【プロダクション】IMAGICA アーカイブ事業の専門部署を設立 IMAGICAウェストなどグループのノウハウ結集 ロボットを起用した低価格サービスも

2013.8.2 UP

ロボットアームを使ったマイグレーションマシン
手作業によるフィルム修復

手作業によるフィルム修復

(前列左から)IMAGICA三浦氏、久保田氏、越智氏、水戸氏、(後列左から)IMAGICAウェスト廣瀬氏、関口氏、山本氏

(前列左から)IMAGICA三浦氏、久保田氏、越智氏、水戸氏、(後列左から)IMAGICAウェスト廣瀬氏、関口氏、山本氏

 IMAGICA(東京都品川区)とIMAGICAウェスト(大阪市北区、以下ウェスト)はアーカイブ事業を強化する。IMAGICAに専門部署「アーカイブユニット」(http://www.imagica-archiving.com/)を設立し、IMAGICAウェストのフィルム技術とIMAGICAのデジタル技術を連携させた広範なサービスを展開させる。
(映像新聞 吉野和美)

■「デジタル配信で旧作フィルムのニーズが拡大」
 アーカイブユニットの久保田太一郎リーダーは「映像業界のデジタル化により、フィルム事業の見直しが必要となった。同時にデジタル配信の需要が高まり、旧作フィルムをもう一度世に送り出すことが求められている」と背景を説明。アーカイブ作品のコーディネートや作業管理を担当する。
 IMAGICAウェストも、2000年に分社化して以来、フィルムアーカイブ事業に注力してきた。工程の入り口となるフィルムの物理修復では、硬化が始まったフィルムを柔軟化したり、はく離した乳剤を再度貼付するなど技術の向上や機材の開発を進めている。

■ロボットアームの導入でコスト低減・作業速度向上
 IMAGICAグループでは、これまでも、アーカイブに関したサービスを展開している。フィルム分野ではこれまでに、国産初の長編カラー映画『カルメン故郷に帰る』(1951年)を修復している。画面全体にわたる色変化を軽減するなど最新技術を活用している。また、ビデオ分野では、再生機の保守契約が終了に近づいたVTRテープのマイグレーションを進めている。
 こうした修復には、コストや時間などがハードルとなり、実現が難しいケースも多い。そうしたことから、自動化による作業速度向上とコスト低減をめざして、 ロボットアームを使ったマイグレーションマシンを開発した。これにより、放送局が保有する3万本のD2ライブラリーのマイグレーションを、2年6カ月で終了させた実績がある。ロボットアームライブラリーはすでに2ライン目として、DATの処理ラインも構築している。

■新サービス「HARBOR」「SHIFT」など、デジタルデータの有効活用を支援
 アーカイブユニットでは新サービスとして、デジタル化したデータを、自社開発の映像制作フロー支援プラットフォーム「HARBOR」やコンテンツ流通ソリューション「SHIFT」で扱うシステムも展開している。修復からその後の活用法にまで踏み込んだサービス提案を目指している。

■「媒体が変わっても重要な資産を残せるように」
 想定する顧客ターゲットは映画会社のほか、自社コンテンツを保持する一般企業、行政機関や美術・博物館、地方局など。「まだ伝えきれていない顧客も多いが、全国にニーズがある」(アーカイビングスーパーバイザーの三浦和己氏)という。
 稲土広己・IMAGICAウェスト社長は、「フィルムでもビデオでも過去の貴重な映像が捨て去られてしまう恐れがある。文化性の高い映像をどう残していくか、事業としてグループ2社で進めたい」と話す。
 「創業以来、日本で初の商業ラボとして映像を目に見える形に作り上げてきた。今後、媒体が変わっても重要な資産を残せるよう努力したい」

 (写真3枚目はアーカイブ事業の担当スタッフ)

手作業によるフィルム修復

手作業によるフィルム修復

(前列左から)IMAGICA三浦氏、久保田氏、越智氏、水戸氏、(後列左から)IMAGICAウェスト廣瀬氏、関口氏、山本氏

(前列左から)IMAGICA三浦氏、久保田氏、越智氏、水戸氏、(後列左から)IMAGICAウェスト廣瀬氏、関口氏、山本氏

#interbee2019

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