【INTER BEE CONNECTED2018】「盛り上がる放送局のオウンドメディア」セッション打合せレポート〜放送が進化する可能性〜
2018.10.26 UP
INTER BEE CONNECTEDで連日開催される様々なセッション。11月16日(金)10:30からは「盛り上がる放送局のオウンドメディア」と題して放送局がネット上で新しい発信を行う姿をディスカッションする。「オウンドメディア」とは一般企業がメディアに広告枠を買うのとは別に、自身でメディアを作って自社のための情報発信をすることだ。放送局もメディアでありながら、ネット上にメディアを持つことにはどんな意義があるのか。先日行われた打合せの様子をレポートしたい。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)
■急速に盛り上がる放送局のオウンドメディア
放送局がオウンドメディアを持つ動きは、昨年来急速に進んでいる。テレビ朝日の「テレ朝ポスト」、フジテレビの「マスカット」など、在京キー局はそれぞれ本格的なオウンドメディアを持っているし、関西キー局も続々起ち上げはじめている。
このセッションでは、そうした中でもユニークな方向性でメディア運営をする3人の方に集まってもらった。読売テレビで「読みテレ」を運営する西川章洋氏、テレビ東京の「テレ東プラス」の責任者である本田光範氏、TBSラジオのデジタル化を進める萩原慶太郎氏。モデレーターは不祥、筆者が務める。
■番宣のみならずメディアの将来像の模索も
「読みテレ」は関西キー局のオウンドメディアとしては、もっとも早く起ち上がった。当初は見逃し配信「MyDo」の支援が目的で、記事は放送後に番組動画を埋め込む仕組みだ。「いまは、番組宣伝の役割も持つようになってきました。当初は自分ひとりでやっていた感がありますが社内の理解も増えたと思います」と、西川氏は苦労を語る。
「テレ東プラス」は「読むテレ東」として進んでいたのを昨年、体制を一新して名称も変更した。本田氏は「テレビ放送では接触できない層に、ネットを通じて我々の番組にアクセスする場にしたいと考えました」とリニューアルの考え方を教えてくれた。見逃し配信の「ネットもテレ東」や経済番組を有料配信する「ビジネスオンデマンド」などとも連携しながら進めているという。
TBSラジオの場合は、ラジオというメディアのあり方そのものをシフトしつつある、と萩原氏は語る。そのために、実は2年前にWEBサイトそのものをリニューアルしている。「映画『カメラを止めるな!』の話題拡散に、私どもの番組の書き起こしが貢献できたようです。そうした“世の中を動かす”こともメディアの力ではないかと思います」radikoの登場ではじまったラジオの新しい形を、TBSラジオは示してくれそうだ。
このように、一口にオウンドメディアといっても多様な目的を持ち、それぞれの状況や考え方で違っている。まだ試みの段階だが、メディアビジネスとしてどうマネタイズするかも取り組んでいくのだろう。そして議論の先には、放送そのもののあり方も見えてきそうだ。このセッションを聴講すれば、オウンドメディアとは何かから、その課題まで学びとれそうだ。もちろんモデレーターとして筆者も、有意義な議論を引き出したい。聴講は予約制、下記関連URLから入ることができる。みなさんもぜひ、16日は午前中から幕張へ。