【InterBEE 2012】InterBEE参加「映像・技術交流会」メンバーの声 「映像制作のさまざまな情報を共有できる場を!」

2012.11.1 UP

石河氏
松村氏

松村氏

藤井氏

藤井氏

井上氏

井上氏

鈴木氏

鈴木氏

 Inter BEE 2012でブースを開設する、映像制作のプロの情報交流会「映像・技術交流会」。急速に変化する映像制作技術について、現場の経験をもとに情報交換をすることで、互いのアイデアや情報を共有しようというねらいから発足して1年。メンバーは日々拡大を続けている。
 設立当初から参加しているメンバーに、交流会への参加のねらいや、InterBEE参加に期待することなどについて聞いた。


■「ユーザーに限らず様々な人が集まり、みんなが発言できる貴重な場」
  <モーションワークス VFXアーチスト 石河慎一氏>

 モーションワークスの石河慎一氏は、Autodesk FlameやSmokeを操るVFXアーティスト。CMやPVなどの制作を行うなか、ブログ(http://motionworks.jp)で情報発信をしている。
 「映像・技術交流会は、2011年8月に第一回が開かれました。ある方のブログが発端で、撮影現場とポストプロのつながりについてのテーマなどからTwitterで盛り上がり、実際に会って話をしたほうがいいということで、その当日にメンバーが集まりました。以前から情報共有のありかたに疑問を持っており、ユーザー同士が話せる場所が欲しいと感じていました。交流会を開催して思ったことは、ユーザーに限らず様々な人が集まる機会を持てたことが非常に重要だということです。メンバーの中で特に中心の人物がいる訳ではなく、皆で自由に発言し、盛り上げていくことができるのが面白い点ですね」
 「Inter BEEでは、8小間(6m×12m)のスペースを設けます。その中ではグレーディングやエディティングのセミナーも行いますが、単に機材のオペレーティングや新機能の紹介だけではなく、人と人との交流の中に新しい発見が出来ればと思います」と石河氏は話す。


■「”今、自分たちの抱えている問題が何なのか”を知るための解決の糸口に」
<富士ソフト 映像事業部 松村正樹氏>

 松村正樹氏は、富士ソフト秋葉原オフィスの映像事業部で、AKIBA STUDIOのエディター(http://www.fsi.co.jp/akibaplaza)。AKIBA STUDIOには、33坪の撮影スタジオ、MAルーム2室、Avid DS Nitrisなどを装備した編集室が6室、さらにDCP対応の試写室まで装備し、映像制作の環境が十分に整っている。松村氏が手がける作品は、映画の予告編、DVDのトレーラー、番宣の完パケなど。
 AKIBA STUDIOは、映像・技術交流会の会合に富士ソフトビル内の場所を提供しており、撮影スタジオを利用した検証会なども行なった。
 「映像・技術交流会のメンバーには、ポストプロの技術、編集系が多いですね。最初は問題点の提示から始まりました。今、自分たちの抱えている問題が何なのかという事を確認することがスタートポイントです。すべてが解決した訳ではありませんが、交流会での情報交換が解決の糸口になっています。参加のきっかけとしては、映像拠点としての秋葉原の活性化の一環という部分が大きいです。広報という意味も含め、映像技術の環境が整った場所を提供することで有効活用できればと思っています。InterBEE当日には別ブースの担当をしているので技術交流カフェには顔を出せないかもしれませんが、お話を伺いメンバーをご紹介することができます」と松村氏は話す。


■「売る側と実際に使う側の接点。業界を盛り上げる”拍車”に」
<三友 営業企画部 藤井晴信氏>

 藤井晴信氏は、映像機器を扱う三友(http://www.mitomo.co.jp/)の営業本部 営業企画部の主任だ。映像機器の営業担当という立場から、エディターなど、多数の映像制作現場での横のつながりがある。藤井氏自身は、以前はサーバーのエンジニアなどのキャリアもあり技術に関して詳しい。
 「売る側と、実際にそのツールを操る側とのオープンな形での接点がなかなか形成されません。交流会が開催される以前から情報を共有できる場所はないかと探していました。商社の立場から、販社やユーザーに積極的に交流を提案しても、いいねという言葉を頂くものの、なかなか実現しませんでした。コスト削減などの理由で停滞感のある中、映像・技術交流会が拍車になれば、大変有意義な事だと思います」と藤井氏は話す。
 「現在、サイボウズLiveで自発的に集まったメンバーは60人を超えています。Inter BEEのブースでは、実際に足を運んで情報交換のライブ感を味わい、有益な交流がはかれ、情報交換ができて、その結果来てよかったと思ってもらえればとおもいます」


■「技術やノウハウを共有しにくい映像業界でできた貴重な集まり」
<システム計画研究所 事業本部 井上由香氏>

 井上由香氏は、システム計画研究所(以下、ISP)事業本部 第3事業セグメント マネージャー エバンジェリスト。ISPは、ソフトウェア開発やシステム開発などを手がけており、社員のうち経理担当の数名をのぞく全員がプログラマーだ。営業部門は設けず、それぞれの開発者が直接クライアントとやりとりをするというスタイル。宇宙開発、医療情報、通信ネットワークと、科学技術計算系を中心にソフトウェア開発を行っているが、画像処理分野でもツールを開発している。
 同社が開発したクロマキー合成ソフトウェア「ROBUSKEY」は、プラグインツールとして、Adobe PhotoshopやAfter Effects、Premiere Pro、Final Cut Pro、Grass Valley EDIUSなどに対応している。同製品や、新製品のリアルタイム美肌処理ライブラリ「珠肌」(http://wazalabo.com/)などの企画開発を担当しているのが井上氏だ。
 「ソフトウェア、特にプラグインはそれ単体で機能するものではなく、ワークローに組み込んで始めて力を発揮するものだと思っています。プラグインを製品化する際に、クリエイターや販社から意見の収集を行いました。そこで感じた事は、映像業界では同じ映像を扱う場合でも、アプローチの仕方がクリエイターによって全く違うという点です。異なるプロセス間での情報共有が無く、技術やノウハウを共有しにくいジャンルだということを感じました」と井上氏。
 「技術指向の会社なので、『ニーズがあるから作ろう』でなく、先にシーズがあって開発を進めます。『ROBUSKEY』の場合も、画像処理のアルゴリズムが最初にあって、そこから現場の意見を基にしながら開発者と相談して製品化していきました。ガベージマット自動生成プラグイン「ざっくりマスク」もそういうパターンで製品化しています。ニーズとシーズの双方をつなげてみて、初めてわかる部分もあります」
 「映像・技術交流会への参加のきっかけは、情報を公開・共有する方々を拝見し、その中でソフトウェアで何ができるかを知りたかった事です。こうした情報共有の場づくりが、プロ同士の間から自発的に出来たということが、映像・技術交流会の素晴らしい点だと思います」と井上氏は言う。
 「InterBEEでの技術交流カフェは、人が集まる場所、ユーザーが発信できる点でとてもよい機会だと思っています。私は多くのメンバーとは異色のソフトウェア開発の立場ですが、逆に開発という視点から、現場のいろいろな方とお話しできればと思います」


■「情報共有で高めあい、良い作品作り、良い製品・機器開発へ」
<白組 システム部 鈴木勝氏>

 鈴木勝氏は、白組のシステム部 部長を務めている。白組はCGやVFXを得意とした制作プロダクション(http://www.shirogumi.com)。ゲームムービー、ミュージックビデオ、CM、3DCGアニメーション映画、VFX映画など、デジタル制作を中心とした多ジャンルの制作を行っている。以前はハード・ソフトウェアメーカーであるDPSJ社に勤務し、退職後、数年間コンサルタントとして活動。8年前に白組に入社し、ワークステーションからファイルサーバ管理やライセンス管理などのシステム周りを担当し、現在では撮影から仕上げまでのワークフローの提案、改善等を行っている。
 白組のシステム部では、ハード、ソフトウェアメーカーとの間で、映像技術・映像表現についての意見交換の機会が多いという。「メーカーと将来の製品像についての話をする機会は多いのですが、当社の意見だけでは多くの人の需要につながる製品開発はできないはず。製品として実現して欲しいものもありますが、それが製品化される前の段階での、マーケティング力・情報収集力がメーカーにとっても重要だと感じます。情報収集という意味では、外部のプロダクションとのコラボなどを進める上で我々も同様です」
 「当社の強みはCGですが、フルCG作品であればポストプロダクション工程にまで携わる可能性もあります。しかし、決してポストプロと競合するのでなはく、それぞれ特化した役割があると思っています。担当する会社同士がうまくコラボレーションするにはやはり情報共有が欠かせません。米国のCG、VFX業界の雇用形態は、日本と違い、作品単位での契約が多く、その分、フリーランスのアーティスト同士、横のつながりが密接であると感じます。映像制作は今、どのエリアにおいても、複数のクリエイター、メーカー同士の共同作業が欠かせなくなってきています。日本でも、フリーランスに限らず、横のつながりを大切にし、情報共有を密にする時代になってきているのではないでしょうか」と話す。
 「業界の関係者間での情報共有は有益であり、しかも楽しいと感じている人が増えていると思います。従来に比べ、技術や製品の進化が早く、大切に抱えていた情報や技術はあっという間に古くなってしまいます。だからこそ、情報共有してお互いを高め合っていく必要性があると思います。映像・技術交流会ではCGプロダクション、ポストプロダクションに限らず、お互いの意見交換で個々の参加者が問題解決をして、効率的なワークフローの構築を進め、ひいては良い作品作りのきっかけになればと思います」
 鈴木氏は、映像・技術交流会の情報共有のためのコミュニケーションツールとしてサイボウズLiveの利用を提案。現在、活発な情報交換が行われている。「サイボウズで、新しい技術や、疑問に感じたことを書き込むと、想像以上に返信が返ってきます。イメージとしては『アイデアの泉』という感じですね」
 こうしたソーシャルメディアのつながりと、実際の顔の見える交流の両方が重要だと鈴木氏はいう。「インターネットやソーシャルの力を利用することで、日常的なコミュニケーションの時間を節約しつつ、その節約した時間を使うことで、実際に顔の見える交流も行っていくことが可能になります」
 鈴木氏はまた、将来的には映像・技術交流会が、「メーカーの製品開発に対してマーケティング的な協力も可能」と言う。「みなさんの意見をまとめれば、それが参考意見としてメーカーと相互に話し合うきっかけになり、我々の求めているものが製品として手に入ればうれしいですね」
 「Inter BEE 2012のブースでは、コミュニケーションの面白さというものをぜひお伝えできればと思います。私の得意分野として、コミュニケーションツールから、ワークフローやシステム管理図などを効率よく作成する方法もお見せできます。せっかくの機会ですので、地方の方々にも参加して頂き、このようなムーブメントが日本中、世界中でおこればますます面白くなっていくでしょうね」と鈴木氏は語る。
(次回は、ブースでのセミナー、情報交流などについて紹介します)

【InterBEE 2012】
Inter BEEは、国内外のトップレベルの放送機器、映像機器、音響機器、照明機器、IPTV、Mobile TV、クロスメディア、周辺アプリケーションやソリューションが一堂に会する「音と映像と通信のプロフェッショナル展」です。クリエイティブ、メディアビジネスの最新動向を知る機会として、メディアに携わるあらゆる方々に関連した展示会です。
11月14日(水)〜16日(金) 幕張メッセで開催します(入場無料)。

松村氏

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井上氏

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鈴木氏

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#interbee2019

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