【NEWS】 HEVC 最終草稿が起草 国際標準化への手続きが始まる 加盟国投票完了は夏頃か
2013.2.15 UP
■標準化へ「最初の段階に合意」
ITU-TおよびISO/IECの標準化団体は1月25日、4K/8K放送の映像符号化技術として注目されている「HEVC(High Efficiency Video Coding)」メインプロファイルのファイナルドラフトを発表した。ファイナルドラフトは、文字通り、「最終草稿・最終案」であるが、まだ国際標準化が確定しているわけではなく、今後、加盟各国の投票を経た上で標準化が確定する。現状では「標準」ではなく、あくまでも「案」の状態。
ITUのプレスリリースでは、「ITU-TのSG16(スタディグループ)は、登場が待たれた標準であるRec.H.265またはISO/IEC23008-2に対して、最初の段階の許可を与えることに合意した」とあり、投票手続きに入ることを意味している。あり得ないことではあるが、理論上は投票で否決も起こりえる状態だ。
■一般動画配信、静止画のプロファイルが提案 放送用プロファイルは1年後
今回のドラフトには、クロマフォーマットが4:2:0、階調8bitで、一般的な動画配信のためのプロファイルのほか、「Main10 Profile」という10bitのプロファイルや、静止画用プロファイル「Main Still Picture Profile」がある。放送の素材伝送で求められるプロ仕様の4:2:2、階調10、12ビットといったプロファイルの標準化は1年後を目指して作業が進められる。
■標準化をにらみ各社の研究・開発が加速
今後各メーカーは、プロ仕様のプロファイル標準化を視野にアルゴリズムを提案していく。
HEVCコーデック開発に携わる、ある通信機器メーカーの幹部はプロ仕様のプロファイルについて、「今後の標準化の動向をにらみながら検討していくことになる」と述べた。
HEVCは、H.264に比べて処理量が大幅に増える。これをソフトウエアでいかに高速に処理するか、ワンチップでLSIの中に入れられるかが今後の製品開発のポイントになる。4K/8Kのように大きな画像になるとさらに処理能力の問題が出てくる。一つのLSIに収めるには、チップとメモリー間のデータ転送量が莫大になる。このあたりも開発における課題だ。
映像の高画質化・高精細化が進む中で伝送の切り札と目されるHEVCだが、標準化は、ようやく事務手続きのルートに乗ったところで、緒についたところといえる。投票完了は7月と言われている。