【NAB Show 2012】スーパーセッション「The Secrets of Making 3D Profitable」 Cameron Pace Group、Shadow Systemを詳説 肩載

2012.4.21 UP

James Cameron監督(左)とVince Pace氏
Cameron Pace Groupの展示

Cameron Pace Groupの展示

肩載せ型5Dカメラ約9kgの重さ

肩載せ型5Dカメラ約9kgの重さ

■“2D+3D=5D”

 映画「アバター」で知られるJames Cameron監督とVInce Pace氏は、共に共同会長を務めるCameron Pace Group(CPG)の活動について、16日午前10時30分からS222にて開催されたスーパーセッション「The Secrets of Making 3D Profitable」で講演し、新時代の3D制作についての考えを述べた。


■「2D時代の技術と経験を活かした3D撮影装置 Shadow System」

 昨年のNABにてCPGの設立( ページ参照:昨年の記事)が公開され、同年9月のIBCにおいては、CPGの第1世代撮影システム「Shadow System」がGrass Valleyブースにて展示された。Cameron監督とPace氏は、テレビ放送(CATV、衛星放送を含む)の3D映像制作コストが高く、期待したほどの映像効果が得られないのは、2D時代に現場が培った技術と経験が活かされていないからと主張してきた。この傾向は、特にスポーツ番組に顕著とされている。CPGは、”経験を活かす”との考えに基づき、3D専門のカメラオペレータを必要としないシステムを提唱してきた。


■「撮影に最適な場所はすでに2Dカメラに占拠されている」

 今回の講演でも、Cameron監督は、3D専用オペレータを必要としない撮影システムの利点を協調し、「2Dカメラマンが培ってきた経験を活かした撮影ができることが重要」とした。同社の「Shadow System」は、2Dのテレビカメラに取り付ける(ピギーバック)する形で設置されるため、3Dカメラのために新たな場所を探す必要は無い。「撮影に最適な場所は、既に2Dのカメラに占拠されている。そこに3Dカメラが入り込もうとすれば、最適ではない場所が割り当てられるのは仕方が無い」とCameron監督は言う。
 しかし、Shadow Systemでは、「2Dカメラが取った最適の場所で3Dカメラも撮影できる」(同)ことになる。2Dカメラでズームをすれば、3Dカメラも同じズームをするというように、動きは完全に同期させられる。このシステムにより、立体視の状態に責任を持つ”Stereographer(ステレオグラファー)”一人を追加するだけで、2D/3Dの同時撮影が行える。2Dと3Dを同時に撮影、送出することから、同社は「5D」(2D+3D=5D)と呼んでいる。


■ESPNが35台の”5Dカメラ”でX-Gameを撮影

 このシステムの利用について、Pace氏は「昨年のWinter X-GameでESPNが採用し、35台の3D(5D)カメラで撮影した。映像で、十分にストーリーを語れる出来となった」と効果が高かったとしている。3Dの効果について、同氏は「ゴルフ映像でも、Hawk Shot(鳥瞰から視点をあげてゆくカメラワーク)で、b-ルがグリーンのどこまで続くかを描けるのは3Dだけだ」と3D化の利点を述べている。35台というカメラ台数は、従来の3D撮影に比べると段違いの数であり、同社の方法がコスト的に受容されていることを示している。


■RED、ARRI、ソニー製カメラを用いた3D機材など20種の新製品を発表
「販売はせず、リースで随時 新技術を提供」

 16日のセッションでは、新型機材も多数発表された。従来のShadowカメラに加えて、RED社のEPICを用いた「EPIC Shadow」、ARRI社のAlexa Mを用いた「Alexa M Shadow」として、肩載せ撮影用の「Shadow D Handheld」(ソニー超小型HDカメラを使用)など20種の新製品が発表された。
 Cameron監督は「これらの製品は、販売はせずリースを行う。現在、次々と新技術が立ち上がる状況では、箱を買っても半年から1年で古くなってしまう。我々は、自分が必要と思うものを開発している。(古い資産に縛られず、新技術の結果も利用できる)この形態が、CPGと顧客の両者にとって最良のものであると考える」と述べている。

Cameron Pace Groupの展示

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肩載せ型5Dカメラ約9kgの重さ

肩載せ型5Dカメラ約9kgの重さ

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