【プロダクション】東京現像所 DI室にPablo Rio導入 「4K RAWファイル対応態勢を」NVIDIAの最新GPU搭載し容量は40TBに大幅拡張 4Kの同時リアルタイム処理可能に
2013.8.26 UP
ブラックマジックデザインの「Davinci Resolve」
マシン室
CintelのHDテレシネ機「Millennium」
「Millennium」のテレシネ室
東京現像所は、同社のDI室「DI meister Ⅱ」(DIマイスター・ツー)に、新たにクォンテル製「Pablo Rio 4K」を導入した(上写真)。コントロールパネルには、NEOを導入。Pabloのすべてのグレーディングツールにアクセスできる。プロジェクターは4K対応のSony SRX-R105を設置した。(映像新聞 吉野和美)
■RAWデータファイル処理の効率化・迅速化を実現
ARRI「ALEXA」のARRI RAWファイルによる収録など、デジタルシネマカメラによる撮影が増加傾向にあり、特にRAWファイルは比較的容量が大きく、現像をはじめとした処理が重くなる。
こうした状況に対応するため、ファイル処理の効率化・迅速化を図るのが今回の導入の狙いだ。Pablo Rio 4Kの導入とともに、マシンのパフォーマンス向上と、それに伴うストレージ容量の拡充を実施し、映画制作におけるデジタル化に対応している。具体的には、Pablo Rioの処理マシンにNVIDIAのGPU「K20」を2枚装備し、メモリーは従来の倍近い約40TB(テラバイト)を搭載している。
■「従来の4倍速く感じる」
西野克治映像部長は、「処理速度は従来の4倍程度早くなったように感じており、最も多いHD/2Kの作業をよりスムーズに作業できる。映画制作で今後増加するであろう4K映像にもより対応しやすくなり、RAWファイルでも、データを取り込んでから顧客の立ち会い作業までの時間を短くできるのでは」と期待を話す。
■HDテレシネの2系統化で作業進行を円滑化
またアーカイブを含めたフィルム作業のため、テレシネなど関連機材も増強した。
CintelのHDテレシネ機「Millennium」は、立ち会いができるテレシネ室として整備。コントローラーには「Ocean」と「Davinci」を設置している。周辺機器はブラックマジックデザインの「Teranex 2D Processor」などを取り入れ、VTR間でのSDからHDへのアップコンバートやフレームレート変換も可能となっている。
ブラックマジックデザイン「Davinci Resolve」も併設し、テレシネ後にデータでカラコレ作業を立ち会いで行える環境も整備した。
西野氏は「既存のC-Realityと合わせ、HDテレシネを2系統持つことで、繁忙期でも立ち会い作業を含め円滑に進行できる」と述べる。
■フィルム需要をにらみ、ウェットゲート対応のスキャナーを自社開発
さらに、フィルムを高品質に取り込む需要が今後高まると見て、ウェットゲート処理機能を持ったスキャナーの自社開発を進める。現在は色調整の追い込み段階だという。
ウェットゲート処理とは、スキャンニングの前に、フィルムと同じ屈折率を持つ特殊な液体を使った処理をフィルムに施すことにより、映像フィルムの損傷を防ぐ工程。
渡辺明男映像本部長は「ウェット式のため、フィルムの物理的な傷を軽減した状態で取り込める」と特徴を説明する。既に保有するARRIスキャンと同様、1コマずつ取り込む方式を採っている。
ブラックマジックデザインの「Davinci Resolve」
マシン室
CintelのHDテレシネ機「Millennium」
「Millennium」のテレシネ室