【Inter BEE 2013 TV】ソニー 4Kライブ中継向けソリューションなど4K製品を一堂に展示

2013.11.19 UP

4K SXRDプロジェクター2台を使ったマルチプロジェクション

4K SXRDプロジェクター2台を使ったマルチプロジェクション

4K SXRDプロジェクター「SRX-T615」

4K SXRDプロジェクター「SRX-T615」

「4Kスティッチング」技術

「4Kスティッチング」技術

参考出展のSDI/IPコンバーター

参考出展のSDI/IPコンバーター

 ソニーは11月13日、幕張メッセで開催した「InterBEE 2013」において、「Beyond Definition 進化・創造・挑戦」をテーマに、業務用4Kの新商品や動向、国内放送機器ビジネスへの取り組みなどに関する記者説明会を開催した。
 新商品としては、スポーツなどの4Kライブ中継向け「4Kライブ制作ソリューション」(上写真)として、既に発売中の4Kライブカメラ「PMW-F55」を活用して4K中継が可能な「4Kライブカメラシステム」と、HD/4K×4ch対応でXAVCフォーマット収録ができるマルチポートAVストレージユニット「PWS-4400」を中心とした「4Kライブサーバーシステム」を12月から、また4Kのライブ制作を可能とするマルチプロダクションスイッチャー「MVS-8000X、MVS-7000X」用4Kアップグレードソフトウェア「BZS-8570X、BZS-7570X」を2014年1月に発売する。さらに、視野角の広さと従来より40%軽くした最軽量の新モデル「TRIMESTER EL」25型有機ELモニター「PVM-A250」と17型有機ELモニター「PVM-A170」を2014年1月に発売する。

■ 2020年の東京五輪は日本の放送の進化に刺激を与えると期待
 最初に登壇したソニー執行役員EVPプロフェッショナル・ソリューション事業部事業本部長の根本章二氏は、「2020年に東京オリンピック/パラリンピックが開催されることに決まったが、このことが日本の放送の進化へ大きな刺激を与えてくれることを大いに期待している。かつて、テレビのハイビジョン化がそうであったように、再び世界の方々が日本の放送・映像制作の動向に大きな注目を集めている。まさに、我々がどうやって実現するか、ということをお示めしする時が来た。今回のInterBEEが一つの時代の変化の始まりだと思っている」と述べた。

■ スポーツライブ制作に4Kを適用できるシステムを開発中。近々に商品化をする段階。
 続いて ソニーの業務執行役員SVPプロフェッショナル・ソリューション事業部副事業本部長の大西俊彦氏が登壇し、開発の取り組みについて説明した。
 ソニーは、「Beyond Definition」をスローガンに、高画質化に代表される高付加価値化を提供すること、世の中の変化に対応するためにはあらゆるワークフローが連携し、作業の効率化を高めていくために、新しいワークフローを提案した。
 今年の6月にブラジルで開催された第9回FIFAコンフェデレーションズカップにおいて、世界で初めて4Kのカメラをライブ制作に使用した4Kプロダクションワークフローの検証を実施した。大西俊彦氏は「このトライアルでの実績を基に、スポーツライブ制作に4Kを適応できるようなシステムを現在開発中で、近々に商品化をするところまできている」と説明した。


■ 2014年FIFAワールドカップブラジル大会の決勝戦で4Kでの撮影と制作を実施
 さらに、2014年FIFAワールドカップブラジル大会の決勝戦において、4Kでの撮影と制作を行うことを決定。「制作面からのバックアップと家庭やパブリックビューイングでも観ることができる環境作りについては、コンシューマチームとも連携して、各国の広い範囲で、何らかの形で視聴できるようにサポートしていくつもりである(大西俊彦氏)」と語った。

■ 4K映像制作の応用例として、8K×4K表示や「4Kスティッチング」技術を紹介
 映像の高画質化について、4K映像の高付加価値の1つの例として、4Kカメラを2台横に並べて、7,680×2,160ドットの1枚の映像を出力する新しい映像表現を提案。11月発売予定の4K SXRDプロジェクター「SRX-T615」を2台並べて超解像度(7,680×2,160ドット)の映像を上映するデモを行った。この「SRX-T615」の高コントラストや高画質性能、輝度の均一性能、隅々までの高解像度により、質の高いエッジブレンディングを実現しているという。

 また、4K映像制作の応用として、テスト段階ではあるが、2台の4Kカメラを使いフィールド全体を撮影し、その全体映像からどこでもフルHD画像を切り出す「4Kスティッチング」技術も開発し、実際に放送で利用することも実証実験として行っているという。なお、4Kステッチングソフトウェア「PWA-4KS」と切り出したHD映像に選手データ等のグラフィックスを付加することができるテレストレーターソフトウェア「PWA-TS1」を12月から欧州と米国で提供する予定という。


■ ワークフローの効率化を提案
 ワークフローの効率化について、大西俊彦氏は「ソニーが展開する光ディスクを使ったXDCAMが世界で30万台利用されており、これをベースに局内設備をできるだけ簡素に、かつIT化したワークフローソリューションを世界で50式以上提供している」と説明した。また、放送局内のインフラに関して、SDIやHD-SDIが利用されている現在において、4KコンテンツをHD-SDIでハンドリングする場合、4本から8本必要になるが、「複数のSDIケーブルを1本のイーサーネットケーブルに置き換える「IPライブソリューション」を提案した。このIPライブソリューションに対応した製品として IPライブ伝送システム「NXL-IP55」を展開する。また、HDや4K等の映像音声信号、制御信号をネットワーク上で同期伝送・同期切り替えできる「リアルタイムIPプロダクション技術」を開発しており、「SDI/IPコンバーター」を参考出展した。ソニーでは、小型・軽量で様々な機器の内部に組み込める「IPインターフェースモジュール」を含め2014年度以降の発売を目指しているという。


■ 4K/8K開発は東京オリンピック開催が後押しに

 最後に、ソニーの業務執行役員SVPでソニービジネスソリューション代表取締役の花谷慎二氏が登壇。ソニーが目指している高付加価値化、ファイルベースオペレーションによるワークフローの効率化、ライブ放送での見せ方などの高機能化などの国内放送機器ビジネスについて説明した。
 花谷慎二氏は4Kや8Kの開発について、「2020年の東京オリンピック開催を勝ち取ったことが非常にこの業界にとって後押しになったと肌で感じている。また、地上デジタル放送は2011年7月24日正午に完全移行し、さらに東京オリンピックの開催も2020年7月24日であり、地上波放送事業者はこの7月24日という日をキーワードにしている」と述べた。そして、「4Kはスペックだけでなく、新しい見せ方が重要になっている」と説明した。

 ソニーは、収録から送出、視聴まで、それぞれ新商品を出してきた。同社のカメラを使った映画制作が既に行われており、日本でも映画やドラマ、音楽、スポーツなど新しい分野に4Kの撮影が採用されている。特にスポーツ中継に関心が高まっており、ゴルフや野球、サッカーなど、実際に4Kカメラを使った撮影が行われている。


■ スポーツ中継用に2倍速スローや4倍速スローに対応したカメラを製品化
 また、見せ方、作り方については、「4K映像のマルチカメラからのスイッチングだけではなく、4KからフルHD映像を切り出すというオペレーションや4K+4K映像の引きの映像からズームやパーンニングなど、新しい見せ方が実現できるのではないかと思っている(花谷慎二氏)」と説明した。
 そして、ソニーが参画する総務省の次世代放送推進フォーラムでは、4K放送実現に向けたシステム開発に協力しており、4K映像を記録できるXAVCサーバや4K対応送信システムなどの機材提供するなど、スカパーと協力し行く予定という。
 さらに、ライブソリューションについては、HD/4Kの両方に対応したマルチフォーマットのライブソリューションに対応し、スポーツ中継用には、2倍速スローに対応した「HDC-2000シリーズ」や4倍速スローに対応した「PMW-F55」といったカメラを製品化した。

■ タブレットやスマートフォンからメタデータを入力、現場から映像ファイルを転送できるワイヤレスアダプタ「CBK-WA100」を開発
 アーカイブについては、収録からアーカイブまで、放送領域から番組制作領域までのトータルなファイルベースソリューションを提供しているが、撮影しているときに撮影日時や撮影者、機材の種類などの収録現場において検索するためのメタデータをタブレットやスマートフォンから入力でき、現場から撮影した映像ファイルを転送できる環境として、ワイヤレスアダプタ「CBK-WA100」を開発した。これにより、「上流によって簡易的にメタデータが入力でき、サーバに入った後でもスムーズに検索ができることを実現した(花谷慎二氏)」と説明した。

■ 業界で基準となる有機ELモニターを発表
 ソニーは、9月時点で有機ELモニターの全世界累計出荷台数が25,000台に達しているという。今回、視野角の広さと従来より40%軽くした最軽量の新モデル「TRIMESTER EL」25型有機ELモニター「PVM-A250」と17型有機ELモニター「PVM-A170」を発表した。花谷慎二氏は、「我々としては基準となるモニターが出せたと思っている」と説明した。

4K SXRDプロジェクター2台を使ったマルチプロジェクション

4K SXRDプロジェクター2台を使ったマルチプロジェクション

4K SXRDプロジェクター「SRX-T615」

4K SXRDプロジェクター「SRX-T615」

「4Kスティッチング」技術

「4Kスティッチング」技術

参考出展のSDI/IPコンバーター

参考出展のSDI/IPコンバーター

#interbee2019

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