカメラシステムの構成図
ナックイメージテクノロジーは2月15日、ARRIのラージフォーマットカメラシステム「ALEXA LFカメラ」を発表するイベントを開催した。2月2日に発表した同カメラについての詳細を紹介するイベントで、フランス、北京、ソウルに続く開催となる。
ALEXA LFカメラは、従来のALEXAセンサーをベースとした4K(4448×3096)センサーを搭載。センサーサイズは36.70×25.54mmと、フルフレームよりもやや大きい「ラージフォーマット」だ。
ARRIは、このラージフォーマットに対応した16種類のラージフォーマットレンズシリーズ「ARRI シグネチャープライムレンズ」と、ラージフォーマット用の新たなレンズマウント「LPLレンズマウント」、そして「PL—LPLアダプター」を同時に発表し、これらを総称して「ラージフォーマットカメラシステム」としている。自然な色再現性と優れたスキントーン、HDR/広色域はそのままに、見る人を引き込む印象的な映像をつくることができるという。
イベントに参加したARRIアジアのポール・アイヴァン・マネージングディレクターは冒頭、ラージフォーマットシステムの開発経緯について、次のように説明している。
「2年前に65mmカメラのALEXA65を発表し、次は何だということに関心が持たれていた。その問いへの答えがこのシステムだ。ラージフォーマットの映像は見る人を惹きつける。そこでスローガンを『Enlarge Your Vision』とした」
アイヴァン氏は「同システムの要はLPLマウントだ」言う。LPLマウントは、PLマウントより大きな直径と短いフランジバックで設計され、レンズの小型軽量化や明るい開放絞り、美しいボケを表現可能としている。既存の「ALEXA SXT」や「ALEXA Mini」「Amira」に装着して運用できる。
レンズではアンジェニューとクック、CWソンダーオプティック/ライカ、パナビジョン、バンテージ(ホーク)、ツァイスの6つのサードパーティーがLPLマウントへの対応を決定。既存レンズをLPLマウントと切り替えることを考えている社もあるという。ARRIレンタルは、65mmフォーマットのレンズを今後、LPLマウントに切り替える。
既存のPLマウント機材を利用するための「PL—LPLアダプター」は、ユーザーが資産を利用できることを重視していると強調した。ワークフローやアクセサリーの互換性も保っている。
イベント後半では、ARRI RAW24−48コマ、125mmのシグネチャープライムレンズを使ったLFシステムによるポートレートを中心としたデモ映像を上映した。
事業開発担当のシニアマネージャーであるカルロス・チュー氏はALEXA65の現状と、LFカメラについて次のように説明した。
「ALEXA65は世界で70台が実装され、成功した作品を多く撮っている。ただカメラの数が少なく、使いたいという要望があっても難しいことが多いこからLFカメラをつくった」
撮影モードは3つ。「オープンゲート」がセンサーのすべての領域をカバーする。「LF16:9モード」は3840×2160の撮影が可能でスーパー35用のPLレンズを使える。いずれもARRIRAWで90fpsまで対応。シネマスコープサイズの撮影が可能な「LF2・39:1モード」では150fpsを撮影できる。
収録形式は、メインのARRI RAWとProRes。SXRキャプチャードライブかSxS PRO+に記録する。CFastなどに対応する予定はないという。「レンズイルミネーションガイド」などのツールもラージフォーマット用にアップデートした。
レンズは12—280mmまでの16本のラインアップをそろえており、美しいスキントーンと独特なボケ味で、映像に柔らかい質感を与える。将来性を重視した設計で、鏡筒部分にマグネシウム素材を使い軽量化をはかった。レンズマウントはLDS2システムに対応する。
イベントでは、150fpsのシーンを含むデモ映像を上映。来場者が実際にカメラを操作するハンズオンセッションも用意された。
今後、カメラ本体をはじめとした基本的なセットが4月ごろに出荷される。レンズは6月から順次。なお、SXWからのアップグレードは用意していない。
編集:Inter BEE 2018 ニュースセンター
ALEXA LFカメラ
ARRIアジアのポール・アイヴァン・マネージングディレクター
事業開発担当のシニアマネージャーであるカルロス・チュー氏
ラージフォーマットカメラシステムの構成図