【NEWS】ILM VR/ARのR&D部門開設 12月公開予定の映画「スター・ウォーズ7/ フォースの覚醒」と同時期にStar WarsのVR空間を発表へ 低迷続く映画VFX事業からの脱皮を図る
2015.6.24 UP
YouTubeにある映像では、VRのプロトタイプが紹介されている
ヴェロキラプトルとコミュニケーションができるバーチャルリアリティプログラム
ルーカスフィルムのVFX部門であるインダストリアル・ライト&マジック(ILM)は、次世代のインタラクティブ技術をエンターテインメントに生かすための研究部門「ILM Experience Laboratory(ILMxLAB)」の設立を発表した。ILMxLABでは、親会社のルーカスフィルムのもと、CGIと音響(ILM、スカイウォーカーサウンド)が一緒になり架空の世界におけるインタラクティブなエンターテインメントを追及していく。
■「プラットフォームを超えて」
「映画産業におけるアメリカの技術的優位性は既に消えている。今では世界中で同等の技術とリソースを得ることができる」と、ルーカスフィルム社長キャスリーン·ケネディ氏は米報道番組で語っている。「ILMxLabはプラットフォームを超えて、我々の持つすべてのスキルを活用させていく」とし、低迷が続く映画VFX事業から脱皮し過去の栄誉を取り戻す意向を見せた。
ルーカスフィルムはこの数年間、今回の新部門のベースを作るべく、リアルタイムグラフィックスの開発に投資してきた。ILMxLABでは、ジャイロスコープ機能を持つタブレットデバイスやOculus Riftのようなウェアラブルデジタルデバイスと組み合わせた、拡張現実(AR)、仮想現実(バーチャルリアリティ:VR)、リアルタイムシネマ、そしてテーマパーク向けや物語ベースのアプリケーションを開発していく。ゲーム作品の「Super Star Wars」や「ジュラシックパーク」を、インタラクティブなホームエンターテインメントに進化させることも目的の1つだ。
■年末の映画にあわせてVR作品をリリース
部門計画では、12月中旬に公開予定の映画「スター・ウォーズ7/ フォースの覚醒」に合わせるタイミングで、Star Warsベースのバーチャル空間をリリースするという。また、ウォルトディズニーの作品やマーヴェルのフランチャイズも検討されている。ディズニーは、2013年にルーカスフィルムを30億ドルで買収しており、ルーカスフィルムはディズニーの傘下にある。
■新たな40年の歴史の始まり
40年前、ジョージ・ルーカス監督は映画「スター・ウォーズ」に掲げた夢とビジョンを実現するために、当時は類のないCG研究部門を持つ視覚効果スタジオILMを設立。「スター・ウォーズ」の映画化に向けて新技術とノウハウを一から生み出していった。その後、同作品で世界を驚かせた革新的な技術をビデオゲームへも展開していく。ILMは現在までに300以上の映画作品に携わり、視覚効果で15のアカデミー賞を獲得。同じくアカデミーから28もの科学技術功績賞を受賞している。 ILMにおける次の40年は、再び新しい技術革新を引き起こすことが最大のミッションと見られる。
クリエイティブディレクターのジョン·ゲイター氏は「我々の技術で誰もが夢にも思っていなかった経験ができる世界を築き上げることを目指している」と語っている。
YouTubeのローンチビデオには、ヴェロキラプトルとコミュニケーションができるバーチャルリアリティプログラムや、Super Star WarsのスピーダーライクにAT-ATウォーカーの巨大な足の間を飛行しながら潜り抜けるといった、様々なプロトタイプの没入体験の様子が公開されている。
YouTubeにある映像では、VRのプロトタイプが紹介されている
ヴェロキラプトルとコミュニケーションができるバーチャルリアリティプログラム