【NEWS】米デジタルサイネージエキスポ報告 4Kサイネージ、透明OLEDなど新たな広告形態を可能にするデバイスが登場
2015.3.26 UP
LGの98インチ4Kの縦置き4面マルチ
PLANARの55インチ透明OLED
(左)透明OLEDを用いたデモ、(右)透明OLEDの表面
EinkがGDSと開発している32インチの電子ペーパー
■4Kサイネージが増加傾向に
3月11日から12日にかけて、ラスベガスのコンベンションセンターでDigital Signage EXPO2015(DSE)が開催された。デジタルサイネージの展示会としては、200社以上が出展する世界最大規模のものである。
CESのような展示会でも、テレビの世界では4Kが当たり前となってきているが、DSEにおいても4K自体をアピールするだけの展示は殆ど見られない。全体の2割程度が4Kに対応している製品になっている印象だ。特に会場内に4Kの文字が踊るといったこともなく、粛々と4K化は進行していることが感じられる。
なかでもLGの98インチ4Kの縦置き4面マルチは、高解像度ゆえにあたかもガラスのショーウインドウの向こうに実際に人物がいるように見える。ベゼルがあることで逆に本物のショーウインドウに感じられる。この先の8Kも見据えると、超高解像度なディスプレイのデジタルサイネージの効果的な演出手法としても参考になる。
■透明OLEDがもたらす新たな演出効果
今年のDSEで新しい技術展示として注目を集めていたのが、PLANARの55インチ透明OLEDだ。解像度はフルHDでほぼベゼルがない。OLED自体の供給元は原理的にはRGBピクセルのあるサムスン製ではないかと思われるが、現場でも回答は得られず不明だ。
透明ディスプレイの利用用途としては、当面、スーパーやコンビニの冷蔵庫が有力な場所だ。透明ディスプレイを搭載した冷蔵庫は、DSEでは4年ほど前から登場しており、毎年確実に進化を遂げている。今年のLGブースの冷蔵庫は、その透明度、発色、コントラスト、反応速度などどれをとってもこれまでで最高レベルだ(https://youtu.be/J2ss0O8pwuo)。
飲料メーカーなどの利用意欲は強いので、価格が折り合う時期になれば、一気に導入されると思われる。他にも商業施設や小売店舗において、空間デザインを損なうことなく映像を表示できるのは潜在ニーズは相当ある。
透明ディスプレイは液晶が先行してきたが、バックライトが必要ない自己発光型の透明OLEDに期待がかかっている。
■WEB連携も各社から
SHARPはさまざまな業種向けの利用シーンを再現していた。CESで展示があった曲面ディスプレイや世界最大とされる120インチの4Kディスプレイなども展示した。
EinkはGDSと開発している32インチの電子ペーパーを展示した。Kindleなどの小型なもの以外に、大画面化が期待されている。特に日本では電源供給が絶たれても一定時間表示ができる点が、災害時の情報提供に有効ではないかと思われる。
サムスンはSMART Signage TVというオールインワンタイプのシステムを展示した。これは業務用のディスプレイにチューナーとAndroidベースのデジタルサイネージシステムを搭載したものだ。WEBベースのシステムになっており、コンテンツの更新もWEBから行い、スマートフォンなどからも可能である。大規模なネットワークを構築するというよりは、個店も含めた小規模な利用を想定している。テレビ放送を表示しながら、いわゆるL字のような画面構成にして情報表示することもできる。同様のコンセプトは昨年からLGがwebOSを搭載したシステムを発売している。
ユニークなデジタルサイネージシステムを展示したのはENPLUG社だ。これはソーシャルメディアをコンテンツとして積極的に利用するものだ。まず99ドルのSTBを購入しディスプレイに接続する。コンテンツはフェイスブック、ツイッター、インストグラム、ピンタレスト、タンブラーなどの既存のソーシャルメディアにある動画や静止画コンテンツを組み合わせて利用する。画面レイアウトは適宜変更することも可能となっている。
(デジタルメディアコンサルタント 江口靖二)
LGの98インチ4Kの縦置き4面マルチ
PLANARの55インチ透明OLED
(左)透明OLEDを用いたデモ、(右)透明OLEDの表面
EinkがGDSと開発している32インチの電子ペーパー