【NEWS】コンサートホールと同様の臨場感のある響きを車内で再現 自社開発の「残響制御装置」を搭載したデモカーを展示 NTT R&Dフォーラム2014
2014.2.21 UP
残響制御技術を使ったサラウンド化方法
残響制御技術を採用した製品
日本電信電話株式会社(NTT)は、2月13日から14日、NTT武蔵野研究開発センターにおいて、「NTT R&Dフォーラム2014」を開催した。「NTT R&Dフォーラム2014」において、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発した残響制御技術「Revtrina」を活用した装置を搭載したデモカー展示し、車内においてコンサートホールの響きを体験することができるデモンストレーションを実施した。(上写真=自動車を使った残響制御のカーオーディオでのデモ)
(IT・放送技術コンサルタント 隅倉正隆)
■臨場感を感じるための「残響」を立体的に再現
通常、コンサートホールの客席で音楽を聴く場合、観客の耳には前方から楽器や歌声などの直接音が、周囲からは響きである残響が届き、観客は臨場感を感じる。しかし、CDなどには直接音と残響音が混ざった形で収録されており、ステレオ装置、前の2つのスピーカーから再生した場合は、コンサートホールの客席のような立体的な臨場感がある音環境を再現することは困難だ。
■再生時に直接音と残響音をリアルタイム分離
NTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発した残響制御技術「Revtrina」は、音楽CDなどに収録されている2chのステレオ音楽信号をリアルタイムに直接音と残響音(間接音)に分離する技術だ。この「Revtrina」技術を応用し、分離した直接音と残響音を、それぞれサラウンド環境の適切なスピーカーから再生することで、より自然なサラウンド(5.1ch)をリアルタイム実現し、コンサートホールと同様の臨場感のある響きを車内で再現することができる。なお、元の音源にホールの残響を加えたり、位相を変化させるなどの音源に手を加えることをおこなわず、直接音と残響音を分離できる点が大きな特徴となる。「手を加えていないため、分離した直接音と残響音を足すと、元の音源に戻る(説明員)」という。
■カーオーディオへの応用も視野に
車内デモでは、ジャズとクラッシックの2つの音源を、通常再生とRevtrinaを利用した再生の聴き比べを行い、コンサートホールの響きを体感することができた。
Revtrina技術を使った製品としては、民生用としては日立マクセルからホームスピーカー(ワイヤレススピーカー「MXSP-HF5000」)が、業務用には映画がドラマなどで収録した音声から残響除去や2chステレオ音源から5.1chにリアルタイムに変換すを行うプラグインソフトウェア(NTTラーニングシステムズの「NML RevCon-RR」)や放送機器用装置(花岡無線の音場制御パネル「SfCP-2512」)が販売されている。
今回のデモでは三菱電機のダイアトーンを使ったデモを行っており、「車載機への応用については、カーオーディオメーカー様にご協力を頂いて、カーオーディオへの応用について、色々とご検討していただいている段階」という。将来Revtrina技術を搭載したカーオーディオが発売される可能性もうかがえる。
残響制御技術を使ったサラウンド化方法
残響制御技術を採用した製品