【NEWS】AMDアワード 大賞に「おおかみこどもの雨と雪」、AMD理事長賞は「EPUB 3」が受賞

2013.3.21 UP

授賞式に参列した審査委員、受賞者
「EPUB 3」で「AMD理事長賞」を受賞した荻野氏

「EPUB 3」で「AMD理事長賞」を受賞した荻野氏

授賞式にかけつけスピーチを行う総務省 総務副大臣 柴山昌彦氏

授賞式にかけつけスピーチを行う総務省 総務副大臣 柴山昌彦氏

「おおかみこどもの雨と雪」の細田監督(左)と柴山氏

「おおかみこどもの雨と雪」の細田監督(左)と柴山氏

■18回目を数えるAMDアワード「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー」
 一般社団法人デジタルメディア協会(以下、AMD)は、2012年度の優秀なデジタルコンテンツ作品とその制作者を表彰する「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー’12/第18回 AMDアワード」を3月19日、明治記念館で開催した。
 AMDアワードは、毎年、過去1年間に発売、または発表されたデジタルコンテンツの中から優秀作品あるいはサービスを審査し選定し、その制作者個人やグループの功績を讃えるもの。
 AMDアワードは、今年で18回目となる。アワードには、2012年1月1日より12月31日まで日本国内で販売、あるいは発表されたデジタルコンテンツおよびサービスが対象となる。授賞式では、10作品の「優秀賞」と、「功労賞」「江並直美賞(新人賞)」「リージョナル賞」が表彰された。最高賞である「AMD理事長賞」および「大賞/総務大臣賞」は、「優秀賞」10作品の中から選ばれ、「AMD理事長賞」は「EPUB 3」が、また、「大賞/総務大臣賞」には「おおかみこどもの雨と雪」が輝いた。

■功労賞は「国立国会図書館」に 図書資料のデジタル化保存の取り組みを評価
 表彰式はまず「功労賞」から発表した。功労賞を受賞したのは国立国会図書館。国立国会図書館は、1990年代より図書資料のデジタル化保存に取り組み、蔵書検察システムを構築した。また、明治時代以降の歴史的な出版物の資料や音源などもデジタル化してデジタルライブラリーなども構築。貴重な文化遺産のデジタル化への取り組みが評価された。

■新人賞「真鍋大度氏」 きゃりーぱみゅぱみゅのライブ映像などが評価
 新人賞にあたる「江波直美賞(江波直美賞=AMDアワード創設に尽力したデジタローグ社江波直美氏の功績を讃え命名)」は、株式会社ライゾマティクスのディレクターおよびプログラマー、取締役の真鍋大度氏が個人として受賞した。真鍋氏は、Perfumeの東京ドームコンサート、ツアー、ミュージックビデオ制作のサポートやきゃりーぱみゅぱみゅのライブ映像制作など手がけた実績を持つメディア・インタラクティブアーティストでもある。デジタルアートを商業ベースにのせた点などが評価された。

■地域の取り組みを評価する「リージョナル賞」に熊本県の「合志あぐっと!ねっと」
 「リージョナル賞」は、地域に根ざした新しいデジタルメディアコンテンツの制作と流通を先導的に取り組んでいる作品に授与られる。受賞したのは、熊本県合志市で農業に携わる地域住民が結集し、自らICTを活用した情報発信を行う活動である「合志あぐっと!ねっと」(合志あぐっと!村運営協議会)合志あぐっと!村運営協議会は、地域情報をブログやFacebook などのSNS、Web(Ustream)などのインターネットをはじめ、CATVや地元広報誌等の多くの媒体を活用し積極的に発信を行っている。デジタルコンテンツを利用した地域情報発信への取り組みが評価された。

■EOS C300、EPUB3など10作品に「優秀賞」
 次に「優秀賞」が発表された。優秀賞の10作品は下記の通り。
・「EOS C300」(受賞者:キヤノン株式会社)
 高感度性、高性能性などその高品質性と技術に着目され、今後の映像作品作りへの表現力増強など多大なる期待により評価され、受賞した。

・「EPUB 3」(受賞者:IDPF(国際電子出版フォーラム))
 米国、電子書籍標準化団体の IDPF が普及促進している電子書籍用ファイル・フォーマット規格であるEPUB。縦書きにも対応した最新EPUB3規格により、言語の壁を打破した。世界中のEPUB3対応機器で日本語の電子出版物が利用可能となり、世界標準のプラットフォームに乗せた功績が評価された。

・「宇宙兄弟プロジェクト」(受賞者:株式会社コルク、講談社モーニング編集部)
 宇宙兄弟というマンガを基盤として、インターネットやテレビアニメ、実写映画化へとマルチ展開し、宇宙兄弟の世界観を大きなエンタテインメントに仕立て上げた実績が評価された。

・「おおかみこどもの雨と雪」(受賞者:「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会/スタジオ地図)
 興行成績(興行収入42 億2千万円)の成功のみでなく、その質の高い描写力から、スタジオジブリ作品に並ぶ代表的な日本のアニメーション映画へと確立したことが評価された。

・「しゃべってコンシェル・しゃべってキャラ」(受賞者:株式会社 NTT ドコモ)
 スマートフォンに自然に話しかけるとキャラクターが会話を返してくるこの機能は、今後、人間のパートナーとしてのスマートフォンの普及と進化が期待され、この開発技術が賞賛された。

・「とびだせ どうぶつの森」(受賞者:任天堂株式会社)
 発売2ヶ月で販売本数 250 万本を突破し、コンセプトとして3DSのすれ違い通信を多いに活用し、ネットワークを利用した遊びとサービスを充実させた点が評価を得た。

・「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」(株式会社スクウェア・エニックス)
 大人気シリーズでありながら、初のオンラインRPG(ロールプレイングゲーム)化へのチャレンジ精神とその成功が賞賛された。発売3ヶ月で有料プレイヤー40万人を突破している。

・「パズル&ドラゴンス」(受賞者:ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社)
 2012年2月にリリースされて以降、口コミでアプリ市場トップセールスまで駆け上がり、現在までiPhone、Android版累計で600万ダウンロード以上を記録。高品質作品は、新しいプラットフォームでも支持されることを立証した実績が評価された。

・「メルセデス・ベンツ『NEXT A-CLASS』キャンペーン」(受賞者:株式会社博報堂/AOI Pro.Inc/Production I.G., Inc.)
 広告会社を柱としてCM制作会社、そしてアニメーション会社が結集と、従来のアニメーション制作とは異なるコラボを実現し、新しいスタイルの広告を確立。公開から19日間で200万再生回数、さらにNEXT A-CLASSの先行販売限定車200台も公開後1ヶ月以内に予約数を上回った偉業を達成した。

・「ゴールデンボンバー」(受賞者:有限会社ユークリッド・エージェンシー)
 ヴィジュアル系エアーバンドと独自のパフォーマンススタイルで「ニコニコ動画」公式チャンネルでのユニークな動画配信など、ネットデジタル時代ならではのプロモーション活動を行い、新たなインディーズアーティストのスタイルを形成したことが評価された。

■理事長賞は「EPUB3」が受賞
 本年度の「AMD理事長賞」は「EPUB 3」が受賞した。受賞を受けたIDPF(国際電子出版フォーラム)の理事を務める株式会社ボイジャー 代表取締役 萩野正昭氏は、受賞の挨拶に立ち「デジタル本が当たり前となっていった時に、このデジタルデータをどのように残していくかが一番重要な点。今まで親しんできた紙の本と同じように、図書館などで存在し続けていけるように、今土台を作っていかなくてはいけない段階にきている。今後にかけて取り組んでいきたい」と話した。

■大賞/総務大臣賞は「おおかみこどもの雨と雪」に
 「大賞/総務大臣賞」を受賞した「おおかみこどもの雨と雪」(「おおかみこどもの雪と雨」製作委員会/スタジオ地図)は、2012年7月21日に公開され、第36回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション映画賞を受賞している。登壇した細田守監督は、「この映画は子供を育てる親の話。その豊かな感情を表現するために、手書きの風合いを大事にした。手書きの風合いを表現するために必要なのは先端のデジタル技術だった」と受賞の喜びを語った。

「EPUB 3」で「AMD理事長賞」を受賞した荻野氏

「EPUB 3」で「AMD理事長賞」を受賞した荻野氏

授賞式にかけつけスピーチを行う総務省 総務副大臣 柴山昌彦氏

授賞式にかけつけスピーチを行う総務省 総務副大臣 柴山昌彦氏

「おおかみこどもの雨と雪」の細田監督(左)と柴山氏

「おおかみこどもの雨と雪」の細田監督(左)と柴山氏

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